
ペルーのジャーナリスト宅に火を付けた爆発物が投げ込まれるという驚きの事件が発生した。だが、飼い犬が真っ先にそのことに気づき、命がけの行動に出たことで被害はなかった。
マンチスという名の犬は、何者かが家に近づいてきたのをいち早く察知し、大声で吠えた。
火のついた爆発物が投げ込まれるのを見た瞬間、階段を急いで下りて、導火線を口で噛み切り、爆発を未然に防いだのだ。もし爆発していたら、大変な被害となっていただろう。
被害者のカルロス・メシアス・サラテ氏は、自身の調査活動に対する報復ではないかと語っている。
家の中に爆発物が投げ込まれる
2025年8月24日0時58分頃、ペルー・リマ州の都市ワラルに住むジャーナリスト、カルロス・メシアス・サラテ氏の自宅に、何者かが爆発物を投げ込んだ。
犯行の一部始終は、自宅内の監視カメラと、通りに設置された防犯カメラに記録されていた。
通りのカメラには、フードをかぶった男がバイクタクシーで角まで送られた後、徒歩で家に近づく姿が映っていた。
男は手に持った爆発物に火を付けると、門扉の格子の隙間から手を差し入れ、家の中に投げ込んだ。
さらに男はすぐには立ち去らず、導火線が点火したままかどうかを確認するかのように、何度も振り返る姿も映っていた。
この非常事態をいち早く察知したのが、飼い犬のマンチス(メス)だった。
マンチスは階段の上から激しく吠え始めた。そして爆発物が投げ込まれると、すぐに階段を駆け下り、それに近づいた。
そして、ためらうことなく火のついた導火線を口で噛み切って消火したのだ。
投げ込まれたのは鉱山でも使われる高威力の爆薬
サラテ氏は、狭い通路の床に転がった爆発物を見て驚き、すぐに警察に通報した。警察からは「何も触らないように」と指示されたという。
その後、ペルー国家警察の爆発物処理班(UDEX)が現場に駆けつけ、爆発物を慎重に回収した。
処理班によれば、回収された爆発物は「セミジェラチン65(Semigelatina 65)」と呼ばれる工業用の爆薬だった。
これは鉱山や建設現場などで使用される高威力の爆薬で、構造や爆発力はダイナマイトとほぼ同等とされている。
一般家庭にこれが持ち込まれること自体が極めて異常であり、明確な殺意を伴った攻撃と見られている。
しかし、マンチスの命がけの勇気ある行動によって、家の中にいた家族全員が無事だった。
土地取引の不正を報じていたジャーナリストに報復か
サラテ氏は、地元のニュースサイト「セントラル・デ・ノティシアス」の運営者であり、最近はワラル市における土地取引に関する不正ネットワークの調査報道を続けていた。
本人はこれまでに明確な脅迫や警告を受けたことはなかったというが、この爆発物事件については「報道活動への報復の可能性が高い」と語っている。
犯行の手口の周到さや、使用された爆薬の性質からも、単なる嫌がらせではないことは明らかだという。
マンチスが救った家族の命
マンチスは無事で、現在家族から惜しみない愛情と感謝を受けている。
彼女の咄嗟の判断と命がけの行動がなければ、火のついた爆発物が爆発していた可能性は高く、家や人命に深刻な被害が出ていたことだろう。
爆弾の威力を考えたらこの家にとどまらず、近隣にも被害が発生していたかもしれない。
警察は映像に映っていた男の特定を進めているが、現時点では犯人の逮捕には至っていない。
サラテ氏とその家族は、さらなる攻撃の危険を考慮し、正式に身辺保護を要請している。
References: Infobae[https://www.infobae.com/peru/2025/08/25/perrita-apaga-dinamita-que-lanzo-extorsionador-a-vivienda-de-periodista-en-huaral/] / Larepublica[https://larepublica.pe/sociedad/2025/08/25/huaral-lanzan-cartucho-de-dinamita-en-casa-de-periodista-carlos-mesias-zarate-pero-perrita-apaga-la-mecha-a-mordiscos-1485475]
本記事は、海外の記事を参考にし、日本の読者向けに独自の考察を加えて再構成しています。