
インドの交通事情は、日本人の想像の斜め上を行くと思う。牛やラクダが闊歩する田舎は言わずもがな、比較的近代的な大都市の真ん中でさえ、命がいくらあっても足りないカオスっぷりなのだから。
あきらめの境地で渋滞に身を置いているかに見える現地のインド人も、我慢できないこともあるようだ。
渋滞にハマって業を煮やしたのだろう、乗っていたスクーターを担いで渋滞を抜ける人を写した動画が、インドのSNSでバズっているという。
渋滞中の車の間を縫って、スクーターを担いで歩く男性
インドのSNSで話題になっているこの動画。2人の男性が、渋滞を避けるためにスクーターを持ち上げて車の隙間を縫って歩いている。
動画の撮影場所は、グルグラム(旧グルガオン)とのこと。首都デリーの近郊にある街での、交通渋滞の風景だ。
実はこの日、グルグラムを含む首都圏は、豪雨による深刻な苦痛渋滞に見舞われていたという。
特にグルグラムでは多くの通勤者が渋滞にハマり、道路で6~8時間も足止めされる事態になったそうだ。
今回拡散された映像には、主要道路の車線を埋め尽くすように、ピクリとも動かない車列が延々と続く様子も映されていた。
ネットではインフラ整備の遅れへの批判も
この出来事はネット上で大きな議論を呼び、市のインフラへの批判も相次いだ。くの人がSNSで、グルグラムの「悪夢のような」交通事情への不満を語っている。
- ようこそインドへ、皆さん
- もしあのスクーターが車の上に落ちたらどうするんだ?
- 保険金の請求が来るだけさ
- インドは初心者向けの国じゃないんだって
- そのうちに会社に通勤する人も同じことをしなきゃならくなるだろうね
- みんな交通渋滞の解決法でどんどん創意工夫してるな
- 交通がどれだけひどくなっているかを物語っている。早急な解決が必要だ
- 政府が試験的に5車線を導入したらどうだろう。結果を計測するんだ。
歩行者、自転車、バイク、車、大型車両に分けて。オフィスまでの移動時間や幸福度も測定してみよう- この街は自然災害が起きるとすぐに機能不全を起こす。現代的な都市設計の失敗だよ。でも誰も気にしない、宗教とかカーストとかの方が大事だから。腐敗が増すほど裕福になるという社会なんだ
- インドの都市は歩行者や二輪車に優しくない。でもそれを言い訳にして、人々がすぐに車に頼るのは馬鹿げている。短距離ならスクーターや自転車を使えばいいのに、車で渋滞にハマって文句を言うな
- くそ、彼は強いな。俺もプネーやチェンナイで自転車を担いだことはあるが、スクーターなんて想像もできない
- 私はタクシーに乗っていたんだけど、運転手はこのまま走ると車が故障するカモって言って、道路の真ん中で降ろされたのよ
- あら、私の場合はバイクタクシーの運転手が、渋滞をものともせずに家まで送り届けてくれたよ
- この男は街に現れた「バーフバリ(インド映画のヒーロー)」だな
近年発展が著しいグルグラム、インフラ整備が追い付かない?
グルグラムは以前はグルガオンと呼ばれていたところで、近年急速に発展してきている「サイバーシティ」だ。
外資系企業も多く、日本からも多くの企業が進出しており、海外で働きたい日本人にとっても魅力的な街である。
インドというと治安の悪さや衛生面が気になる人も多いと思うが、グルグラムのような外国人が多い場所では、意外と心配はいらないもの。
オシャレなカフェやレストラン、ショッピングモールなんかもたくさんあって、最近は日本人女子でグルグラムで仕事を見つける人も増えているらしい。
ただ、そこはそれ、何と言ってもインドはインド。
それでなくても悪名高い渋滞はついて回る。とはいえ、グルグラムから首都デリーまではメトロが開通していて40分くらいで着いてしまう。
さらにインディラ・ガンディー国際空港までは20分という立地の良さなので、今後ますます発展し、人口も増え、渋滞もさらにひどくなっていく可能性もある。
まずは根本的な都市計画とインフラの整備が急務だと思うのだが、そこはすべてがインド時間・インドクオリティで流れていくお国柄。
今回のようなオンリー・イン・インディアな光景を見ると、最先端を行くITの街でもやっぱりインドなんだなと微笑ましく?思ってしまうのだ。
References: Watch: Gurugram Man Lifts Scooter Over Head To Beat Traffic Jam[https://www.ndtv.com/offbeat/watch-gurugram-man-lifts-scooter-over-head-to-beat-traffic-jam-9213944]
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。