
アメリカ、カンザス州北東部の小さな町シャウニー・ハイツで、住民が自宅の車道近くに現れた不思議な動物を撮影し、地元でちょっとした騒ぎになっている。
黒っぽく、やや猫背で歩くその姿は、一見すると子グマのようにも見える。
撮影者はインターネット検索の結果、アメリカグマ(American Black Bear)ではないかと推測したが、専門家たちの見解は分かれた。
果たしてこの生き物の正体は?
アメリカグマに似てるがクマではない?
この写真の撮影者は写真を地元テレビ局WIBW-TV[https://www.wibw.com/2025/08/05/bear-sighting-sparks-disagreement-among-kansas-wildlife-professionals/]に提供した。テレビ局は正体を明らかにするため、様々な専門家に意見を求めた。
カンザス州都トピーカ市にある**トピーカ動物園・保全センター(Topeka Zoo & Conservation Center)**で北方性肉食動物を担当するキーパー、トレイシー・ヘンダーソン氏はこう断言した。
この地域でアメリカグマが現れる可能性はほぼゼロ。私としてはコヨーテの方が可能性が高い。コロラド州との州境ならまだあり得るが、この地域では絶対にない
同園の保全ディレクター、デニス・ディンウィディー氏も写真を確認し、こう指摘した。
私もアメリカグマではないと断言できる。アメリカグマは、たとえ子グマでもこの動物よりはるかに大きい。カンザス州で最後にアメリカグマが確認されたのは2021年で、それもここよりずっと南だった
一方、カンザス州野生動物・公園局の野生生物学者マット・ピーク氏もアメリカグマ説を否定し、こう述べた。
これはアライグマだと思う
こうして、専門家の間でもコヨーテ派とアライグマ派に分かれることになった。
アメリカグマとはどんな動物か
アメリカグマ(American Black Bear、学名 Ursus americanus)は、北アメリカ大陸に広く分布するクマ科の動物で、毛色は黒が多いものの、茶色やシナモン色、まれに白色の個体もいる。雑食性で、木の実や昆虫、小型の哺乳類などを食べる。
同じ北米に生息するグリズリー(ハイイログマ)と比べるとやや小柄で、性格もおおむね臆病だとされる。
人間を避ける傾向が強いが、驚かせたり、子グマを守る状況では攻撃的になることもあり、接近は危険だ。
カンザス州では過去に生息していたが、現在は分布が限られており、目撃例は非常に少ない。
コヨーテか、それともアライグマか?
2025年4月にはコロラド州プエブロでも似たケースが報告されている。
この時も謎生物を映像が話題となったのだが、映像を確認したコロラド州公園・野生動物局は、「確実とは言えないが、前足の使い方や体格からアライグマと考えている。疥癬(かいせん)を患ったアライグマかもしれない」と分析した。
疥癬は皮膚に寄生するダニが原因で、毛が抜け落ち、体が細く見える病気だ。
外見が大きく変わるため、コヨーテや小型のクマと見間違えることがある。今回の動物も、この症状によって“別の動物”に見えていた可能性が高い。
現在も正体は謎のまま
現時点で公式な結論は出ていないが、過去の事例と専門家の意見を照らし合わせれば、疥癬を患った何らかの野生動物である可能性が高い。
もし疥癬を患っているのなら、この動物にとっても人間にとっても健康上のリスクがあるため、早期の特定と対応が望まれる。
次にレンズが向けられるとき、この謎の訪問者の正体ははっきりと記録されるかもしれない。
それまでは、住民たちの間で語り継がれる“小さな町のミステリー”として話題を提供し続けるだろう。
さて、生物処理班のみんなは何の動物だと思う?
References: Experts disagree on identity of mystery animal in Kansas[https://www.wibw.com/2025/08/05/bear-sighting-sparks-disagreement-among-kansas-wildlife-professionals/]
本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。