ダイアナ妃が埋めた1991年のタイムカプセル、ついに開封される
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 1991年、当時イギリスの皇太子妃であったダイアナ妃は、自身が理事長を務めていたロンドンの小児病院の壁に、タイムカプセルを埋め込んだ。

 このタイムカプセルは、当初は数百年後の未来に開けられるはずだった。

だが病院の改築工事のため、2025年8月27日、34年ぶりにこのタイムカプセルが開けられることになった。

 中にはダイアナ妃が子供たちと一緒に選んだ「1990年代を象徴するアイテム」が、いくつも収められていたという。

ダイアナ妃が子供たちと選んだアイテムを納めたタイムカプセル

 タイムカプセルが埋められていたのは、ロンドンにある小児科専門の病院「グレート・オーマンド・ストリート病院[https://www.gosh.nhs.uk/]」である。

 ダイアナ妃は1989年からこの病院の理事長を務めており、BBCの子供向け番組の企画で、2人子供たちと一緒に選んだ品々をタイムカプセルに詰めて、病院の壁に埋めたのだという。

 このタイムカプセルは鉛で覆われた木箱でできており、数百年後の未来まで、病院の壁の中で眠り続けるはずだった。

 だが、タイムカプセルの眠りは、想定よりも早く妨げられることになった。同病院に小児がんセンターが建設されることになったため、埋められてから34年後の8月27日に掘り出され、開封されることになったのだ。

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中には1991年当時の「最先端」のアイテムが詰まっていた

 企画に参加したのは、当時11歳だったデヴィッド・ワトソンくんと、9歳だったシルビア・フォークスさん。2人がダイアナ妃とともに選んだアイテムは、次のようなものだった。

  • カイリー・ミノーグの「リズム・オブ・ラブ」のCD
  • イギリスの硬貨のコレクション
  • 5種類の木の種が入った容器
  • 雪の結晶のホログラム
  • ソーラー電卓
  • パスポート
  • カシオのポケットテレビ
  • ダイアナ妃の写真
  • カプセルが埋められた当日の新聞「タイムズ」紙
  • 2人の子供たちが書いた手紙

 1991年というと、イギリスでは「鉄の女」サッチャー首相が前年に退陣し、メージャー首相の時代になったところだった。QUEENのフレディ・マーキュリーが亡くなったのもこの年だ。

 ヨーロッパでは冷戦が終わり、東欧の民主化が進められていた時期である。ソビエト連邦はこの年の12月に崩壊。湾岸戦争が勃発し、

 日本では雲仙普賢岳が噴火し、大火砕流で40人が死亡。

ジュリアナ東京がブームになったのもこの頃である。

 カプセルに入っていた「タイムズ」紙の一面には、当時のソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏の写真や、湾岸戦争のニュースが掲載されていたという。

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「1991年」に縁のあるスタッフが見守る中で開封

 この日、1991年にタイムカプセル埋められた当時、病院に在籍していたスタッフや、現在在籍中で1991年に生まれたスタッフが見守る中、壁の中からタイムカプセルが取り出された。

 中を確認したところ、納められていたカプセルの中身は、一部が水にぬれてダメになっていたものの、大半は驚くほど良好な状態で保存されていたそうだ。

 この「開封の儀」に立ち会った同病院のジェイソン・ドーソン専務理事は、次のように語っている。

私たちは1991年の「希望とインスピレーション」を受け取りたいと考えたのです。本当に感動的でした。まるで過ぎ去った世代が残した記憶とつながるような感覚でした。

中には当時としては最先端技術だと思われていた、ポケット電卓やポケットテレビといったものが入っていました。ところが今の私たちが見ると、どれもまるでオモチャのようです。今や、カプセルに入っていたCDを再生する手段もないんですよ。

もしダイアナ妃が今もご存命なら、きっと私たちと何らかの形でつながり続けていたことでしょう。彼女は本当に特別な存在の象徴でした

 1991年当時、この病院で働いていた ジャネット・ホームズ さんは、タイムカプセルの中身で目を引かれたアイテムがあったという。

ポケットテレビを見て、懐かしい記憶がたくさんよみがえってきました。昔、長距離バスで全国を回っていた夫の休憩時間用に買ってあげたんです。当時はとても高価なものでしたよね

 1991年生まれのスタッフであり、新しくできる小児がんセンターでも勤務する予定の臨床フェロー、ロチャナ・レッドカー さんも、この「儀式」に参加できたことを喜んだ。

このイベントに参加できて本当に嬉しかったです。私はこの病院に半年前に来たばかりなのですが、自分が生まれた年に埋められたカプセルの取り出しにかかわれたことに、とてもワクワクしました

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タイムカプセルは再び埋められる日を待っている

 この病院の歴史は古く、1872年に当時の皇太子妃であったアレクサンドラ妃も、タイムカプセルを埋めたという記録が残っている。

 中にはヴィクトリア女王の写真が納められていたというが、このタイムカプセルは現在に至るまで発見されていないのだそうだ。

 ダイアナ妃のタイムカプセルは、水にぬれて損傷した手紙などの修復を行った後、がんセンターの竣工を待って、再び病院の壁に埋める予定とのこと。

 私はちょうどこのタイムカプセルが埋められたころ、国際線のあまり大きくない飛行機で、ダイアナ妃と同乗したことがある。

 距離的に3mくらい離れていたんだが、トップモデルも裸足で逃げだしそうな、お肌の透き通るような美しさに息を呑んだ記憶。

 チャールズ皇太子(当時)との破局が秒読みの頃だったせいか、にこやかに会釈するお付きの人々に囲まれる中、笑顔を一切見せなかったのが印象的だったな。

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追記(2025/09/01)ダイアナ妃を院長として記載しましたが理事長に変更して再送します。

References: 90s time capsule sealed by Diana, Princess of Wales, revealed[https://www.gosh.nhs.uk/news/90s-time-capsule-sealed-by-diana-princess-of-wales-revealed/]

本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。

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