
かつて心に深い傷を負い、片方の翼を失ったタイハクオウム「スイートピー」の運命が大きく変わったのは、新しい家族が飼っていた、まだ幼いラブラドール・レトリバーの子犬「コッパー」との出会いだった。
種も姿も違うふたりだが、スイートピーはコッパーに初めて会った瞬間から夢中になり、いつも彼のそばに寄り添っていた。
そんなスイートピーの想いを、コッパーもすぐに受け入れ、ふたりの間には特別な絆が育っていった。
スイートピーはコッパーの頭を撫でながら、飼い主がいつもそうするように、「アイラブユー(愛しているよ)」と人間の言葉で、その気持ちをまっすぐに伝えるという。
運命の出会いがすべてを変えた
スイートピーはアメリカに暮らす女性、ウェンディ・アルブライトさんのもとに迎え入れられたタイハクオウムだ。
迎えられた当時、彼女は片方の翼を失っていた。過去に適切なケアを受けられず、強いストレスから自傷行為に走り、飛ぶことができなくなっていたのである。
そんなスウィートピーの前に現れたのが、まだ子犬だったラブラドール・レトリバーのコッパーだった。
初対面の瞬間からスウィートピーは彼に夢中になり、ぴったりと寄り添うようになった。そしてコッパーの顔をやさしく撫でるようになった。
アイラブユーと自分の愛情を犬に伝えるオウム
自分を慕うスイートピーのことをコッパーも受け入れ、両者は特別な絆を育んでいった。
スイートピーは飼い主が自分と犬に対してそうするように、コッパーの頭をそっと撫で、「アイラブユー」とはっきり口にする。
もちろんその意味をわかっていて、ストレートに愛情を表現しているのだ。その行為は、コッパーが子犬時代の頃から現在にいたるまで変わらない。
子犬時代のアイラブユー
ふたりはまるできょうだいのように成長を共にし、遊ぶのも昼寝をするのも、いつも一緒。
スイートピーがコッパーの背中によじ登ったり、彼の横で静かに羽を休めたりする姿は、飼い主にとっても日々の癒しになっているという。
離れる時間に気づいた本当の絆
ある日、スイートピーは避妊処置のため動物病院に行くことになった。
コッパーはスイートピーがいない間、玄関のドアの前に座り込み、目を離さずじっと待ち続けたという。
一方、スイートピーも診察室に入る前、飼い主に促されるまでもなく「アイラブユー」とつぶやいた。それはまるで、「すぐに戻ってくるよ」と伝えているかのようだった。
離れて過ごしたほんの数時間が、ふたりの絆の深さを改めて浮き彫りにした。
番犬ならぬ「番オウム」もこなす名コンビ
ふたりは今、遊び相手としてだけではなく、家の守りも一緒にこなす“名コンビ”になっている。
スイートピーは、誰かが家の外を通るとコッパーそっくりの犬の鳴き声で「ワン!」と吠えてコッパーと一緒に警戒態勢をとるのだ。
まるで自分も犬の一員だと思っているかのような行動に、飼い主も思わず笑ってしまうことがあるという。
スイートピーとコッパーの関係は、種を越えた純粋な友情だ。お互いを思いやる愛情があれば、思いは通じるということを、ふたりは教えてくれる。