
中国人民解放軍(PLA)が、複数台が隊列を組み、群れで行動するオオカミ型の四足歩行武装ロボットを一般公開した。
従来の「犬型ロボット」と異なり、役割分担をしながら連携し戦闘を行う戦術が特徴で、人間の兵士やドローンと組み合わせることで攻撃や偵察能力を大きく高めるという。
軍事専門家は、戦術面だけでなく敵兵への心理的影響も大きいと分析している。
本物のオオカミのように群れで進軍する新たな兵器
この軍事演習は、中国西部を拠点とするPLA第76集団軍の二つの機動化歩兵中隊(車両で移動する歩兵部隊)が参加し、丘陵地帯で行われた。
目的は、無人機や地上ロボットを従来の歩兵戦術に組み込み、実戦に即した協調運用の方法を探ることにあった。
演習では、QBZ-191自動小銃(中国軍の最新型突撃銃)や携帯式ロケットランチャーを構えた兵士たちが整然と進軍し、その横を同様の武器を背負ったオオカミロボットが歩調を合わせて進んだ。
最新型では、背中にライフルを搭載した姿も映し出された。
オオカミロボットは単独ではなく、複数台が群れを成して進む。先頭は偵察を担当し、後方は火力支援を行うなど、動きは明確に分業されている。
互いに位置を保ちながら進軍する様子は、まさに戦場における群れの戦術そのものであり、機械で構成された部隊が一体となって動く光景は異様な迫力を放っていた。
周囲ではFPV(First Person View)ドローンが旋回し、遠隔操作による偵察や模擬自爆攻撃を実施。
操縦者はギリースーツ(草や枝に似せた迷彩服)をまとい、地形に溶け込みながら作戦を進めた。
オオカミロボットの高い機動力と多用途性
オオカミロボットは、中国南方工業集団有限公司が開発し、2024年の中国国際航空宇宙博覧会(Airshow China 2024)で初めて世界に公開された。
重量は約70kgで、武装攻撃、監視、物資輸送、戦場での支援など多用途での運用を想定している。
その機動性は高く、険しい地形にも対応できる。梯子を昇り、高い障害物を乗り越えることも可能だ。
都市部から高原、山岳地帯に至るまで、人間とネットワーク化された編隊を組み、戦闘能力を大きく引き上げることができる
戦場で相手の精神力を奪う可能性を指摘する専門家
中国の軍事アナリスト、傅前哨(Fu Qianshao)氏は、オオカミロボットは空中ドローン以上の戦術的効果をもたらす可能性があると指摘する。
最近、ウクライナ軍が地上ロボットとドローンだけでロシア兵を捕虜にした事例も報告されている。
傅氏はさらに、戦場でロボットと対峙することが敵兵の精神を削ぎ、士気を低下させる効果があると説明する。
攻撃を受けても前進を止めないその姿は、相手に強い圧迫感を与えるからだ。
たとえ撃破しようとしても、ロボットは動きを止めず前進を続けるため、敵軍に強い圧迫感を与えるのだ。
人間と機械がそれぞれの役割を保ちながら同じ戦場で肩を並べる時代は既に到来している。
群れで行動するオオカミロボットの登場は、さらにその一歩先を行く、自律的兵器が組織的に運用される未来の戦争の姿を見せつけているかのようだ。
References: Barrons[https://www.barrons.com/news/dogs-of-war-china-touts-killer-robot-wolves-6fe2db1c] / Defensemirror[https://www.defensemirror.com/news/39873/China_Reveals_Robot_Wolves_____Vierbeinige_Drohnen_zum_K]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者向けにわかりやすく再構成し、独自の視点で編集したものです。