羊の皮を被った猫?くるくる巻き毛の「セルカークレックス」の子猫
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 まるで羊の皮をかぶった猫のよう。飼い主に甘えながらゴロゴロと喉を鳴らし、じゃれついているのは、「セルカークレックス」という種の子猫だという。

 くるくるの巻き毛に包まれた子猫の愛くるしい仕草に多くのネットユーザーのハートはわしづかみにされた一方で、確かにセルカークレックスの特徴はあるが、生成AIによるものではないかという声も上がっている。

 とりあえずかわいいことには間違いないので、まずはその映像を見てもらって、セルカークレックスという猫について詳しく説明をするね。

子猫というだけでもかわいいのに、このモコモコは反則技

 インターネットでは、日々さまざまな猫動画が投稿されている。一度猫動画に見入ると、リール系のSNSではずっとそれ系を押してくるから、猫浸りの猫ジャンキーになってしまうがそれも良しだ。

 今回、TikTokが押してきたのは、かわいい子猫が飼い主にじゃれつき、コテンと横になりながらゴロゴロと喉を鳴らすという映像だった。

 それだけでも十分にかわいいのだが、その毛並みが、まるで羊のようにクルクルの巻き毛だったのだからたまらない。

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 コメント欄には、「乾燥機でぐるぐる回された後のぬいぐるみ?」「ヨレヨレのマペットみたいだ」「洗って何度も干されたぬいぐるみ感が最高!」「子猫のときからこんな感じなの?」「天然パーマ?燃えちゃった?」など、多くの声が殺到した。

 その一方で、「AIで作ったやつじゃん」という懐疑的な声も寄せられた。。

 実際に、様々なSNSに投稿されているものの、オリジナルな映像が見つからないのでAI処理された可能性もある。ちょっと私には判断がつかないのでそこは有識者のみんなにお任せしよう。

 何度も騙さてきた経緯があるだけに、一応は疑っているんだけど、とにかくかわいい猫、ってだけで心が揺さぶられちゃう私を許してちょうだい。正解がわかったらちゃんと追記するからね。

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 だが、実際にこのような巻き毛の猫は存在する。それが、「セルカークレックス」という猫種だ。

セルカークレックスの歴史

 セルカークレックスのルーツは、1987年にアメリカ・モンタナ州の動物保護施設で偶然に生まれた一匹の巻き毛の子猫にさかのぼる。

 この珍しい子猫は「ミス・ディペスト(Miss DePesto)」と名付けられ、猫のブリーダーであるジェリ・ニューマン氏に引き取られた。

 ニューマン氏の家にいる黒いペルシャ猫とミス・ディペストが交配したところ、生まれた6匹の子猫のうち3匹に巻き毛が現れたという。

 これをきっかけに繁殖が進められ、「セルカークレックス」という新しい猫種が誕生することになる。

 2012年にオーストリアのウィーンの獣医学校の専門家に認められた新しい種類の猫だが、

 ちなみに「セルカーク」という名前は、ニューマン氏の義父の名前にちなんで付けられたものだと英語版wikipedia [https://en.wikipedia.org/wiki/Selkirk_Rex]には記載されている。

 だが日本語版wikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9]には「品種名は北アメリカ大陸東部のセルカーク山脈(Selkirk Mountains)に由来するとあるので、どちらが本当かはわからない。 

 正式な猫種としては、1992年に国際猫協会(TICA)によって認定されたのを皮切りに、1998年にアメリカ猫愛好家協会(ACFA)、2000年にキャットファンシャーズ協会(CFA)にも承認され、現在では国際的に認知されている。

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 セルカークレックスは、もともと安定した巻き毛の形質を確立するために、アメリカンショートヘアやペルシャ、ブリティッシュショートヘアなど、いくつかの猫種との交配が行われてきた。

 その結果、幅広い遺伝的多様性を持つ猫種として育てられてきた背景がある。

 ただし近年では、猫種としての独自性を確立するため、セルカーク同士での交配が推奨されるようになってきている。

 アメリカのキャットファンシアーズ・アソシエーション(CFA)では、2025年以降、セルカーク以外の猫との交配を完全に終了し、両親がともにセルカークレックスである子猫のみが登録可能となった。

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羊のような巻き毛と、ぬいぐるみのような存在感

 セルカークレックスの最大の特徴は、なんといっても羊のようにくるくるとした巻き毛だ。

 短毛と長毛の2タイプがあり、首まわり、しっぽ、お腹などに特に強い巻きが出る。ヒゲまでカールしていて、やや折れやすい。

 体格は中型から大型で、オスの成猫はおおよそ5.4~6.8kg、メスはやや小さめで3.6~5.4kg程度。がっしりとした筋肉質の骨格に丸い頭ふっくらした頬を持ち、全体的に「ずんぐりした印象」を与える。

 毛色や模様に制限はなく、あらゆるカラーが認められている。

 性格は穏やかで辛抱強く、社交的。人間とのスキンシップも好む個体が多く、子どもや他の動物とも良好な関係を築きやすい。

 セルカークレックスは、基本的に健康的で飼いやすい猫種とされている。被毛の特徴により耳に毛が入りやすかったり、毛が脂っぽくなりやすい個体もいるが、日常的なケアで十分に管理できる範囲だ。

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巻き毛は優性遺伝によるもの

 この巻き毛は、毛の構造を決める遺伝子に偶然起きた変化によって生まれたもので、2012年にウィーン獣医大学の研究チーム[http://jhered.oxfordjournals.org/content/early/2012/07/26/jhered.ess039]によってその仕組みが明らかにされた。

 とくに注目すべきは、セルカークレックスの巻き毛が「優性遺伝」であるという点だ。1つの遺伝子を受け継ぐだけでしっかりと巻き毛が現れるため、特徴を安定して引き継ぐことができるという。

 この猫は、コーニッシュレックス、デボンレックスに続いて認められた、3番目のレックス系猫種である。

 コーニッシュレックスやデボンレックスは、短く柔らかな被毛を持つのに対し、セルカークレックスは巻き毛の出方も遺伝の仕組みも他のレックス種とは異なっており、猫の世界でもちょっと特別な存在として知られている。

 追記(2025/09/25) セルカークレックスの表記のぶれを統一しました。また、名前の由来が日本語版Wikipediaと英語版Wikipediaで異なっていたためそのことを追記いたしました。

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