ロボコップ。中国ではついに人型ロボットが交通整理する時代に突入

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 少子高齢化を迎えた今、「働くロボット」はSFの世界の物ではなく、現実社会でも登場し始めている。

 そんな中、中国では新たに交通整理ロボットが誕生したそうだ。

このヒューマノイロボット(人型ロボット)は、腕を使って交通整理をし、音声で注意を促すという。

 2025年7月23日の夜、上海市内の交差点に、制服を着た人型ロボットが交通整理をしている様子がSNSで広がり話題を呼んだ。

上海の交差点に「人型交通整理ロボット」が登場

 中国の上海でお目見えしたのは、ヘルメットと反射ベスト、蛍光色の制服に身を包んだ、交通整理をする人型のヒューマノイドロボットである。

 このロボットは「シャオ・フー(小滬)」という愛称で呼ばれている。シャオ・フーの「フー」とは上海の別名だ。日本語なら「上海さん」とか、そんな感じだろうか。

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 以下はSNSに投稿された、シャオ・フーによる交通整理の様子である。現在は試験運用中だが、直進・左折・停止といった基本的なジェスチャーはすでに習得済み。

 今回は上海市黄埔区にある南京東路と中山東一路の交差点で、彼の「実習」が行われたそうだ。下がその交通整理の様子である。

 彼はジェスチャーのほか、「赤信号です。渡らないでください!」「青信号です。渡ってください!」といった音声での指示も出せるとのこと。

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基本的な指示は出せるものの、今のところは「実習」の段階

 シャオ・フーは、中国が4年の歳月をかけて開発してきた、警察ロボットのひとつである。

 今回の実証実験は、より広い範囲での活用の前段階として、実際の現場でうまく機能するかどうかをテストする目的で行われたものだ。

 人型のロボットを採用するメリットとしては、「親しみやすい」かたちで、市民と親しく直接交流できるという点があるという。

 警察がロボットを導入するメリットは他にもある。

  • 交通管理の補助:混雑した交差点の流れを改善する
  • 公共の安全向上:リアルタイムで警告を発し、起こった出来事を記録する
  • 市民との交流と情報提供:道案内や各種支援を行う
  • 業務負担の軽減:日常的な業務を引き継ぎ、警察官が複雑な事案に集中できるようにする
  • 交通データの収集:AIによる分析でスマートシティのシステムを支援する

 現在のところ、シャオ・フーのスキルは基本的なジェスチャーと音声による指示に限られている。

 しかし将来的には、自然言語処理や自律走行、スマートモビリティ・システムとの連携などが可能になるかもしれない。

 正面から見たシャオ・フーはこんな感じ。笑顔なのかもしれないけど、ちょっとだけ顔が怖いかも…。

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 2025年8月7~17日の期間、中国四川省の省都・成都では、スポーツ競技大会のワールドゲームズ2025[https://www.jwga.jp/competitions/chengdu/result.html]が開催されている。

 この大会の警備には、四足歩行型や水陸両用型など、自立走行する警察ロボットが既に配置されているらしい。

 これと同時期の8月8~12日、北京では「世界ロボット大会」が開かれた。それに合わせ、14日からはなんと世界初の「人型ロボット運動会[https://www.whrgoc.com/]」が開催される。

 マラソンサッカーボクシング、走り幅跳びやダンスといったスポーツで、ヒューマノイド型ロボットたちがそれぞれの技を競うらしい。

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日常生活に入り込むAIやロボットには賛否の声

 とはいえ、急激に進むAIやロボットの日常生活へのかかわりに、懸念を抱く人も少なくないようで、シャオ・フーの導入にも賛否両論の声がある。

  • もっといろいろなところにロボットを導入するべきだ。人間は汚職が多過ぎる
  • でも、ロボットのカメラやセンサーのデータはちゃんと保護されるのかな。どうやって使われるか不安だよ
  • ただの道路標識じゃん
    • まあ、道路標識と同じ程度には役に立つかな
  • やれやれ… ロボットが今度は存在しない問題を解決し始めたな
    • でも、数日だけ交通整理が必要な時に、給料を払う代わりに数ドルでロボットをレンタルできるようになるかもしれない。今すぐじゃないけど、これはそのための試験段階ってことだよ
  • 中国は本当に技術を磨いてきた。こういう人たちとは敵対じゃなくて友好であるべきだ
  • これはバカげてる。ロボットは好きだけど、この状況で必要な理由はない
    • 技術デモなんていつも単純でバカバカしいものだよ。でも、基盤技術を証明する場でもある。これは印象的な公開デモだし、未来の一端を見せている。将来、このロボットが量産されて信頼性が上がれば、停電や信号修理時に配備するのは実用的かもしれない。今は8割がPRで、2割が技術試験ってところだね
      • まさに中国で暮らすってこういう感じ。とにかく技術を試して、使えそうなものを探る。もちろんこれは上海でも観光客が多い場所での見せ物だ。
        でも確かに、これから来るものの先取りでもあるよ。実際、ここに住んでいると未来にいるみたいに感じる時がある
  • この光景、あまりに先進的すぎる!
  • 中国はもう2050年にいるみたいだね
  • これは映画のワンシーンじゃない。現実の上海の新しい光景なんだ
  • ああそうだね、このロボットは完全に自律で動いていて、画面の外から遠隔操作なんてされてないとも…。いや~見せつけてくるね~しかも一発撮りだったに違いないし(皮肉)
    • ここでそういうこと言うのはやめれ。中国共産党の宣伝部にでも言ってくれ
  • これ、多分交通を悪化させただけだろ。それに意味ある? 特に、画面の外に信号機があるなら。混雑してる場所に、必要でもないのに置くとかさ
  • このロボットが信号機の補助として、交通整理だけを担当するなら理にかなってる。近くの充電ステーションで自分で充電できるなら、なおいいね。最近、自分でバッテリーを外して別の電池に交換できるロボットの動画を見たよこの先は全部ロボットが管理するようになるの?
  • 技術がどれほどクールでも、法規が追いつかなきゃだめだよ
  • 「これは非効率だ!」って脊髄反射的にコメントしてる人たちは、大局を見落としてると思う。これはロボットを交通警官にするための話じゃない(そうであってはならない)。ロボットがさまざまな仕事をこなせるように訓練されることこそ重要なんだ。ポップコーンを売るロボットでも、交通整理のふりをするロボットでも、それは大きな構想の一部なんだよ

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少子高齢化を迎えロボット導入に取り組む中国社会

 14億の人口を抱える中国でも少子化は深刻な問題となっており、2021年以降は総人口が減少に転じているという。

 特に出生数はここ10年で半分近くも減っており、この傾向は今後も続くと見られている。

 つまり20年後には新社会人になるはずの若者の数が半分になり、その後もさらに働き手の数がどんどん減っていく可能性があるわけだ。

 警察でのロボットの導入は、そんな社会情勢の中、AIとロボットを日常生活に取り入れようとする中国の取り組みの象徴とされるものだという。

 人口が中国の10分の1以下で、超少子高齢化社会へと突き進んでいく日本にとっても、AIやロボットの日常生活への導入は、決して他人ごとではない問題だ。

 街の中で働いているのはロボットだけ…といったSFじみた世界は、実はもうすぐそこまで来ているのかもしれない。

 上海市公安局は、シャオ・フーを「交通管制における新たな技術的アプローチ」を象徴するものと位置づけており、今後もスマートシティの基盤整備に伴って、さらなる革新的なロボットを導入予定だという。

 中国の警察官がロボコップになる時代もすぐそこまでやってきてるんだな。

References: ‘China Is Living In 2052’: Humanoid Robot Directs Traffic In Shanghai | Video[https://www.news18.com/viral/china-is-living-in-2052-humanoid-robot-directs-traffic-in-shanghai-video-aa-ws-l-9500511.html#google_vignette]

本記事は、海外の記事を参考にし、日本の読者向けに独自の考察を加えて再構成しています。

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