一方スイスでは、車輪付きのロボット犬がフードデリバリーの配達員として訓練中
配達用バンから顧客の玄関先まで。最大30kg(66ポンド)の貨物を運べるロボット/image credit:RIVR

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 フードデリバリー業界にもロボット犬が参入しつつある。しかも車輪付きだから道路をスイスイ進めるぞ。

 スイスの国営郵便事業者と同国最大手のスーパーチェーン、ロボット企業の共同プロジェクトによる四足歩行ロボットによる宅配サービスの試験運用が始まった。

 実証実験に参加するのは、チューリッヒ州ディールスドルフ地区の自治体、レーゲンスドルフの住民だ。

 チューリッヒ工科大学開発の車輪付きのロボット犬が、配送車から玄関まで食料品を届けてくれる。宅配の新たな試みにせまっていこう。

四足歩行ロボットによるフードデリバリープロジェクト

 未来を感じるフードデリバリープロジェクト、犬型ロボットによる食品宅配の実証実験が、2025年8月より、スイスのチューリッヒ州ディールスドルフ地区レーゲンスドルフで始まった。

 このプロジェクトは、国営郵便事業者スイスポストと同国最大のスーパーマーケットチェーンMigros(ミグロス)、ロボット企業RIVR(リバー)が共同で進めている。

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車輪付きで歩行もできる「RIVR ONE」

 人に代わって宅配をこなすのは、RIVR ONE(リバー ワン)[https://www.rivr.ai/]という四足歩行の犬型ロボット。

 RIVR ONEは、世界有数の名門校、ETH(チューリッヒ大学)が開発したANYmal(アニマル)の商用バージョン。製造元のRIVRはETHのスピンオフ企業だ。

 その構造はベーシックなANYmalとは少々異なり、4つの足の先端のフットパッドの代わりに車輪を装備できるようになっている。

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 以下の動画では、RIVR ONEによる配達の様子を見ることができる。

 2025年の初め、オランダを拠点とする世界最大級のオンラインフードデリバリー企業、Just Eat TakeawayとRIVRが提携し、スイスの最大都市チューリッヒにある同社のレストランチェーンJust Eat の料理をお客に届けるまでの映像だ。

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 車輪は回るだけでなく、ロックもでき、ゴム製の足としても機能するため、階段を登ったり、障害物を飛び越えたり、荒れた地形を歩くこともできる。

 もちろんロックを外せば、歩行よりもはるかに高速、かつエネルギー効率よく、滑らかで平らな表面(舗装など)を移動できる。

いわば2WAY仕様だ。

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自律的に動き障害物も回避

 この宅配ロボットは、施錠できる貨物ボックスに入った荷物を、LiDAR(ライダー)や光学カメラ、GPSなどのハードウェアに誘導されながら移動する。

 また単に移動するだけではなく、障害物を検知して回避するなど、自律的に動くため、市街地の道路にも対応できる。

 さらに背中に付属のアームを使えば小型の荷物を運ぶこともできる。

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郵便配達車に乗り食品を宅配

 今回のレーゲンスドルフでの試験運用では、スイスポストの配達車にRIVR ONEが同乗。

 小包とともに、注文されたミグロスの食品を、お客の家の玄関まで配達する。運搬の最大重量は30kg(66ポンド)だそう。

 この作業は人間の監視下で行われ、場合によっては人間が作業を引き継ぐようになっている。

 スイスポストのプロジェクトリーダーであるパスカル・シュタルダー氏はこう語る。

この取り組みにより、通常の従業員と業務プロセスに、自律型配送システムがどう役立つかを理解できます。従業員の歩行距離や重い荷物を持ち上げる労力を減らせる可能性があること、と同時に、お客様が期待するサービスの品質維持も重要視しています

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ハイテク産業に強いスイスの新たな取り組み

 実はRIVR ONEを使った実証試験は過去にも行われている。

 Just Eat Takeaway のフードデリバリーだけでなく、アメリカ・テキサス州オースティンでも荷物の配達試験が行われている。

 郵便配達と一緒に注文した食品も玄関までお届け。受け取るほうも一度で済むから便利だ。

レーゲンスドルフの住民も、珍しいロボットの宅配に興味津々のはず。

 ハイテク産業に強いスイスが始めたロボットを採用する取り組みは、世界で注目を集めそうだね。

References: Newatlas[https://newatlas.com/robotics/rivr-one-delivery-robot-swiss-post/] / RIVR[https://www.rivr.ai/]

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