
イギリスのオークションハウス、RWBオークションズ社[https://rwbauctions.com/]の防犯カメラに、深夜ひとりでに動き出す乳母車の様子がとらえられ、ネット上で物議をかもしている。
監視カメラの映像には、出品予定の青いヴィンテージの乳母車がひとりでにゆっくり進み、止まっては再び動き出す様子が10分間にわたり記録されていた。
果たしてこれはポルターガイストなのか、それとも巧妙なフェイクなのだろうか。とりあえず、トイレを済ませてから見てみよう。
深夜ひとりでに動く乳母車の怪
この映像は2025年8月30日の午前2時ごろ、ウィルトシャーにあるRWBオークションズ社の建物内で撮影されたものだという。
オークションに出品されるアイテムが保管されている部屋の中を、1台の乳母車がゆっくりと左から右へと移動していくのだ。
まずは問題の映像を見てもらおう。
乳母車は向かって左からゆっくりと現れて、一度停止した後、再び動き出して画面を右へと横切っていく。
その間約10分。乳母車は何度か動いては止まり、また動いては止まりを繰り返したのだそうだ。この乳母車、何か曰く付きの呪物なのだろうか。
こちらが明るいところで見た問題の乳母車だ。70年ほど前のものだというが、なかなかしっかりしているように見える。
RWB社によると、この乳母車はイングランド南部のハイクレアの家から運ばれてきたもので、そこでは数々の心霊現象が起きていたらしい。
具体的にどんな曰くがあるのかは明らかにされていないのだが、原因が何であれ、この現象はスタッフたちを震え上がらせた。
RWB社のジョン・ホワイト氏は、この時の様子を次のように語っている。
映像を見たとき、本当に困惑したんです。スタッフに送ったら、全員がパニックになっていました。みんなビビりまくっていましたよ
ホワイト氏によると、RWB社の建物自体にも曰くがあるらしい。以前はスーパーマーケットだったそうなのだが、当時の従業員から「ここは幽霊が出る」と聞かされていたというのだ。
映像の中の点滅はフリッカー現象と判明したが…
なお、右上のドアの向こうがチカチカと光っている件に関してだが、このドアには入退室を管理するための顔認証端末が設置されているそうだ。
その光がフリッカー現象を起こし、点滅しているように見えているのであって、心霊現象とは関係ないとのこと。
たとえばパソコンのモニターやテレビ画面をスマホで撮影したとき、映像がチカチカしたり横線が入って見えたことはないだろうか。
これは画面が高速で点滅を繰り返しているのに、カメラのシャッター速度が合わずに捉えてしまうためだ。
今回の光も同じ原理で、顔認証端末の赤外線LEDが常に点滅しているのをCCTVが拾い、あたかも超常現象のように映ってしまっただけである。
ちなみにこちらが、照明をつけた状態の室内の様子。床は完全にフラットであり、乳母車が勝手に動くことは考えられないそうだ。
この映像はさまざまなメディアで拡散され、「フェイクだ」「いや本物だ」とあちこちで議論を呼んでいる。
- これは母親の霊のように感じる。みんなはどう思う?
- 霊媒師を呼んで調べてもらったみたいだ。結果を投稿中らしい。興味深い映像で、結論が楽しみ。批判じゃないけど補足すると、200ポンドのカジキだって釣り糸で船に引き上げられる。
- フェイクだよ。演出すれば何だって操作できるんだから
- 糸で引っ張ってるんじゃない? 光が点いたり消えたりしているし。全然怖くないよ
- 点滅はドアの顔認証端末の赤外線LEDだよ。解釈はインターネットに任せるわ
- 実際に幽霊そのものを捕まえてきたら信じるけど、物が動くだけじゃ納得できないね
- このベビーカー、古臭くない?
- だってアンティークを扱うオークションだもの
- 私は以前、このビルで11年間働いていたことがあるけど何も見なかったし何も感じなかったわ。さすがに午前2時に仕事をしていたことはなかったけど
- これはゴーストじゃなくてポルターガイストだろ
- こんなに恐ろしくて不可解なこと、誰にも説明できない。ただ皆が「超常現象だ」と言うだけ。でも結局それって何なんだ?
- 糸で引いてるんだよ。
防犯カメラってこんな風に動かないし。画面右に糸を持ってる手が見える
- 映像はノートPCで再生したものをスマホで撮ったんです。私たちは皆、仕事にコミットしていますが、午前2時には会社にいませんよ(RWB社コメ)
- だから中古品は絶対買わないようにしてる。アンティークだろうと何だろうと、人が触れば「エネルギー」が残るから
- それはもったいない。何百年も大切にされてきた品には愛情がたくさん宿ってるんだよ
- 画面全体を映したオリジナル映像を見せてくれない?
- そのうち投稿するかもしれません。うちのカメラは360度魚眼タイプなので、補正しないと見にくいんです(RWB社コメ)
- ベビーカーの中にボンネットをかぶった赤ん坊が見えるよ
- 24秒のところ、部屋を横切るオーブが映ってる!
- なんで寝る前にこんな映像見ちゃったんだろ
霊能者を召喚して調査を依頼
今回の騒動を受け、スタッフの間にも不安が広がっていることから、RWB社では霊媒師を招き、現場の調査を頼むことにした。
やって来たのは、英国降霊協会(Seance Society of Great Britain[https://www.theseancesocietyofgreatbritain.com/])の代表を務める霊能者のエヴァ・メイさんだ。
彼女はまず、本当に乳母車を動かせないかを検証するために、自ら釣り糸を持ってきた。だが、おそらく1950年代製のシルバークロスの乳母車は、非常に重くて扱いにくく、釣り糸ごときでは容易に動かせそうもない。
この場所には霊がいます。それがベビーカーに憑いているのか、それともの場所に居ついているものなのかはわかりません。不思議な温度の変化を感じます。ここは確かに少し暖かいわ
スタッフが彼女の「調査」によって、何か悪いものを呼び出したりはしないかという不安を口にすると、メイさんはこう答えた。
もしこれが危険な存在なら、私はもうここにはいませんよ。さっさと外に逃げ出してますから
とりあえず、乳母車を動かしたのは、そこまで邪悪で恐ろしい存在ではないようなので一安心だ。
「呪われた乳母車」は40ドルで落札される
RWB社では、この「不吉な」乳母車をさっさと厄介払いしたかったらしい
。9月3日に行われたオークションに、この乳母車を30ドル(約4,400円)で出品。最終的に40ドル(約5,900円)近い価格で落札されたそうだ。
うちはオークションハウスなので、返品は受け付けません。もし何かに取り憑かれていたとしても、もう私たちの問題ではありません。
スタッフたちは、とにかくさっさとこの乳母車を手放したいと思っているようです。みんな怖がっているんですよ
曰くつきの乳母車、出品価格より高くなったということは、複数の落札者がいたということだろうが、プレミアがついたにしてはリーズナブルなお値段だと思ったのは私だけだろうか。
もし、話題作りで値段を吊り上げようという思惑があったとしたら、あそこまでやってこの値段?と思わないでもない。
なお、霊能者のメイさんによる調査結果はまだ出ていない。後日発表があるようなので、続報としてお届けできればと思っている。