「猫がこの車のどこかにいます!」地域住民たちのやさしさの連鎖が子猫を救う
@chipandlouiebros

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 アメリカ・ニューヨークに住む女性が、ある朝いつものように自分の車のもとへ向かうと、何枚もの手書きのメモが貼られていたことに気が付いた。

 メモには「猫がこの車のどこかにいます!」という内容が書かれていて、「手が必要なら連絡してください」と電話番号まで書かれていた。

 彼女はすぐに、車を一部始終確認し始めた。すると、地域住民たちが次々と集まってきて、事情を知ると子猫を救うために一致団結した。

 車の中から子猫の鳴き声がかすかに聞こえるものの、なかなか出てこない。だが、皆の協力のおかげで、ついに救出に成功!

 やがて新しい家族の誕生という温かな結末を迎えることになる。

この車のどこかに猫がいます!窓ガラスに複数のメモ

 マリア・ヤゴダさんが自宅前に停めていた車の窓ガラスに貼られていたのは、複数の手書きのメモだった。

 メモには、「あなたの車の下か中に子猫がいます」と蛍光ピンクのペンで目立つように書かれており、さらに「子猫のことで助けが必要なら、この番号に電話して」という連絡先まで記されていた。

 ヤゴダさんはすぐに車を確認した。エンジンルームも調べたが、そこに猫の姿はなかった。

 そこでヤゴダさんは、メモに書かれていた電話番号に電話をかけることにした。

 その相手はこれまで面識のなかった、とてもやさしい近所の人だったという。

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見知らぬ住民たちが集まり、猫救助隊が結成される

 車の周囲には次第に近所の人たちが集まり始めた。子猫が閉じ込められていると知り、救助を手伝うためにやってきたのだ。

 住民たちはタイヤの隙間やエンジンルームの下を覗き込みながら、「どこかにいるはずだ」と必死に探してくれていた。

 車の構造上、安全に中を確認するには車を持ち上げる必要がある。

そこで、通りかかった建設作業員に協力して欲しいとお願いすると、快くよく引き受けてくれた。彼がジャッキで車を持ち上げてくれたため、車の下を探しやすくなった。

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 さらに、ブルックリン地区で野良猫の保護活動を行っている「グリーンポイント・キャッツ(Greenpoint Cats)」にも連絡した。

 経験豊富な保護猫ボランティア、ベッキーさんが現場に駆けつけたことで、事態は一気に動き出す。

別の子猫を近づけ、おびき寄せる作戦

 ベッキーさんはまず、スマートフォンで子猫の鳴き声を再生した。すると、車の中から小さな鳴き声が返ってきた。

 確かに車の中に猫がいる!その存在が明らかになった瞬間だった。

 次にベッキーさんは、保護施設にいた子猫「リディア」を連れてきていた。仲間の鳴き声を聞けば、隠れている子猫も安心して出てくるかもしれないという作戦だった。

 ところが、リディアはその場でのんびりくつろいでしまい、まったく鳴く気配はない。可愛い姿には癒されるものの、作戦としてはあまり役に立たなかった。

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 すると今度は、別の住民が「うちの猫はおしゃべりですよ」と、自宅から自分の猫をキャリーに入れて連れてきた。

 この猫の大きな鳴き声に反応したのか、ついに車の下から子猫が姿を現した。

ところが、すぐに別の車の下へと走って逃げてしまった。

バリケードと捕獲器で、ついに救出成功

 子猫が逃げ込んだ車からまた別の場所に移動しないように、ベッキーさんと住民たちは、その車の周囲に段ボールや木の板などを使って簡易的なバリケードを設置した。

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 そして、保護団体が用意した人道的な捕獲器も複数設置。あとは子猫が自ら入ってくれるのを待つばかりだった。 

 その日の夜11時、ついに捕獲器の中に子猫が入ったことを確認。朝から遅くまで協力していた住民たちの間には、安堵の空気が広がった。

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 保護された子猫には「ポットホール(Pothole)」と名付けられた。

 これは道路の穴を意味する言葉で、彼が車という危険な場所に閉じ込められていたことにちなんでいる。

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おとり猫「リディア」と再会。同じ家族の元へ

 ポットホールは、おとりとして現場に来ていたリディアと再会した。作戦中は活躍できなかった2匹だったが、保護されたあと徐々に距離を縮め、今ではすっかり大親友だ。

 最終的に、ポットホールとリディアは一緒に同じ家庭に引き取られ、愛情をたっぷり受けて、幸せに暮らしているという。

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住民たちのやさしさの連鎖が猫の命を救う

 見知らぬ誰かが残したメモをきっかけに始まった猫の救出劇。

多くの地域住民たちが団結し、保護団体の協力も加わって、ひとつの小さな命が救われた。

 ヤゴダさんは、「まさか自分の車の中に子猫がいるなんて思わなかった。でも、それ以上に、こんなにたくさんの人が協力して助けてくれるなんてびっくりしました。本当に感動しました」と語っている。

 都市生活の中で、他人と関わることが少なくなってきている現代。そんな中で、子猫がきっかけとなって、人と人が再びつながるきっかけが生まれた。

 今ではきっと、お互いに会えば挨拶を交わす関係になったことだろう。そのきっかけをくれたのは、ほかならぬ1匹の子猫だった。そして、人間のやさしさも、まだまだ捨てたものじゃないのだ。

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