
おっとり癒し系として人間界でも絶大な人気を誇るカピバラだが、その包容力は動物界でも知れ渡っている。
カピバラのもとには、なぜかいろんな動物たちが集まってくる。
そんなカピバラ伝説に、また新たな1ページが加わった。アメリカ、デンバー動物園にいるメスのカピバラ、「レベッカ」は、クロホエザルのメス「バヤ」と特別な絆を結んでいるのだ。
ホエザル子が、カピバラに出会う
コロラド州デンバー動物園で今、来園者たちから注目を集めているのは意外な異種動物コンビだ。
Instagramに投稿された写真には、カピバラのレベッカに、ぎゅっとしがみついている、クロホエザルのメス、バヤの姿がある。
バヤは子を産んだ母親である。それにもかかわらずレベッカに対してはまるで子供に戻ったかのように甘え、常にそのぬくもりを欲している。
そしてレベッカも、自分を慕うバヤを完全に受け入れている。
体も種族もまったく違うふたりだが、バヤにとってレベッカは唯一無二の尊い肉親のような存在となっているようだ。
背中に乗ったり、ぴったり寄り添ったり、レベッカのそばにいると、心から安心しきっている様子がうかがえる。
動物園の投稿コメントには「かわいさのおすそ分けです(You’re welcome for the cuteness overload)」と書かれており、多くの人が「これは反則級のかわいさ」「尊さの極み」「最強の組み合わせ」といった声が寄せられている。
ホエザルが、カピバラの背中でおとなしく、静かにまどろむ姿には、動物好きでなくとも思わず見入ってしまうやさしさがある。
カピバラは聖母、包容力はお釈迦様レベル
カピバラは南アメリカ原産で、世界最大のげっ歯類だ。水辺を好み、群れで行動し、争いごとを避けるおだやかな性格で知られている。
そのため、野生でも他の動物たちに慕われることが多く、動物園では鳥が乗ったり猫が寄り添ったり、ヤギにマッサージされたりと、包容力の化身のような存在だ。
レベッカも、バヤの行動を一切拒まない。しがみつかれても、背中に乗られても、あたりまえのようにそこにいる。
まるで「私のそばにいたいのなら、いつまででもここにいていいのよ」とでも言うような、そのやさしさは、まさに聖母でありお釈迦様のような存在だ。
カピバラは、踏まれても、抱きつかれても、動じない。その背中はいつも誰かに貸されていて、その心はいつも開かれている。
ホエザルも愛情深い
バヤは南アメリカの森林に暮らすホエザルの一種、クロホエザル(学名:Alouatta caraya)だ。
オスとメスで体毛の色が異なる。オスは黒く、メスは黄褐色や金色の体毛をしている。名前に「クロ」とあるが、黒いのはオスだけだ。
ホエザルは「世界で最も声の大きい動物の一種」だ。特にオスは喉の共鳴器官(喉袋)を使って、5 km以上先まで届くような鳴き声を発する。
メスもオスほどではないものの、しっかりとした声を持ち、遠くの仲間とコミュニケーションを取る。
大声のイメージが強いホエザルだが、性格は意外とおだやかで、群れでの協調性も高い。バヤもまた穏やかな性質の持ち主で、レベッカと自然に距離を縮めていったのだろう。
母としてのバヤが、他の種であるカピバラと心を通わせている姿には、動物たちの間に芽生える絆の深さを感じさせられる。