
2025年8月23日、アメリカのミズーリ州にある保護施設で、1匹のカメのバースデーイベントが開催された。
そのカメの名前は「ピーナッツ」。
こんな形になってしまったのは、ピーナッツがまだ幼いころに、プラスチックのごみに絡んでしまい、そのまま成長したせいである。
8の字に変形した甲羅のまま成長したピーナッツは、今年元気に41歳の誕生日を迎えたのだ。
人間の捨てたゴミが原因で甲羅がゆがんだ亀
ピーナッツはミズーリ州セントルイス郊外にある州自然保護局(MDC)の保護施設、Powder Valley Conservation Nature Center[https://mdc.mo.gov/discover-nature/places/powder-valley-conservation-nature-center]で飼育されているメスのアカミミガメだ。
1993年、地元の住民が発見した時、ピーナッツは缶ビールなどをまとめるプラスチック製のリングが胴体に絡まった状態だった。
まだ小さい時にプラスチックの穴の部分に入り込んでしまったピーナッツは、そのまま成長するにつれて甲羅が変形し、落花生のような、8の字型の体型になってしまった。
発見時の1993年時点での年齢が、「およそ9歳」と推察されており、それから32年が経過した2025年、無事41歳の誕生日を迎えることができた。
ピーナッツの姿は国内外で注目を集め、「ゴミのポイ捨て反対」の象徴とも言える存在になっているという。
成長するにつれて甲羅がその輪に沿って変形してしまい、この唯一無二の形が彼女の「スーパーパワー」となりました。
彼女はもうティーンエイジャーではありませんが、その強いメッセージは今も人々に「ごみはきちんと処理すべきだ」と呼びかけ続けているのです
MDCは、ピーナッツについてこのように説明する。この日行われたバースデーイベントでは、子供たちを対象にピーナッツの塗り絵やカード作りのほか、ゴミ問題を学ぶコーナーなどが用意されていた。
なかなか廃止に至らないプラスチック製のドリンクホルダー
日本ではビールの缶などは、ダンボール製のケースに6缶まとめて入れて売られているが、アメリカではプラスチック製のリングを連ねたホルダーでまとめて売るのが主流だった。
1970年代後半から、ピーナッツのように絡まってケガをしたり命を落としたりする野生動物が後を絶たず、プラスチックリングは問題視されるように。
州によってはプラスチックリングの使用を禁止するところも増え、「輪の部分を切ってから捨てる」ことが推奨されるようになった。
よりエコな素材で作られた代替のホルダーへの移行も進められているが、現在のところ、まだ完全な廃止には至っていないのが実状だ。
痛々しいピーナッツの姿と、プラスチックリングのホルダーとの関係に心を痛めた人たちは、ドリンク業界への不信感を募らせているようだ。
- バーで働いていたとき、ゴミ箱からあのホルダーを拾っては輪っかのところ切って捨ていていた。よく笑われたよ。でも私はガールスカウトだったから、クセになっていたんだよね。今度誰かに文句を言われたらピーナッツの写真を見せるつもり
- 同じだ! 私もバーテンダーをしていた頃、毎回それを切るのに時間をかけていたら皆に笑われた。でもこれからもずっと続けるよ!
- 私も同じことをしてる。子供の頃、ガールスカウトで習ったんだ。今はもう50歳になっちゃったけどね
- いつもハサミであのプラスチックのリングを全部切ってから捨てているよ。穴を1つも残さず粉々になるように。子供の頃に、動物がそれで傷つく広告を見て以来ずっとそうしているんだ
- 私もだ。
母がそうするように教えてくれたし、成人した子供たちにも切るように教えてきた。カモや鳥、海の生き物が絡まることがあるって知ってたけど、カメまでは考えてなかったな- なぜ企業がまだあれを作り続けてるのか理解できない。6本用の薄い紙のドリンクホルダーを作ればいいのに
- ビール会社は、今は開いた硬いプラスチックを使ってる。でもソーダ会社はまだあのプラスチックリングを使ってるんだ
- コカ・コーラは今、プラスチックのリングじゃなくて紙製のホルダーを使ってるよ
- ピーナッツの内臓はどうなってるんだろう。きっと窮屈なんじゃないかな
- 同じことを考えてた。痛みがなくて、健康であってほしい
- 私の目には、真ん中の締め付けられた部分も今は成長してるように見える。この問題から解放されてると知れたら安心できるのにね
- あのプラスチックリングは禁止すべきだ。箱に入れるようにしろ!
- 賛成! どこに署名すればいい? プラスチックリングはもうやめて、箱入りにしてほしい
- プラスチックリングを切って捨てるなんて考えたことなかったけど、孫娘が私がそのまま捨てようとしているのを見て止めてくれた。孫に教えられて、それ以来捨てる前に切るようになったよ
ピーナッツはプラスチックゴミ問題への理解を促す象徴に
現在、世界では毎年8,200万t以上の包装容器のゴミが発生しているという。また、約190万トンの包装容器のゴミを処理すると、CO₂換算で約86万台の自動車と同等の排出量になるのだそうだ。
単純計算になるが、1年分8,200万tの包装容器を処理する際に出る温室効果ガスの排出量は、自動車約3,700万台分ということになる。
ピーナッツの甲羅は、我々が日常使い捨てているプラスチックの容器が、生き物たちの命に直結する危険をもたらしかねない可能性を浮き彫りにしている。
毎年行われているピーナッツのバースデーイベントは、ゴミと野生動物の問題について、参加した親子がに真剣に話し合うきっかけになっているそうだ。
References: Turtle with unique peanut-shaped shell turns 41 in Missouri[https://local12.com/news/offbeat/turtle-peanut-shaped-shell-turns-41-birthday-celebrated-figure-eight-unique-plastic-six-pack-ring-litter-superhero-teenage-mutant-ninja-reptilian-symbol-awareness-wildlife-conservation-famous]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。