
アメリカで暮らす犬のハニーには、毎朝楽しみにしていることがあった。隣の家に住む94歳のエドナさんと、フェンス越しに交流することだ。
ハニーはエドナさんの姿を見ると二足で立ち上がり、フェンスの上に顔を出す。エドナさんはその顔や体を優しく撫で、おやつを差し出す。ハニーは振り切れんばかりに尻尾を振り、喜びを全身で表した。
ハニーはこの幸せな日々が永遠に続くと信じて疑わなかった。エドナさんに残された時間があとわずかであることを、知る由もなかったのだ。
フェンス越しに育まれた犬とおばあさんの温かい交流
アビゲイル・モロウさんの愛犬ハニーは、毎朝庭のフェンスの前に立ち、おばあさんが現れるのを待つのが日課だった。
おばあさんの名はエドナさんで今年94歳になる。エドナさんの姿が見えると大興奮で尻尾を振り、フェンスを支えにして二足で立ち上がり、エドナさんに顔を近づける。
エドナさんはハニーに用意していたおやつを食べさせてあげる。このスキンシップは二人の絆を深めていった。
おばあさんが来ない…それでも待ち続ける犬
しかしある朝、ハニーがいつものようにフェンスに駆け寄っても、エドナさんは姿を現さなかった。
動揺したハニーは、フェンスの前で何度もエドナさんを呼んだ。だが彼女は来ない。次の日も、次の日も、ハニーは待ち続けたが彼女が来ることはなかった。
実はエドナさんは病気で倒れ、最期を迎えようとしていた。もう歩くこともままならない状態だったのだ。
ハニーはその事実を知る由もなかった。
ハニーとエドナさん、最期に別れの挨拶をかわす
「エドナさんのご家族から、病状がかなり悪化したときにメッセージが届きました」と飼い主のアビゲイル・モロウさんはTikTokで語った。
家族は、エドナさんが愛したハニーを最期にもう一度会わせ、お別れの挨拶をさせてあげたいと願っていた。そこでモロウさんに、ハニーを連れて家に来てくれないかと連絡してきたという。
モロウさんはこの申し出をこころよく引き受け、ハニーを連れてエドナさんの家へ向かった。
家に入ると、ハニーは、エドナさんのそばに寄り、やさしく匂いを嗅ぎ、手に何度もキスをしたという。
二人がフェンス越しで築いた絆は深く、特別なものだったのだ。