
アメリカのテキサス州で行方不明になっていたシングルマザー女性が、イギリスのスコットランドの森林地帯で発見された。
「クバラ王国」を名乗る、失われたアフリカ部族集団の一員になっていたのだ。
彼女は現在この王国で王妃の「侍女」、そして王の「側室」として、共同生活を送っているという。
本人は行方不明になってはいないし、大人として自分で選択したと語り、親族や当局に対して、この生活に干渉しないよう訴えているそうだ。
森の中で「王の側室」になっていた行方不明のシングルマザー
テキサス州で行方不明になっていたとされていたのは、21歳のシングルマザー、カウラ・テイラーさんである。
そして今回、彼女が発見されたのは、スコットランド、エジンバラの南約66kmに位置するジェドバーグの森の中だ。
彼女はこの森で、「アフリカの失われた部族・クバラ王国」を名乗る集団の中で、「王」と「王妃」と共にいることが確認された。
テイラーさんは2025年5月に6か月の観光ビザでイギリスに入国したあと、クバラ王国に合流。現在は「アスナット」もしくは「レディ・サフィ[https://www.facebook.com/profile.php?id=100090759708531]」と呼ばれているという。
クバラ王国は王と王妃、そして「侍女」であるテイラーさんの3人で構成される小さなコミュニティだ。
ここでの生活は、「創造主とつながること」に尽きます。私たちの創造性と創造主がつくり出した自然、つまりその被造物を通じてつながるのです。
自然の食べ物を食べており、生活や食事のためにシステムに依存する必要はありません
テイラーさんは、クバラ王国での暮らしについてこう語る。この「王国」での彼女の立場は、王妃の侍女であると同時に、王の「側室」でもあるらしい。
私は女王の侍女であり、下位の側室でもあります。
また、女王の代理として、子を宿す役目も担っています。
私は女王のしもべであり、正式な妻の称号は持ちませんが、王は私の夫であり、私たちはひとつの一族なのです
「失われたアフリカ部族の王国」クバラとは?
この集団を率いるのは、かつてオペラ歌手だった、「クバラ王アテヘネ」を名乗るコフィ・オフェ(36)と、その妻である「王妃ナンディ」ことジーン・ガショ(43)だ。
彼らは自らを「ユダヤの失われた支族」であるとし、スコットランドは本来自分たちの祖先の地であると主張している。
クバラ王国は、400年前にイギリスに存在した王国です。この王国は、スコットランドの高地人であるジャコバイト、クバラの真のムーア人ための王国です。
400年前、私の先祖はこの土地から追放されました。残りの者は、かつて所有していた土地で殺され、破壊されました。
一部はグアナ(イギリス領バージン諸島の島)へ、一部はハイチへ、一部はジャマイカへ、一部はガーナへ移住しました。
しかし、予言では400年後、クバラの復興が訪れるとされています。メシヤであるクバラの王が、その遺産を取り戻すために戻ってくるのです。
これが『ライオン・キング』で語られた物語です。私はクバラの王であり、誇りを取り戻すために来たのです
世界史で習った記憶のある人もいるかもしれないが、「ジャコバイト[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%88]」とは簡単に言うと、17世紀にイギリスで起きた名誉革命の際に追放された、国王ジェームズの支持者たちのことである。
アフリカもユダヤの支族も、ライオンキングもおそらくまったく関係ないと思われるのだが、なぜこんな設定の世界線になったのか。
「創造主に従い、自然の中で生きる部族」
彼らは当初、イングランドとの境にあるスコティッシュ・ボーダーズ議会の敷地で暮らしていたようだが、立ち退きの通知を受け、放火などの嫌がらせを受けたために、この森の中へ移動して来たのだという。
我々は創造主の法に従っています。すべては創造主のものです。我々はいかなる権威も、土地を所有しているとは信じません。
大地は父なる創造主のものです。そこから立ち退くなど聞いたこともありません。我々はとどまり、祖先がそうしたように権威と力を確立するのです
森の中で、彼らはどうやって生活しているのだろうか。紹介された映像を見る限りでは、テントを張って暮らしているらしい。
私たちは純粋さに立ち返る、とてもシンプルな生活を送っています。自然とつながり、木々とつながり、毎朝地に足をつけた生活をしています。
湧き水で体を清め、食べ物も住まいも衣服も、日々創造主に頼っています。壁のないテントで暮らしていますが、誰も恐れてんどいません。創造主ヤハウェの加護を受けているからです
こんな話だけを聞くと、自然と共に生きるストイックでオーガニックな共同生活を想像してしまいがちだ。
だが、アテヘネ王は取材に訪れた人が持ち込んだスナック菓子やソーダ飲料などを、侍女であるテイラーさんから自分に「献上」させている。
さらに近所の共同住宅まで出かけて行っては、外から共用Wi-Fiを利用している王様の姿もしょっちゅう目撃されているそうだ。
クバラに生きるこの生活こそ、最も本物で美しい生き方です。創造主のみに頼る人生なのです。自然と再びつながる生き方であり、自然は我らを養ってくれ、我らは苦労をすることがありません。
我らが唯一行うのは、神々のために働くことだけであり、それは大いなる喜びを与えてくれます。
ここには笑いがあります。朝目覚めるとき、雨が降っていようと、寒かろうと、我らはそれを受け入れます。なぜなら我らは北の民だからです
元オペラ歌手の王と大神官を名乗る王妃
こう語る「クバラ王」アテヘネ王は、実はかつて、コフィ・オフェと言う名前でオペラ歌手として活動していたそうだ。下は当時の彼のルックスと歌声だそう。
それが10年後にはこうなった。街中で「クバラ王国が到来した! すべての者はクバラ12部族の前に跪かなくてはならない!」と叫ぶ王と王妃。周囲の人たちの視線が痛い。
王様もなかなかエキセントリックだが、王妃のほうも負けてはいない。彼女は自分を「大神官」「女預言者」と称し、夢や幻視で王をサポートしているのだそうだ。
残念なのは、私の子どもたちがここにいないことです。彼らは私の信仰ゆえに奪われました。
我らがクバラの神、ヤハワ(ヤホワ)を受け入れたとき、すべての子どもたちは政府に奪われたのです
「国王夫妻」は児童虐待容疑で起訴されていた
彼らが「奪われた」とする子供たちだが、実際は当局によって「保護」されたというのが真相らしい。
実はこの「王」と「王妃」は、2024年7月に児童虐待の罪で起訴されている。2人は当時35歳と41歳で、イングランド北東部にあるストックトン・オン・ティーズと言う街でトラブルを起こしていた。
彼らの住んでいたアパートには、窓に卍などのスピリチュアルな装飾が施され、街中で祈ったり叫び声を上げたりといった様子が目撃されていたという。
その後2人は児童虐待の容疑で起訴され、子供たちは社会福祉局に保護された。法廷では有罪にはならなかったようだが、どうやらその後スコットランドの森に移り住んで、この「王国」を築いたらしいのだ。
彼らはクバラ王国のTikTok[https://www.tiktok.com/@moorishtribe]やYouTubeチャンネル[https://www.youtube.com/@kubalakingdom]を運営しており、自分たちの主張をネットで発信し続けている。
映像の中にはほかの「国民」らしき人々が写っているものもあるが、森の中で暮らしているのは今のところ3人だけのようだ。
以前暮らしていた住宅街で、子供たちの「里親」に悪態をつきまくる王と王妃。
親族は心配するも、本人に帰国する意思はない模様
テイラーさん発見!のニュースで集まって来たネット民たちは、この「スコットランドのアフリカ部族」に戸惑いを隠せないようだ。
- 誰か教えて。この人たちって演技なの? パロディアカウント? それとも本気?
- 彼らは本気だよ
- 大人がコスプレして遊んでるようにしか見えない
- 自分も8歳のころはキャンプファイヤーの周りでごっこ遊びしてたよ。まだ続いてるのを見て嬉しいね
- アメリカにも「黒人こそ本当のネイティブアメリカンで、現在のネイティブアメリカンは白人と一緒に来た侵略者で、先住の黒人文明の存在を隠す陰謀の一部だ」と主張している連中がいる。しかも自分たちはアフリカ人ではないと言って、アフリカ人を蔑むんだ。深刻だよ
- 食べてるもののジャンク感がすごい。もっとこう、オーガニック系とかになるんじゃないの?
- 歴史的なトラウマに起因しているように見える。自分たちの民族が偉業を成し遂げたことがないと言われ続けた結果、逆に「すべてを創ったのは自分たちだ」と信じるようになるんだろう
- 「エリザベス1世が英国からすべての黒人を追放した」って言ってるけど、イングランドのエリザベス1世のこと? 彼女にスコットランドの人々を追放する権限なんてあったとは思えない
- 彼らは「自分たちはアフリカ出身ではなく、イングランド・スコットランドの元来の先住民で、ジャコバイトは黒人だった」と主張している。でももしジャコバイトが黒人だったなら、当時の反ジャコバイトのプロパガンダで絶対に取り上げられているはず
- いやでも記事をちゃんと読むと、これは「失われたアフリカ部族」じゃなくて、単なる森に住む奇妙なホームレス集団だと分かるよ
- 失礼なつもりはないんだけど、どうやってスコットランドの冬を乗り切るつもり? めちゃくちゃ寒いけど心配じゃないの?
- 「クバラ王国」って3人だけしかいないの?
- 今は夫婦と、ショッキングなことに合流したアメリカ人女性1人だけ。部族と言ってるけど、実際はテントに住む3人のホームレスに過ぎないよ
テイラーさんの親族は、今回の「発見」の報を聞いて喜ぶと同時に、すっかり「クバラ王国」に心酔している彼女をどうやってアメリカに連れ帰るかに頭を悩ませているという。
どうやらテイラーさんは、高校の同級生を通じて「クバラ王国」を知ったらしい。
とてもストレスが溜まっていて辛いです。心が張り裂けそうです。私たちは彼女のことをこんなに心配しているのに、彼女は誰も自分を心配していないと思っているんです
だが、自身の「発見」がニュースになった後、テイラーさん本人は、自身のFacebook[https://www.facebook.com/profile.php?id=100090759708531]にこう記した。
私は王と王妃といっしょにとても幸せに過ごしています。私は一度も行方不明になったことはありません。
子供の頃から性的虐待を受けていて、有害な家族のもとからここへ逃げて来たんです。虐待する家族から行方不明になることなんてないんです
私はテキサス人ではなく、クバラ人なのですから
当初、テイラーさんは恋人と一緒にスコットランドに移住するつもりだったという。だが恋人はクバラ王国の実態を知って怖気づき移住を断念。
テイラーさんだけがスコットランドに渡り、クバラ王の側室、そして王妃の侍女としての生活を始めたのだ。
今のところ、本人には自主的にテキサスに帰る意思はなさそだ。スコットランド当局が支援に向けて動き出したが、親族は彼女のビザが切れる11月に帰国してくれることを望んでいる。
References: Missing Texas woman Kaura Taylor found living in lost ‘African’ tribe in Scotland[https://nypost.com/2025/08/20/world-news/missing-texas-woman-kaura-taylor-found-living-in-lost-african-tribe-in-scotland/] / Family of missing Texas woman Kaura Taylor who was found living with lost ‘African’ tribe in Scotland growing concerned: ‘Breaks our heart’[https://nypost.com/2025/08/23/world-news/texas-woman-kaura-taylor-living-with-lost-african-tribe-kingdom-of-kubala-as-asnat-in-scottish-highlands-family-concerned/]
本記事は、海外の記事を参考にし、日本の読者向けに独自の考察を加えて再構成しています。