
ブラジルの基地病院で、手術室の窓の外に突然現れたのは、黒くて大きな2羽のハゲタカ。その視線を感じた患者は、驚きながらも冗談まじりにこうつぶやいたという。
この奇妙な光景は、当時現場にいた医療関係者のペドロさんによって撮影され、SNSに投稿された。
写真には、手術室の窓のすぐそばに、ハゲタカの一種であるクロコンドルが2羽、まるで中をのぞき込むようにたたずんでいる姿がはっきりと写っている。
ハゲタカは死のニオイを嗅ぎつけてやってくる鳥として知られており、その存在感とタイミングに、SNSでも「笑えないほど不吉」「出現場所が怖すぎる」といった声が相次いだ。
病院の手術室の前に突如現れた2羽のハゲタカ
ブラジルの首都、ブラジリアの基地病院で働くペドロさんが手術室の中にいた時、何者かの気配を感じた。
ふと外を見ると、窓のすぐそばに2羽の大きな黒い鳥がとまっているではないか!なんと、それはハゲタカだった。
その姿に、周囲の看護師たちはどこか落ち着かない様子を見せ、ある患者は「自分の死を待っているのかもしれない」と冗談交じりにつぶやいた。
ペドロさん本人は驚いたものの、「ハゲワシがこんなに近くに来るのは珍しいし、その大きさにも驚いた」と述べている。
これは興味深いが不気味過ぎる、SNSの声
投稿された写真は多くの注目を集め、SNSのRedditでは、さまざまなコメントが寄せられた。ではさまざまなコメントが寄せられた。
・動物好きとしては『ただ挨拶に来ただけ』と思いたい。でもホラー映画好きとしては『誰かの魂を狙っている』ように見える
・こんなふうに集まるのは、過去にエサがあったと学習してるからじゃないか?
・これが彼らの自然界での食事探しの方法なんだよ
・手術が成功したことを祈るよ。たぶん、間違えて来ただけだと思いたい
・今日ってハゲタカの日だったっけ?忘れないように来てくれたんじゃない?
・「食べられそうなもの何か残ってる?って顔して見てるよね
・病院の広告としては最悪かも
・自分だったら逆にテンション上がる。ハゲタカ、大好きなんだよね
ハゲタカはなぜ“死”を連想させるのか?
ハゲタカが死を象徴する存在として知られている背景には、宗教的・文化的なイメージも影響している。
聖書のルカによる福音書17章37節では、イエスが「死体のあるところにはハゲタカが集まる」と語っている。
だが実際には、彼らの行動には明確な生態的理由がある。
アメリカ・アリゾナ州のボイス・トンプソン植物園でボランティアプログラムを担当しているポール・ウォルターベック氏[https://www.livescience.com/26478-vultures-save-lives.html]によると、「彼らは腐った肉から出る独特の硫黄化合物の匂いを空から探知し、その匂いの元を見つけるまで円を描きながら降下していきます」と語っている。
ブラジルに広く分布するクロコンドルだが、病院の窓はレア
ハゲタカとは、タカ目に属する腐肉食の大型鳥類の俗称であり、主に「旧世界(アジア・ヨーロッパ・アフリカ)」に分布するハゲワシ類と、「新世界(北・南アメリカ)」に生息するコンドル類に大別される。
今回現れたのは、おそらくクロコンドル(Coragyps atratus)と見られる。コンドル科に属する新世界のハゲタカの一種で、北米から南米にかけて広く分布しており、ブラジルでも一般的に見られる。
体長は約60 cm、翼を広げると1.3~1.7 m、体重はおよそ1.5~2.5 kg。全身が黒っぽい羽で覆われ、頭部には羽毛がなく灰黒色の肌が露出している。
見た目も黒いことから、“死の象徴”とされがちだが、スカベンジャー(腐肉食動物)の中でも、大型のハゲタカは、死体を処理することで、病気や水質汚染を防ぐ重要な役割を果たしている生態系にとって欠かせない存在なのだ。
クロコンドルは、都市近郊やゴミ捨て場などにも姿を見せるが、病院の手術室の窓にとまり、中をのぞき込むように佇むというのは非常に珍しい。
投稿者のペドロさんは、「病院の窓で見たのは初めてだった」としつつも、「このところブラジリアではたくさん見かけるようになった。渡りの途中で、たまたま病院が休憩場所として適していたのかもしれない」と話している。