ビッグフットがAIで復活、自撮りしながら北カリフォルニアの都市を観光案内
City of Folsom – Government

ビッグフットがAIで復活、自撮りしながら北カリフォルニアの都...の画像はこちら >>

 観光PRにもAI(人工知能)が使用される時代となった。アメリカ・カリフォルニア州北部のフォルサム市が、伝説の未確認生物「ビッグフット」をAIで蘇らせ、自撮りしながら観光案内をする映像を作成し、SNSで話題を集めている。

 限られた予算でも最大限の効果を狙ったこのプロジェクト。なぜビッグフットなのか? そこにはカリフォルニアならではの理由がある。

AIビッグフットが観光大使に

 ビッグフットとは、北アメリカの森林地帯に現れるとされる、全身毛むくじゃらの未確認生物(UMA)のことだ。

 身長2~3m、足跡が非常に大きいことからこの名がついたとされる。また、先住民の間に伝わるサスカッチ(Sasquatch)と同一視される場合もある。

 長年にわたり多くの目撃情報があるが、科学的に実在が証明されたことはない。

 そんなミステリアスな存在が、突如カリフォルニア州フォルサム市に登場した。もちろん実物ではなく、生成AIによって作られたデジタルのビッグフットだ。

 2025年7月、フォルサム市がSNSで公開した動画では、このAIビッグフットが自撮りスタイルで市内を案内。

[画像を見る]

 フォルサム動物園を訪れ、ナトマ湖で泳ぎ、歴史地区でアイスクリームを楽しむという内容で、まるで旅行者のように街を満喫している。

 この映像はGoogleのAI動画ツール「Veo(ヴィオ)」を使用して制作された。

 担当した市職員クリス・シェパード氏によると「作業時間は約1時間半」。低予算ながら、ユニークで親しみやすい観光PRとして注目を集めた。

[動画を見る]

カリフォルニアは「ビッグフットの聖地」

 ではなぜ、観光ガイド役としてビッグフットが選ばれたのか。その背景には、カリフォルニア州とビッグフットの間にある深い縁がある。

 1967年10月20日、カリフォルニア州北部のブラフ・クリークで撮影された「パターソン=ギムリン・フィルム」は、ビッグフットの存在を主張する有名な映像として知られ、UMAファンの間では今なお語り継がれている。

 撮影したのは、地元のロジャー・パターソンとロバート・ギムリンの二人。彼らは馬に乗って山中を探索していた最中、全身が黒い毛に覆われた体長2mほどのメスのビッグフット(サスカッチ)と遭遇し、その姿をカラーの8mmフィルムで記録した。この個体は、のちに「パティ」と名付けられた。

 ただし、この映像の信ぴょう性については、撮影当初から現在に至るまで大きな論争が続いている。

[動画を見る]

 それでも、この映像をきっかけにカリフォルニア州北部の一帯は“ビッグフット生息の地”として広く知られるようになった。

 中でもウィロー・クリークという町には、ビッグフット博物館や巨大な像が建てられ、「ビッグフットの首都」とも呼ばれている。周辺では目撃情報も多く、特にハンボルト郡では40件を超える報告が記録されている。

 こうした背景をふまえ、2025年2月、カリフォルニア州議会にはビッグフットを「州の公式未確認動物(UMA)[http://「州の公式未確認動物(UMA)]」として認定しようとする法案が提出された。

 法案番号は666。バレンタインデーに提出されたこの法案は、ビッグフットを州花や州木と並ぶ新たな「州のシンボル」として明文化しようとするものである。

 法案を提出したのは、クリス・ロジャーズ議員。彼の選挙区は、パターソン=ギムリン・フィルムが撮影された地域にあたる。議員は「ビッグフットはこの地域の歴史と文化の一部。公式に認めることで、観光資源としての価値も高まる」と語っている。

 実際、地元ではビッグフットをテーマにしたフェスティバルやグッズ、ツアー企画などが行われており、すでに“ゆるキャラ”的な存在として親しまれている。

[画像を見る]

  カリフォルニア州北部の町ウィロー・クリークにはビッグフット博物館や巨大な像が建てられ、「ビッグフットの首都」と呼ばれている。近隣では目撃情報も多く、とくにハンボルト郡では40件を超える報告が記録されている。

 こうした背景をふまえ、2025年2月、カリフォルニア州議会にはビッグフットを「州の公式未確認動物(UMA)」として認定しようとする法案が提出された。

 法案番号は666。バレンタインデーに提出されたこの法案は、ビッグフットをカリフォルニア州の象徴のひとつとして明文化しようとするもので、州花や州木と並ぶ新たな「州のシンボル」として位置づける狙いがある。

 法案を提出したクリス・ロジャーズ議員の選挙区は、パターソン=ギムリン・フィルムが撮影された地域にあたる。

 法案の動機について、議員は「ビッグフットはこの地域の歴史と文化の一部。

公式に認めることで、観光資源としての価値も高まる」と語っている。

 実際、地元ではビッグフットをテーマにしたフェスティバルやグッズ、ツアー企画などが行われており、すでに“ゆるキャラ”的な存在として親しまれている。

 ネス湖のネッシーが年間数十億円規模の経済効果を生んでいるように、ビッグフットにも同様の期待が寄せられている。

[画像を見る]

伝説×テクノロジーが観光を変える

 フォルサム市のAIビッグフット映像は、地域に根差した伝説と、最先端の技術を掛け合わせることで、現代の感覚に合った形で街の魅力を発信することに成功している。

 とくに、これまでフォルサムを訪れたことのないミレニアル世代やZ世代に向けたアプローチとして、ユーモアとデジタル演出を活かしたこの手法は効果的だった。

 市職員クリス・シェパード氏も「若い層に街の魅力を伝えるきっかけになった」と手応えを語っている。

世界で進む、生成AIを使った観光戦略

 フォルサム市のように、生成AIを観光分野に活用する事例は、世界中で広がりを見せている。

 アイルランドのダブリン[https://www.deardublin.com/]では、旅行者一人ひとりに合わせた旅程をAIが自動作成するサービスを試験導入中だ。

 アラブ首長国連邦のドバイでは、観光施設にAIガイドを配置した体験型観光も展開されている。

 今後も、各地でAIによる町おこし的観光大使が広がっていくのかもしれない。

編集部おすすめ