
飛行機が墜落する直前に機体全体を外部エアバッグで包み込み、衝撃を大幅に減らすという新しい安全システムが考案されている。
ドバイの大学に通う学生チームが開発を進める「プロジェクト・リバース」は、AIが高度や速度、エンジンの状態などを監視し、危険が避けられないと判断すると、わずか2秒で外部エアバッグを展開する。
現在は小型試作機とコンピュータシミュレーションの段階だが、衝撃を60%以上減らす結果が得られている。
この構想は、世界の若い発明家が社会の課題解決を競う国際コンペ「ジェームズ・ダイソン・アワード2025」にもエントリーされている。
飛行機の危険をAIが検知し、外部エアバッグを自動展開
このシステムは、飛行機が安全に着陸できないと予測された場合に作動する。
AIはセンサーから集めた高度、速度、進行方向、エンジンの状態、機体の揺れ、外気温などの情報を常に監視している。
危険が迫っていて高度が3,000フィート(約914m)未満になると、自動的に外部エアバッグを展開する。パイロットが状況を見て手動で停止することもできる。
外部エアバッグと推進装置で衝撃を軽減
エアバッグは機体の前方、底部、後方に取り付けられ、わずか2秒で膨らむ高速展開型だ。素材にはケブラー(Kevlar)やザイロン(Zylon)といった強くて軽い繊維を使用する。
ケブラーは防弾チョッキにも使われ、鋼鉄の約5倍の強度を持つ。ザイロンはさらに強度が高いが紫外線に弱い性質がある。
これらを多層構造にして衝撃を効率よく吸収し、機体や乗員の被害を抑えてくれる。
エンジンが動いている場合は逆推力を使い、停止している場合はガススラスター(小型ロケットのような装置)で速度を落とし、着陸の安定性を高める。
救助活動を支援する位置発信装置と機体色
墜落後の救助を迅速に行うため、機体の外装は目立つオレンジ色に塗装される。
さらに赤外線ビーコン(暗闇や悪天候でも位置を知らせる装置)、GPS機器、発光灯を搭載し、救助隊が遠くからでも墜落地点を特定しやすくする。こうした工夫で救助までの時間を短縮できる可能性がある。
試作段階を経て、国際発明コンペにエントリー
現在はセンサー、二酸化炭素カートリッジ、マイクロコントローラーを組み込んだ小型試作機で検証を行っている。
コンピュータシミュレーションでは衝撃を60%以上軽減する結果が得られており、今後は航空機メーカーや研究施設と協力して実物大モデルで風洞試験や衝突試験を行う予定だ。
この構想は、世界30カ国以上で行われる国際発明コンペ「ジェームズ・ダイソン・アワード2025[https://www.jamesdysonaward.org/]」にエントリーしている。
同アワードは社会の課題解決を目的とした革新的な発明を競うもので、各国予選を勝ち抜いた作品が国際審査に進む。
国際部門で優勝した場合には賞金として約30,000ポンド(約550万円)が授与され、さらにメディア露出や製品化支援も受けられる。これらの支援は、構想を実用化へ近づける大きな一歩となる可能性がある。
References: project rebirth proposes AI airplane crash survival system with inflating external airbags[https://brandhaus.com/project-rebirth-proposes-ai-airplane-crash-survival-system-with-inflating-external-airbags/] / project rebirth proposes AI airplane crash survival system with inflating external airbags[https://www.designboom.com/technology/project-rebirth-proposes-ai-airplane-crash-survival-system-inflating-external-airbags-james-dyson-award-08-07-2025/]
本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。