ヘッドレスチキン(首無しニワトリ)の名を持つ「ユメナマコ」 新たな映像が公開

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 カラパイアで何度か紹介している「ヘッドレスチキン(首無しニワトリ)モンスター」こと「ユメナマコ」の新たな映像が届いた。

 水中をふわふわと漂っている姿は、一見するとクラゲの仲間かと思ってしまいそうだが、れっきとしたナマコの仲間である。

 英語の名前からは少々不吉なイメージも沸くが、なんともユーモラスな動きに魅せられる深海クリーチャーファンも多いようだ。

マリアナ海溝周辺で撮影された貴重な映像

 2025年5月、オーシャン・エクスプロレーション・トラスト(OET)の海底探査船ノーチラス号が、このユメナマコを撮影した映像が公開された。

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 場所はマリアナ海溝のヴォグト海山周辺の深海だという。今回の調査は、活発な海底火山の兆候が見られる地点や、深海にある平原の探査が目的だった。

 そこにはアメリカが2009年に指定した「マリアナ海溝海洋国定記念物(Mariana Trench Marine National Monument)」と、その周辺も含まれる。

 その探査中に撮影されたのが、今回のこのユメナマコの映像なのだ。

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まるで丸ごとチキンのような「ヘッドレスチキン・モンスター」

 ユメナマコは板足目クラゲナマコ科に属する生き物で、学名はEnypniastes eximia。南極を含む世界中の深海に生息していることがわかっている。

 身体が半透明に透けていて、餌を食べた後は体内にある消化器官が見えるようになる。体色は小さいうちはピンク色、大きくなると赤褐色に変わるという。

 なんで「ヘッドレスチキン」と呼ばれるのかは、その身体つきを見てもらうと何となくわかるんじゃないだろうか。

 身体の両脇には羽のようなビラビラがあり、首にあたりそうな部分には穴が開いていて、文字通り頭を落とした丸ごとチキンのようなビジュアルなのだ。

 ユメナマコは最大で全長25cmほどになるというから、サイズ的にもちょっと似たような感じかもしれない。

 和名の「ユメナマコ(夢海鼠)ならなんとなく幻想的な感じがするが、「ヘッドレスチキン・モンスター」だとだいぶイメージが変わるよね。

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「泳ぐナマコ」としても知られるデリケートなクリーチャー

 ナマコと聞くと、海底にじっとしているイメージだが、このユメナマコは泳ぐ能力に長けていて、なんとその生涯のほとんどを泳いで過ごしているんだそうだ。

 身体の前後に水かきのようなヒレ状の構造を持っていて、これを動かすことで水中を移動する。

 移動に使われるのは主に身体の前方にあるヒレで、後ろのほうにあるヒレは姿勢制御に使われているらしい。

 すこし深度の浅い方向へ移動したい時には、泳ぎながら排泄して身体を軽くすることで、浮力を得て上昇するのだとか。

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 外皮は非常にもろく、少し刺激を受けると剥がれ落ちてしまう。その際、体表にある組織から発光物質が放出され、海中に「光の雲」のように広がるんだとか。

 これは一種の防御行為で、この光によって敵の眼をそらしたり、あるいは周囲を照らすことによって、さらに大きな捕食者の眼を敵に引きつけたりするのではないかと言われている。

 今のところ、この謎めいた深海ナマコについてわかっていることは非常に少ない。採取しようにも上述の通り、触れただけで簡単に損傷してしまうためだ。

 わかっているのは海底に堆積した有機物を食べるために、ほんの少しの間だけ着地して、砂地に触手をつけて餌を口に押し込むこと。

 長くても海底に留まるのは1分程度で、これを何度も繰り返して断続的に餌をとるのだという。

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 日本近海でも底引き網などにかかることはあるらしいが、あまりにもデリケート過ぎて、水揚げされる頃にはボロボロになってしまっていることが多い。

 かろうじて生きていたとしても、水槽では1~2日生き延びるのがやっとで、水族館などでも滅多に展示されないレアな生き物だ。

 ごくたまに短い期間展示されることもないわけではないので、全国各地の水族館の情報をチェックしていると、実物に出会える機会があるかもしれない。

 なお、ノーチラス号はこの後ガダルカナル島沖で、第二次世界大戦中に沈没した旧日本海軍の駆逐艦「照月」と見られる船体を発見したそうだ。

 発見時の映像を貼っておくので、興味のある人はぜひ見てみてほしい。

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References: Headless chicken monster: The deep sea cucumber with tubular feet for gobbling sediment[https://www.livescience.com/animals/headless-chicken-monster-the-deep-sea-cucumber-with-tubular-feet-for-gobbling-sediment]

本記事は、海外で公開された情報の中から重要なポイントを抽出し、日本の読者向けに編集したものです。

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