
オーストラリア・ストラドブローク島で、工事中の作業員と一羽のワライカワセミが交わした面白いやりとりが注目を集めている。
地面を掘削する作業をする時に出てくるミミズを与えたところ、その鳥はまるで恩返しをするかのように、巻尺の端をくちばしでくわえて、作業を手伝うような仕草を見せたのだ。
巻尺に単に興味を持っただけかもしれないが、作業員が「手伝ってくれるのかい?うん、だいたい20くらいかな」と語りかけながら、鳥に敬意をもって接する様子もまた、心温まる。
工事現場にやってきた人懐っこいワライカワセミ
オーストラリア・クイーンズランド州のストラドブローク島は、ブリスベン近郊にあり、美しい自然に囲まれた観光地として知られている。
この島で、地元の建設会社「KOA CONSTRUCTION(コア・コンストラクション)」が、建設物の基礎工事を進めていた。
作業員たちが仕事をしていると、一羽のワライカワセミが近くまでやって来て、じっと様子をうかがうようになったという。
彼らはこの人懐っこいワライカワセミに「ガス(Gus)」という愛称をつけ、掘削作業で出てきたミミズを食べさせてあげていた。
巻き尺を持って手伝ってくれた?
2025年8月14日、作業員のジャコビ・ニオタキス(Jakobi Niotakis)さんとトム・スカード(Tom Scard)さんが現場で作業を行っていると、この日もガスはいつものように姿を現した。
するとガスは、いつもミミズをもらっている“お礼”のつもりだったのか、巻尺の端をくちばしでくわえて、まるで作業を手伝うかのような仕草を見せたのだ。
スカードさんはその様子をInstagramに投稿し、「新しいプロジェクトで掘削してたらミミズが出てきた。それをガスに提供していたら、お返しに巻尺を持ってくれたんだ。ありがとう! 世界一の仕事っぷりだよ!」とコメントしている。
単に巻尺に興味を持っただけなのかもしれないが、自分から人間に近づき、道具に触れようとするその行動には、何かしらの意思が感じられる。
人間とワライカワセミの間に、小さな絆が芽生えたのかもしれない。
鳴き声が笑い声に聞こえる鳥、ワライカワセミとは
ワライカワセミ(Laughing Kookaburra)は、オーストラリア東部に生息する大型のカワセミの仲間で、体長は約40~45cm。
日本のカワセミよりもはるかに大きく、特徴的な鳴き声は「人間の笑い声」にたとえられる。
肉食性で、小型の爬虫類や昆虫、カエル、小動物などを捕食する。視力がとても優れており、木の上から地面を見張り、素早く飛び降りて獲物をとらえるのが得意だ。
性格はおおらかで、人間の生活圏にもよく現れる。公園や庭先などに出没し、人を恐れない個体も多い。
知能も高く、観察学習や環境への適応力を持っているとされる。
今回のように巻尺をくわえるという行動も、好奇心旺盛で、高い知能の現れだ。
寿命は野生で約15~20年、飼育下ではさらに長く生きることもある。
つがい同士や家族で強い絆を保ち、協力して子育てをするなど、社会性の高い一面も持っている。
ワライカワセミはオーストラリア国民に親しまれ、愛されている存在だ。
絵本や郵便切手、公共広告やテレビCMにも登場し、オーストラリアの自然や文化を象徴する動物のひとつとして、大切にされている。