
まるでスパイ映画のような強盗事件が発生した。犯人はウェットスーツとスキューバ装備でアメリカ・フロリダ州のディズニーワールドの池を泳いで水辺にあるレストラン近くに到着。
その後いったんウェットスーツを脱いで、建物に侵入。従業員を拘束して現金およそ2万ドル(約296万円)を奪うと、再び装備を着用して湖に飛び込み、水中から逃走したという。
犯行時間はわずか2分。大胆かつ用意周到な計画に、保安事務所も驚きを隠せない。現在も犯人は逃走中だ。
水辺に浮かぶレストランを狙った“水中犯”
2025年9月15日、フロリダ州レイク・ブエナ・ビスタにあるフウォルト・ディズニーワールド・リゾート内の「ディズニー・スプリングス」内のレストラン「パドルフィッシュ」で事件は起きた。
ディズニー・スプリングスは、パークのチケット不要で誰でも立ち寄れるショッピング&レストラン街で、池が景観の一部として施設を囲み、ボート型の店舗などが並ぶ人気エリアだ。
その一角にある「パドルフィッシュ」は、蒸気船を模したシーフードレストランで、池に係留されたような外観で、昼夜問わず多くの観光客が訪れる。
午前0時すぎ、営業を終えたレストランに向けてはウェットスーツとスキューバの装備を身に着けた一人の男が池を潜水しながら近づいてきたとされる。
店の裏手付近に到着した男は、水から上がり、スキューバの器材を外して、建物の外に隠した。
その後、建物内に入り込んだ犯人は、ちょうど売上金の集計作業をしていたマネージャーと従業員を縛り、部屋の隅に座らせて目を閉じるよう命じた。
犯人は金庫から現金を取り出し、推定1万~2万ドル(約148万~296万円)を奪った。
銃などの武器は使用されず、犯行時間はわずか2分ほどだったという。
再びスキューバ器材を身に着け、水中から逃走
現金を奪った犯人は、建物の外に隠しておいたスキューバ器材を再び身につけ、周囲に気づかれることなく池に飛び込み、そのまま水中へと姿を消した。
縛られていた従業員たちはなんとか自力で脱出し通報。しかし、保安官が現場に到着した時には、犯人の姿はすでになかった。
犯人の姿を捉えた監視カメラ映像
オレンジ郡保安官事務所は犯人とみられる人物の映像を公開している。
画像には、ウェットスーツらしき黒いゴム製のスーツに全身身を包み、ゴーグルとゴム手袋を装着した男が、監視カメラにスプレーを吹きかけて、映像を見えなくしようとする姿が写っていた。
身長は約5フィート10インチ(約178cm)とされ、現在も保安事務所は情報提供を呼びかけている。
店は通常営業を再開、犯人は依然逃走中
仰天事件が発生したものの、「パドルフィッシュ」は翌日の正午には営業を再開。観光客でにぎわい、現場には日常が戻っていた。
一方で、犯人は現在も逃走中で保安事務所はその行方を追っている。
どうやら、夢の国の水の中を泳いでいたのは、アリエルやニモだけではなかったようだ。まあディズニーでも悪役がいるからこそ主役が引き立つわけで、この真っ黒なウェットスーツの犯人も、ある種の登場人物であることは確かだ。
ハッピーエンドがお約束なので、きっと捕まり、天罰が下ることだろう。
追記(2025/09/20) 誤字を訂正して再送します。