
アメリカ、テキサス州に住む女性は、最近、愛猫のミアを失った。ミアは愛情深く、常に心に寄り添ってくれた、生涯でただ一匹の特別な猫だったという。
女性はこれまで撮りためたミアの写真や動画を見返していたところ、11年前に撮影した一本の映像を再発見した。
そこには、ミアの思いがけない一面が映し出されており、彼女はその大切な思い出を、みんなにも届けたいとSNSに投稿した。
ミアのために良かれと思って買ってきた“あるもの”を見せたときの映像だ。それを目にしたミアは、一歩も動かず、耳を伏せ、背中を丸め、目を見開いたまま、ピタリと固まってしまったのだ。
想定外のその反応に、飼い主は思わず笑ってしまいながらも、「ごめんね、そんなつもりじゃなかったの」と、買ってきたことを後悔したという。
亡き愛猫が残した、忘れられない出来事
動画が撮影されたのは11年前。愛猫のミアがまだ若く、元気に走り回っていた頃のことだ。
飼い主女性はある日、近所のデパートで、灰色の猫の形をした庭用の置物を発見した。背を丸め、不思議な表情を浮かべるその姿に、「スプーキーキャット(SpookyCat:不気味猫)」と名付けだ。
目が生気が宿ってなかったので、女性は動く目玉のシールを貼り付けた。
リビングにスプーキーキャットを置いて、さっそくミアを呼びだした。ミアが友達として受け入れてくれたらいいなという思いもあった。
置物の猫を見たミア、固まってしまう
だがミアは予想外の反応を示した。
ミアを呼ぶと、いつものように素早く駆け寄ってきたが、スプーキーキャットを見たその瞬間、ピタリと足を止めて硬直し、警戒態勢をとり固まってしまったのだ。
背中を丸め、尻尾を高く上げ、足を踏ん張り、耳ををぺたんと伏せている。いわゆるイカ耳というやつだ。
これは、猫が強い恐怖や警戒を感じたときに見せる典型的なポーズだ。
イカ耳は、繊細な耳を敵から守るための本能的な防御姿勢であり、「これは危険だ」と察知したとき、猫は本能的に耳を横に伏せる。さらに、周囲の気配をより敏感に感じ取ろうとする意図も含まれている。
「ミアはとても度胸があり、フレンドリーな猫だったので、あんなふうに完全に固まるとは思いませんでした」と飼い主女性
動画には、ミアの大きく見開かれた目、ぴくぴく動く尻尾、張り詰めた空気がそのまま記録されていた。
女性は笑いながらも、すぐに「ごめんね、もう見せないからね」とミアに語りかけ、スプーキーキャットを片付けた。
思い出の中で、今も生き続けるミア
この動画は2025年、ミアが亡くなった後、思い出を振り返る中で再発見された。
女性は、動画を見て当時のことを鮮明に思い出したという。懐かしくてうれしくて、そしてちょっぴり後悔しながらも、くすっと笑ってしまった、ミアとの思い出をみんなと共有したいと思い、TikTokに投稿したという。
動画は「人生で一番バカな買い物をミアに見せた瞬間」というコメント付きで投稿され、440万回以上再生されだ。
この動画には、「猫が2匹の像になった」「これが本当の身の危険を感じた瞬間」「まるで北米の人喰いの怪物“ウェンディゴ(Wendigo)”に出会ったときのような顔だ」など、様々なコメントが寄せられ、多くの笑いや共感、そしてミアへの追悼の声が寄せられた。
「あれ以来、置物を繰り返し見せたり、驚かせたりしたことはありません。一度だけの出来事でした。私はミアをとても愛していました」と、女性は語った。
ミアは今はもういない。けれど、あの動画を通して、多くの人の心にミアという猫の存在は深く刻まれ、記憶に残ることになった。
愛猫と暮らした日々は、飼い主にとって時が経っても色あせることはない。記録に収めた写真や動画を見るたびに、その思い出が鮮明に蘇ってくるのだから。