
アメリカ・サウスカロライナ州の高校で、数週間にわたって謎の悪臭が校内に漂い続けた。生徒たちは頭痛や吐き気、めまいを訴え、病院で処置を受けるケースも相次ぎ、学校全体がパニックに陥った。
学校側はガス漏れを疑い、専門業者を呼んで調査を開始。だが、予想外の原因が明らかとなる。
なんと、補助教員の男が、ジョークグッズとして販売されている「おならのニオイがするスプレー」をまき散らしていたのだ。
この男は学校に混乱と健康被害をもたらし、空調設備の損傷による器物損壊などの罪で逮捕された。
数週間続いた異臭騒ぎ、生徒たちが次々と体調不良に
2025年8月下旬から9月中旬にかけ、アメリカ・サウスカロライナ州フローレンス郡にあるウェスト・フローレンス高校の校内で、ガスのような強烈な悪臭が繰り返し発生し、多くの生徒や教職員が体調を崩した。
「2時間目の授業に行くのに階段を上がった瞬間、先生たちが鼻と口を覆って咳き込んでいました」と語る生徒もいれば、「この前は臭いのせいでめまいがして、倒れそうになりました」と訴える声もあった。
「息子はもう3日ほど続いていると言っていて、頭痛もしているそうです。でも学校から保護者への説明は何もありません。健康に影響が出ているのに、とても心配です」と話す保護者もいた。
中には、喘息を持つ子どもが1日に何度も吸入器を使うほど症状が悪化し、通院するケースや、気を失って緊急外来に運び込まれたケースも。
臭いの原因がわからないまま、学校全体はパニックに陥っていった。
犯人は補助教員、おならスプレーをまき散らしていた
事態を重く見た学校側は、「ガス漏れ」の心配をしていた保護者に対し、9月中旬、保護者にこのようなメールを発送した。
ガスは校内では暖房設備、調理室、そして一部の理科実験室でのみ使用しています。予防措置として、調理室を除いた全校舎のガスを停止しました。
これにより、臭いの原因がガス漏れがである可能性は排除されました
ガス漏れではないならいったい何なのか?
その後、学校は専門業者を次々と呼び、天井裏の配管やトイレの排水管、プロパンタンク、空調設備まで徹底的に調査した。
さらに、空気の質を調べる環境コンサルタントまで導入したが、いずれも異常は見つからなかった。
そんな中、警察の捜査により驚きの事実が発覚する。悪臭の原因はなんと、同校で補助教員として働いていた男の仕業であることが分かった。
アレクサンダー・ポール・ロバートソン・ルイス容疑者(32歳)は、数週間にわたり通販などで売られているジョークグッズ、「おならの臭いがするスプレー」を校内に撒いていたのだ。
もちろん、彼の職務にそんな行為が含まれているはずもない。
ルイス容疑者はこのスプレーを何度も使用し、学校全体に深刻な混乱をもたらしバイオテロ状態に発展していたのだ。
男は逮捕され、刑事裁判へ
2025年9月20日、ルイス容疑者は「学校の秩序を乱した罪」および「器物損壊」の2つの罪で逮捕された。現在は、合計9,090ドル(約135万円)の保釈金を支払って釈放されている。
学校は、臭いの原因調査に加え、スプレーの影響で損傷した空調設備の修理なども含め、約55,000ドル(約820万円)を費やしたとみられている。
ルイス容疑者は、2025年10月15日にフローレンス郡の簡易裁判所に出廷予定で、さらに11月19日には刑事事件を扱う地方裁判所で正式な審理が行われる見通しとなっている。
捜査は現在も続いており、状況によってはさらなる罪状が追加される可能性もあるという。
なお、ルイス容疑者がなぜこのような行為に及んだのか、その動機は現在のところ明らかにされていない。
軽い気持ちのいたずらだったのか、それとも何らかの不満による嫌がらせだったのか、今後の裁判で明かされる可能性がある。
少なくともこの事件が“ちょっとした悪ふざけ”では済まされないものであったことは間違いない。