
家族の誰かが突然いなくなるという日常の変化は、人間だけでなく、ペットにとっても受け入れがたく、辛いものだ。
アメリカでは9月から新学期が始まる。
ニモは娘のことを慕っており、彼女のことが大好きだった。その姿が突然見えなくなってしまったことに、不安を感じたのだろう。
ついには心配のあまり、自ら前足でドアノブに手を伸ばし、開けようとする姿まで見せたのだ。
姿が見えない娘を探して、猫は毎朝ドアの前で待ち続ける
猫のニモは、家族の一員として娘と深い絆を育んできた。彼にとって、大学進学という形で彼女が突然いなくなった事実を、すぐには受け入れられなかったようだ。
娘の母親が、2025年8月17日にTikTokに投稿した動画には、娘の部屋の前にじっと座り込むニモの姿が映っていた。
毎朝、扉の前で鳴きながら、彼女が部屋から出てくるのを待ち続けていたという。
彼の様子は切実だった。呼びかけに応答がないとわかると、前足をドアノブにかけ、自ら扉を開けようとする行動まで見せた。
「本当は中にいて、閉じ込められて出られないんじゃないか?」と心配しているようで、飼い主に向かって、大きく鳴き、何かを訴えているようだった。
この動画は330万回以上再生され、88万件近い「いいね」が寄せられている。
コメント欄には「こんな動画を送られたら、大学辞めて家に帰るわ」、「うちの子も同じだったら、もう放っておけない」「彼はこう思ってるよ、“彼女が僕を見捨てるわけがない”って」、「私の場合は逆で、猫と離れるのが悲しすぎて、連れてきちゃった」、「うちの猫も同じだった。
娘がいない現実を知らせるため、部屋の中を確認させる
飼い主は、ニモに娘がいなくなった現実を受け入れてもらおうと、ニモに「開けてくれ」と頼まれるたびに、ドアを開けて中に誰もいないことを見せているという。
それでもニモは、娘がいなくなってから、3日間にわたって毎日部屋の前に座り込み、ひたすら待ち続けた。
部屋の中を見せられてもなお、彼の中ではすぐに納得できなかったのだろう。
飼い主はそんなニモのために、娘が使っていた毛布と枕を部屋の前に置いている。ニモはそれらに寄り添いながら、静かに彼女の帰りを待つようになった。
「たぶん、これは一時的なことだと、彼もなんとなく分かっているのだと思います」と飼い主は話す。
扉を開けておいてあげたい、でもそれができない理由
視聴者からは「ドアを開けて自由に出入りできるようにしてあげては?」という声も多く寄せられた。
だが飼い主にはそれができない理由があった。
実はニモは去勢済みにもかかわらず、娘の部屋の扉を開けておくとマーキング行動(スプレー)をしてしまうのだという。
猫がスプレーする行動にはいくつかの理由がある。
他の猫や外部の存在に対して縄張りを主張するため、あるいは環境の変化に対する不安やストレスの表れとして現れることもある。
ニモにとって、娘がいない部屋はまさに“変わってしまった場所”であり、その違和感を行動で示していた可能性がある。
再会のたびに、すべてが元通りになる
そんなニモだが、娘が帰省してくると、まるで何事もなかったかのように喜びを爆発させる。
飼い主によると、娘が家に戻ってきた際には、ニモはすぐにその部屋で一緒に眠り、ぴったりと寄り添って過ごすという。
再び大好きな存在を感じられることで、不安は一気に消えるようだ。