
カナダ・ブリティッシュコロンビア州アシュクロフト郊外で、2025年7月30日の朝、不可解な草地火災が発生した。
現場に駆けつけた消防隊が目にしたのは、地元住民や電力会社職員によって鎮火されつつある火の手。
川から何キロも離れた乾いた草原になぜ魚が?
この異様な状況にベテラン消防士たちも首をかしげる。やがて調査は、思いもよらぬ“犯人”へとたどり着く。
その犯人は、名探偵コナンですら驚く手口で火を放っていたのだ。
草むらの火災と謎の証拠品
2025年7月30日の正午前、アッシュクロフト消防レスキュー隊(AFR)は、市街地から南へ約6kmの地点で発生した、草むらを焼く火災への出動要請を受けた。
現場に到着すると、地元の牧場員たちや電力会社の作業員が給水車を使ってすでに消火作業中。火勢は弱まりつつあったが、延焼範囲はおよそ60×90mに及んでいた。幸いにも風はなく、AFR隊員らの活動で完全鎮火に至った。
だが、火元の調査にあたったAFRのジョシュ・ホワイト隊長は、焼け跡の中で奇妙な“証拠品”を発見する。こんがりと焼けた1匹の魚だ。
最寄りの水場は東に約3km離れたトンプソン川。川も池もない草原に魚が落ちている光景は、彼の25年間の消防人生でも初めてだったという。
川も人気もない場所になぜ魚が焼死体で?
いったいなぜこんな場所に魚が?しかも焼け焦げた状態で?
カラパイアの読者なら、これはもしかして、「ファフロツキーズ現象」というやつなのか?と、真っ先に思ってしまうかもしれない。
ファフロツキーズ現象とは、空から魚やカエルなどが降って来る現象のことを言う。
火災の原因は「ミサゴ」、魚を送電線に落としていた!
だが今回の事案は、ちょっと様相が違っていた。実は今回の火災と同時に、アッシュクラフト市内で一時的な停電が起こっていたのだ。
調査の結果、ホワイト隊長らは最終的に、今回の火災には地元に生息する猛禽類「ミサゴ」という鳥が関与していると結論付けた。
隊長は「怪しい」「魚臭い」の両方の意味を持つ「fishy」という言葉を使った言葉遊びで、AFRのSNSに次のような投稿をした。
今日、アッシュクロフトで停電があった理由を知りたいですか? この出動には何やら「fishy」な点があり、間違いなく、鳥の関与が疑われます!
現場検証の結果、どうやら3km離れた川で獲った魚を咥えて飛んできたミサゴが、何らかの事情で現場上空で魚を落とし、それが送電線に引っかかって火災を起こしたらしいことが判明したのだ。
迅速な調査の結果、この火災の原因が判明しました。それはミサゴです。ミサゴが送電線に落とした魚が焼けこげ、それが草地に落下して火元となったのです
トンプソン川が発生地点から東へ3kmも離れていることを考えると、この魚は信じられないような旅をしてきたことになります。魚の大きさと日中の暑さから判断すると、おそらく疲れ切ったミサゴが獲物を落としたのではないかと推測します。もしくは生魚に飽きて、調理済みの魚を試してみたかったのかもしれません
容疑者は現在も逃亡中
ミサゴは鷹の仲間の猛禽類で、「魚鷹」とも呼ばれるくらい、魚を好んで食べる鳥である。
狩りの際は上空から水面まで急降下して、鋭い鉤爪で獲物を掴み、安全な場所へ運んでから食べる習性がある。
以前も、ミサゴがシュモクザメを捕まえて運ぶ途中、ディスクゴルフのコースに落としてしまうという事案が発生したのを覚えている人もいるかもしれない。
なお、今回の「容疑者」であるミサゴには怪我もなく、現在も元気に羽ばたいて「逃亡中」であることが確認されたそうだ。
ホワイト所長は投稿の中で、「保釈は認めません。羽があるだけに、飛んでトンズラする恐れ大」とコメントし、報告をユーモアたっぷりに締めくくった。
火災は無事鎮火し、大きな被害もなかったが、この「魚が引き起こした火事」は、しばらくの間地元の語り草になりそうだ。
References: The Arsonist Fish -or Was It The Bird?[https://www.neatorama.com/2025/08/07/The-Arsonist-Fish-or-Was-It-The-Bird/] / Feathered friend's fried feast sparks fishy fire near Ashcroft[https://www.ashcroftcachecreekjournal.com/local-news/feathered-friends-fried-feast-sparks-fishy-fire-near-ashcroft-8169552]
本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。