
2025年9月3日(水)、日本時間の23時56分頃、小惑星「2025 QD8」が地球に最接近する。この小惑星は先月発見されたばかりのもので、その大きさは直径17~38m程度と見積もられている。
サイズ感は、体長18~22mの恐竜ブラキオサウルス、あるいは25mのプールくらいだ。
「2025 QD8」は地球から約21万8000kmという距離にまで近づき、地球と月(約38万4000km)の間をすり抜けていくという。
とはいえ地球に衝突する危険性はなく安全に通過する見込みだ。その様子はYouTubeでライブ配信される予定なので、天文ファンは要チェックだ。
小惑星「2025 QD8」が月よりも地球の近くを接近
地球近傍小惑星「2025 QD8」は、2025年8月26日にハワイ・マウイ島のハレアカラ天文台に設置されたパンスターズ1(Pan-STARRS 1)によって発見された。
太陽光を反射する明るさから、大きさは直径17~38mと計算されている。これは恐竜ブラキオサウルス(体長18~22m)に近いサイズで、25mプールや12階建てのビルに匹敵する。
「2025 QD8」は2025年9月3日23時56分(日本時間)に、地球から約21万8000kmの距離まで近づく。
これは地球と太陽の距離を基準にした天文単位で0.0014599AUにあたり、地球と月の平均距離38万4000kmのおよそ57%だ。
つまり、月よりも地球の近くを通過していくことになる。同日8時42分には月に最接近する予定で、月からの距離は約42万8000kmと計算されている。
ただし地球への危険性はほぼない
NASAが定めた基準に基づき、現在は国際的にも採用されている「潜在的に危険な小惑星」の定義では、直径が140m以上で、かつ地球軌道との最小交差距離が0.05AU(約748万km)以内の小惑星が分類される。
今回の「2025 QD8」は直径がこれよりはるかに小さく、欧州宇宙機関(ESA)の軌道解析やNASAのリスク評価でも、地球に衝突する可能性はないとされているので安心して欲しい。
過去に何度か接近していた。次の再接近は100年以上後
欧州宇宙機関(ESA)の地球接近天体調整センターの分析によれば、「2025 QD8」は発見する前の、1958年、1976年、1994年、2007年にも地球に近づいていた可能性が高いという。
そして今回の接近は、それらの過去の接近よりも近く、さらに今後100年間に予測されている接近の中でも最も近い距離になるという。
2116年までの軌道計算では、今回より近づくことはないとされている。
イタリアの天文プロジェクト「バーチャル・テレスコープ・プロジェクト」は、 地球から約390万km離れていたときに、望遠鏡「エレナ」で「2025 QD8」を撮影している。
300秒の露光でとらえられた画像だ。
生中継で「2025 QD8」を観測できるチャンス
今回の小惑星「2025 QD8」は地球の近くに接近するものの危険はないとされている。そのため、安心して観測することが可能だ。
こうした新たに発見された小惑星の軌道を正確に調べ、地球や月にどのくらい近づくのかを把握することは、将来の地球防衛や宇宙探査にとって重要だ。
今回の通過は安全でありながらも、研究者や天文ファンにとっては身近な宇宙を感じられる絶好の観測機会といえる。
「バーチャル・テレスコープ・プロジェクト」では、2025年9月3日(水)、日本時間の23時よりYouTubeでライブ配信を行う予定だ。
世界中から「2025 QD8」の地球最接近の瞬間を観測できるので、興味のある人はリマインダーに入れておこう。
References: Virtualtelescope[https://www.virtualtelescope.eu/2025/09/01/near-earth-asteroid-2025-qd8-very-close-encounter-an-image-30-aug-2025/] / Virtualtelescope[https://www.virtualtelescope.eu/2025/09/01/near-earth-asteroid-2025-qd8-very-close-encounter-online-observation-2-sept-2025/]
本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。