不気味の谷超えた?ヒューマノイドロボットのリアルな表情の動き
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 ついに不気味の谷越え?人間らしい表情のロボット誕生間近か。リアルな感情表現に迫る”顔だけヒューマノイド”の動画が衝撃的と話題だ。

 中国のロボット企業 AheadForm が公開中のロボット「Origin M1」は、顔しかないが、それがドキッとするほど人間っぽいのだ。

 まばたきや視線の動きもかなりナチュラル。表情の移り変わりもなめらかで、こちらを向くと目が合った気分にすらなる。

 人間の非言語的な合図の理解を目指す、ヒューマノイドロボットの最前線を見ていこう。

不気味の谷越え?人間らしい表情の顔だけヒューマノイド

 このたび話題の動画は、中国のロボット企業AheadForm(首形科技)が2025年9月18日に公開した「Origin M1(Only Head version)」。顔だけのヒューマノイドだ。

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 一見シュールな絵面だが、実際見ると目線といい、表情のなめらかな移り変わりといい、ただ単にリアルなだけじゃなく、ナチュラルさに驚嘆する。

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 ヒューマノイドを人間に似せれば似せるほど、その不気味さが増すことを「不気味の谷現象」という。だがこちらの顔はぎこちなさもほぼ感じられず、不気味の谷も越えつつある印象。

 あえていえば実際の人間にしては整い過ぎかも。そのせいで人工的に見えちゃってる気がしないでもない。

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AIとバイオニック駆動技術で作り出された顔

 これらのリアルな表情は、AIとバイオニック駆動技術で作り出された。

 つまり先端技術により、見た目だけでなく、内部構造まで徹底的にリアルな人間の顔を再現するよう設計されたのだ。

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 人間の繊細な表情を生み出すためにAIを活用。

人間の顔の質感に寄せた人工物で作り上げた顔の内部にセンサーを搭載し、自由度が高い駆動装置で精密に制御するなど、複数の高度な技術で成り立っている。

当社は、自己教師ありAIアルゴリズムと高自由度バイオニック駆動技術を統合した先進的バイオニックヒューマノイドロボットの開発に取り組んでおり、将来の汎用人工知能が、本物の感情やリアルな表情を表現できることを目指しています(AheadForm公式サイト)

 なお、”実在するかのように動くリアルな顔”の鍵は「ブラシレスモーター」で、この「Origin M1」は最大25個のマイクロモーターを搭載中とのこと。

 同社によると、このモーターは、超静音動作、高応答性、小型で軽量、エネルギー効率に優れた設計で、「次世代ロボットに最適な選択肢」とも述べている。

「エルフシリーズ」最新モデルにも同様の技術

 実は同社にとって、こうした”顔”を披露するのは初めてのことではない。以前公開された、これまたリアルなヒューマノイド「エルフシリーズ」にも同様の技術が使われている。

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 その名の通り、エルフのように大きな耳と、精密な制御システム、高度なAI学習アルゴリズムを搭載し、最大30度の自由度を持つ。

 特に注目なのが、その最新モデルの「Xuan」だ。全身バイオニックフィギュアで、胴体部分は不動なものの、頭部に人間とやり取りする機能を備えており、豊かな表情や「生きているような視線の動き」が可能な顔をもつ。

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 下の動画にもあるXuanは「世界を認識しており、通信、学習も可能。周囲の環境と知性的なやりとりができる」とのこと。

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目標は人間と自然にやり取りできるヒューマノイド

 公式にもあるようにAheadFormが目指すのは、人間と自然にやり取りする、さらにリアルで魅力的なヒューマノイド。

 先ほどの「Origin M1」も、瞳孔に埋め込まれたカメラで視覚認識でき、内蔵マイクとスピーカーにより、音声でのリアルタイムのやりとりができるシステムを備えているとのことだが、さらにその先を見据えている。

 より表情豊かで、目も動き、会話もできるロボットが、人間に自らの感情を伝えたり、人間の非言語的な合図まで理解できることを目標にしている。

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 同社の創業者、胡宇航(Yuhang Hu)氏は、ヒューマノイドロボットの将来に対して楽観的で「10 年以内に人間とほぼ同様のやりとりをして、20 年以内には人間と同様に歩き、作業を行える」との予測を明かす。

 しかし一方で、「開発段階によるが、人間そっくりのロボットを作るのは非常に困難」との見解も示しており、開発の厳しさをにじませていた。

人間そっくりのロボットが多数いる未来はまだ先か

 ヒューマノイドロボット業界が掲げる主な目標は、まず生産性であり、感情表現などは二の次だ。

 実際、大多数の企業が開発中のヒューマノイドも、人間の労働の代わりや家事のアシスタントなど、実用的なタスク処理能力が最優先とされている。

 また二足歩行ロボットについても一部で議論が交わされており「二足歩行が最善とは思わない。特定のタスクなら、その作業用に設計された産業用ロボットがあればそれでいいのでは?」といった主張を述べる専門家もいる。

 需要が無ければ実現も遠くなる。そんな現状からすると、人間そっくりのロボットがあちこちにいる未来はもっと先になるかもしれない。

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 ただ日本の漫画やアニメだとわりとよくある設定なだけに、パッと見じゃ人と見分けがつかないレベルのロボットが普通にいる世界を夢想するのは私だけではないはずだ。

 というか今回のロボットの表情はかなり自然で驚いた。つるんとしたきれいすぎる人工的な造作にもう少し、人間味というか不完全さを加えれば、もう不気味の谷も越えれる気がする。みんなはどう思う?

References: Interestingengineering[https://interestingengineering.com/innovation/china-humanoid-robot-face-lifelike-expressions]

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