
中国のDIYインフルエンサーが、愛するペットのために、本物そっくりのミニサイズの「猫の街」をDIYで作り上げた。
猫にとっていい感じのサイズの街にはお店が建ち並び、2025年8月にはなんと地下鉄が開通。
制作に費やした時間はおよそ4か月。公開された映像はその完成度の高さから「AI生成ではないか」と疑われるほど。
動画の再生数は1億回を超え、中国国内だけでなく、世界中のSNSやニュースメディアを席巻している。
猫サイズの「街」に地下鉄まで通してしまった男性
この「街」を作り上げたのは、中国河南省出身のインフルエンサーで、YouTubeチャンネル「Xing’s World」を運営するシン志磊(シン・ジーレイ、シンの漢字は幵におおざと)さんだ。
彼はペットのためのDIYでさまざまな施設や設備、乗り物などを作っていて、現在は120万人以上のフォロワーを抱えているそうだ。
これまでにも「Cat Town」と名付けた架空の街を少しずつ拡張してきたのだが、中でも地下鉄の駅は、その街の目玉といえるぶっとんだ施設である。
完成した駅にはプラットフォームはもちろん、ホームドアやエスカレーターが設置され、そして完璧に再現された地下鉄の車両が運航している。
列車が到着すると、ホームドアと車両のドアが同期して開き、猫が自然に乗り降りする姿まで映像に収められているのだ。
車両内部の座席や手すりまでしっかり再現されており、駅名の看板には「Cat Town」「Catnip Hill」「Moonwatcher Terrace」といった遊び心のある名前が。広告のポスターや案内表示も、見事なまでに丁寧に再現されている。
ちゃんと「乗れる」地下鉄を目指して試行錯誤
この「駅」の建設は、空き工場を利用した広いスペースで行われた。ミニチュアとはいえ、きちんと動くエスカレーターやホームドアを設計するのは容易ではない。
なんせ部品が人間サイズの者より小さいため、強度や精密さが求められ、実際に猫が利用することを想定した安全性も考えなければならなかった。
制作の様子を公開した動画では、邢さんが何度も失敗を繰り返しながら試行錯誤を続ける姿が紹介されている。
何よりも苦労したのは、地下鉄のドアとホームドアを連動させることと、エスカレーターを動かすことだったという。
低い構造物に頭をぶつけたり、掃除や維持のためにロボット掃除機を導入したりと、現実的な課題も多かった。
それでも4か月をかけて完成させた駅は、映像で見る限り、本物の地下鉄と見まがうほどの出来栄えとなっている。
何か問題が起きたら、ただ解決するだけです。私の決意は揺るぎませんでした。たくさんの失敗を経て、ようやくこの駅が完成したんです
この地下鉄開通の動画が公開されると、SNSでは瞬く間に拡散し、数日で1億回を超える再生数を記録した。
あまりの完成度に「AI」を疑われたことも
そのあまりの精巧さに、「これはAIが生成した映像に決まっている!」という疑いの声すら上がった。
これに対しシンさんは、制作途中の映像や写真を公開することで反論した。木材の切り出しから溶接、3Dモデリングなどを駆使してすべてを手作りした過程を示し、疑念を払拭したのである。
むしろこの「疑われるほどのリアルさ」こそが、彼の作品の評価をさらに高める結果となったといっても過言ではないだろう。
この駅を利用するのは、シンさんが飼っている2匹の猫「Not Bad」と「Pretty Good」だ。彼は猫たちのほか、柴犬やハムスター、妻と幼い息子と暮らしているそうだ。
猫たちはこの「新しい環境」にすぐ慣れて、車両の座席に座ったり、ホームを歩いたり、地下鉄で移動したりしているらしい。
実は地下鉄駅だけが「Cat Town」ではない。これまでにスーパーマーケット、映画館、銀行、フットスパ、さらにはハンバーガーショップの「ミャアドニャルド(MiaoDangLao’s)」までオープン。
ここまでくるともう、まるで猫たちのために、一つの近代都市を丸ごと作り上げているかのようだ。
最初は「マンション」から始まったペットのためのDIY
実はシンさんは2023年には、寝室やキッチンを備えた豪華な猫用アパートも手がけている。
もともとは自分の子供たちのために、実際の半分のサイズの家を作ったのが、この沼にハマるそもそものきっかけだったという。
その後、家族だけでなくペットたちも楽しめるような家が作りたい!と、DIYに次ぐDIY、改造に次ぐ改造に取りつかれて行った。
まず、妻が経営していたペットショップに、愛犬のための高級マンションを「建設」。そこには寝室やバスルーム、さらにはミニエレベーターが設定されていた。
やがて愛猫たちもこのマンションが気に入り、シンさんはいっそペットたち全員が楽しめるようにと、ハムスターのための小さな部屋まで設置。
しかもさらにその中には、ハエトリグモのためのちっちゃなお部屋まで用意されているという凝りようだ。
キッチンのコンロではちゃんと料理ができるし、バスルームもちゃんと水が出る。人間もちゃんと入れる大きさなんだ。
それがどんどん拡大し、自分自身の夢やフォロワーからのリクエストにどんどん応えているうちに、いまやペットたちが生活する「街」を形成。
地下鉄まで走らせてしまうという、とんでもないインフラを整えてしまったのだ。
「ものづくり」が好き!独学で夢を現実に
ミレニアル世代として、子どもの頃からずっと「素敵な家に住みたい」と夢見てきました。だからこそ、このプロジェクトは、自分自身の夢の場所を形にするチャンスになったのです。たとえ実物大ではなくても…
シンさんはこれだけの技術を、すべて独学で習得したと説明している。デザインから設計、3Dモデリングに3Dプリンティング、果ては木工に溶接、縫製、塗装まで、すべて自分の手でやっているというから驚きである。
子供の頃からものづくりが好きでした。この仕事は達成感と共に、今でも子供の頃の喜びを思い出させてくれるんです
自分の夢と趣味をここまで実現できるというのは、何と幸せなことだろう。シンさんの年齢は公表されていないのだが、小さな子供が2人いることから、おそらく30代くらいじゃないのかな。
それにしてもこれだけの設備を作るとなると、いくら趣味とは言え先立つものもかなり必要だと思う。
資金源について聞かれたシンさんは、動画インフルエンサーとしての収入で賄っていると語っている。
なんせ国内外のSNSを合わせたフォロワー数は120万人以上。
さらに中国のインフルエンサー界隈では、広告収入や投げ銭のほかに、案件やブランドタイアップでの収入もかなり大きな割合を占めるという。
また、外注に出さず、すべてを自分の手で行っているという点は、かなりのコストカットにもつながっているはずだ。
下はメイキング場面も入った動画。字幕の翻訳機能をオンにしてみて見よう。
このステキな「街」の様子は、シンさんのYouTubeチャンネル[https://www.youtube.com/@xingzhilei]やTikTok[https://www.tiktok.com/@xings.world]、Facebook[https://www.facebook.com/xingzhilei/]で見ることができる。ぜひ画面越しにでも体験しに出かけてみよう。
References: ‘Not AI’: China influencer takes 4 months to build mini cat underground; video gets 100 million views[https://www.scmp.com/news/people-culture/trending-china/article/3323317/not-ai-china-influencer-takes-4-months-build-mini-cat-underground-video-gets-100-million-views]
本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。