
日本のマンガやアニメは、今や世界中に広まっていて、いろんなところで愛と勇気と夢と希望と友情と努力と根性なんかをバラまいているようだ。
中国に住むとある男性が、アニメ化もされた日本の漫画「ワンパンマン」の主人公サイタマに触発され、彼を目指して1,000日間の過酷なトレーニングをやり抜いた。
人生に絶望していた彼は、「ワンパンマン」に出会ったことで人生を立て直し、まるで別人のように生まれ変わることに成功したのだ。
どん底で出会った「人生を変えた日本のマンガ」
中国山東省出身の李双勇(リ・シュアンヨン) さん(39)は、ハンドルネーム「堂主(タンジュ)lee」として、現在約100万人のフォロワーを持つ有名人である。
だが、彼の人生は決して華やかなものではなかった。それどころか、彼は文字通りどん底から這い上がって来たのだ。
貧しい農村に生まれた彼は、2021年、経営していた養魚場が破綻して莫大な借金を抱えることに。まもなく結婚生活も破綻して、何もかもをなくしたのだ。
彼は当時を振り返り、その頃の自分は「人生の負け犬」以外の何物でもなく、目的も当てもなく日々を過ごしていたという。
そんな時、李さんが出会ったのが、日本の人気マンガ「ワンパンマン」だった。きっと知ってる人も多いだろうが、ざっと説明しておこう
このマンガの主人公のサイタマは、典型的なスーパーヒーローとは似ても似つかないハ…いや、スキンヘッドの男である。
就活中にふとしたきっかけで「ヒーロー」になることを決意。3年間ひたすら自主トレーニングを積んで、今や一撃ワンパンチで相手を倒すヒーローに。
栄光だの復讐だのためではなく、ただ純粋に「ヒーローになりたい」という思いだけで戦う。それがハゲマント・サイタマなのだ。
この「ワンパンマン」を読んだ李さんは、36歳にして目からウロコが落ちる思いをした。負け犬の自分もヒーローになれる?
自分を救わなければならなかった。このままでは生きていけれない。これ以上悪くなることはないと思ったんだ
サイタマと同じトレーニングを1,000日間続けた結果
そして2021年8月24日、李さんはサイタマと同じメニューを1,000日間、毎日実践することを決意した。
だがいかんせん、生きていくためには先立つものがいる。このチャレンジの最大の課題はお金だった。
李さんは10元(約200円)以下の靴で走り、毎日卵とインスタントラーメンで食いつないだ。
食べる物にも事欠く生活の中、それでも彼は毎日欠かさずトレーニングを続けた。そしてその様子を動画に撮影し、ネットに投稿[https://space.bilibili.com/2035556081]するようになった。
だが李さんは、マンガのキャラクターの真似をするのは、実際には簡単ではないことにすぐに気づいた。
スポーツの素養がない彼にとって、毎日100回ずつの腕立て伏せ・スクワット・腹筋、そして10kmのランニングを続けるのはハードなんてものじゃなかったのだ。
最初のうちはすぐに汗だくになり、腕が震え、ほんの少し身体を動かすだけで疲労困憊してしまった。
だがどんなにつらくても、彼はあきらめることも投げ出すこともなく、地道に毎日のノルマをこなしていった。
彼が投稿する動画は、最初のうちは誰にも顧みられなかった。「どうせすぐにやめるだろう」と、誰もが思っていたのだ。
だが徐々に、視聴者の見る目は変わっていった。毎日毎日、欠かすことなくアップされる動画。
貧弱だった李さんの体格は、動画の中で少しずつ、だが目に見えて確実に変わっていった。
最初は走るだけでも辛かった10kmのランニングも、いつの間にか軽々とこなすようになり、時には1日に何回もこなすように。
さらに100kmのロングランに挑戦する頃には、彼のフォロワーは数千人、数万人を数えるようになっていた。
「人生の負け犬」が自信と希望に満ちあふれたヒーローに
やがて李さんにはスポンサーがつき、新品のランニングシューズやサプリメントが彼のもとに届けられるように。
台湾のファングループは彼のトレーニングを大学キャンパスのスクリーンで生中継し、遠隔で一緒にトレーニングを行うイベントまで開催したという。
さらに出場したマラソン大会では、運命の恋人との出会いがあった。彼を励まし、支え続けてくれる年下の女性なんだそうだ。
そして2025年7月19日、彼のチャレンジはついに1000日目を迎えた。累計走行距離は2万kmを超え、各種トレーニングの回数は100万回を突破。
弱々しかった身体は、筋肉質のたくましい細マッチョに生まれ変わり、同時に心も自信とポジティブな希望で満たされるようになったという。
1,000日目、李さんはサイタマに敬意を表し、頭を丸めてハゲマントのコスチュームに身を包んで、長かったトレーニングを締めくくった。
2021年8月に開始したチャレンジだが、1,000日目が約4年後になったのは、途中でひざを痛めるなどして休養する必要があったからとのこと。
彼はこの1,000日間を振り返って、次のように語っている。
成功を信じ続けたことが、自分の執念になり支えになりました。希望を無限に増幅させようと努めてきたんです
同時に、自分の後に続こうとするファンたちへのアドバイスも忘れない。
自分のようなトレーニング方法は、誰にでも合うものではありません。どうか盲目的に真似することはやめてください
原作者からもコメントが
なんと李さんの偉業は本家「ワンパンマン」の作者・ONE氏の耳にも入ったらしい。ONE氏は自身のX(旧Twitter)に、李さんを讃えるコメントを投稿している。
なお、李さんにとって、この1,000日の挑戦は大きな自信につながると同時に、新たな人生の始まりとなったようだ。
彼は次に、「1年間、毎日フルマラソンを走る」というギネス世界記録に挑戦しようと考えているそうだ。
李さんの途方もない偉業達成に、ネットからは「あり得ない」「すごい自律だ」と、称賛の声がたくさん寄せられている。
- いや、ガチで似てるやん
- 本当に尊敬する! 特に最初の数日はめちゃくちゃきつかったはず
- 素晴らしい。次は山に向かって本気の一撃を放つのを見たい
- アニメのトレーニングを現実にしてしまうなんて信じられない。途方もない規律だよ
- 次は勇次郎や刃牙のトレーニング法をやってほしい(笑)
- 彼の決意は感動的だが、大多数の人はもっとバランスの取れた、科学的根拠のある運動と栄養の接種を守るべきだ
- 真似しない方がいいよ、髪が抜けちゃうから…
- 記事にちゃんと「自分で剃った」ってあるのに、「ハゲ」って騒いでる人いるね
- このまま続けたら本当にハゲそうだけど
などと結局最後には、また髪の話をし始めるネット民たちなのであった。
References: China ‘life loser’ transforms life in 1,000 days through intense training, gains online fame[https://www.scmp.com/news/people-culture/article/3320147/china-life-loser-transforms-life-1000-days-through-intense-training-gains-online-fame?module=perpetual_scroll_0&pgtype=article]
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。