リスの逆襲!2人を病院送りに、カリフォルニア州で負傷者が続出中
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 アメリカ、カリフォルニア州の住宅街で、リスによる連続襲撃事件が発生した。うち2人の女性は深刻な傷を負って救急外来に駆け込んだ。

 容疑者は、金色がかった毛を持つ一匹のリスとされているが、正確な種は特定されていない。すでに5人以上が襲われたとの情報があり、地域住民を恐怖に陥れている。

 かわいいはずのリスが、なぜここまで凶暴になったのか。その背景には、人間と野生動物との関わり方にまつわる問題が潜んでいるようだ。

進撃のリス、女性2人が負傷して救急外来へ

 事件が起きたのは、カリフォルニア州マリン郡サンラファエル市のルーカス・バレーという閑静な住宅街がある地域だ。

 abcニュース[https://abc7.com/post/vicious-squirrel-sends-2-san-rafael-california-residents-er-neighbors-report-series-frightening-attacks/17865892/]などが伝えたところによると、朝の散歩中だったジョアン・ヘブラックさんは、突然現れたリスに襲われ、足を噛まれ、引っかかれるという被害に遭った。傷は思ったより深く、ヘブラックさんはそのまま救急外来に向かったという。

 「足に噛みついてきたの。しっぽがブワッと跳ねて、私は『やめて、離して!』って叫んでた。でも怖くて触れなかった」と当時の様子を語る。

 さらに同じ日、ルーカス・バレー内のマウント・ラッセン付近でも、新たな被害が報告された。

 イサベル・カンポイさんが姪のカルメンさんと一緒に散歩していた際に、同じリスと思われる個体に襲われ、腕に怪我を負って救急外来に駆け込んだ。

 「リスが地面から飛び上がって、顔を狙ってきたの。

とっさに腕で顔をかばったら、腕にしがみついてきて、引き離すまでに全身が血だらけになってたわ」とイサベルさんは振り返る。

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リスの襲撃は続き、警告ポスターが掲示される事態に

 被害はこの2人の女性だけにとどまらなかった。近隣住民から「5人以上が襲われた」という報告が相次いだ。

 そのため、ルーカス・バレー周辺では、地域住民が自ら注意喚起のポスターを掲示した。その内容は「これは冗談ではありません!」「リスが顔・腕・足を狙って襲ってきます」など、かなり具体的で切実なものだ。

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 リスは小動物でありながら、鋭い歯と爪を持ち、近距離では予想以上に素早い動きを見せる。

 またこのリスは、「どこからともなく突然現れる」と証言する人もおり、地域住民は安心して外を歩くことができない状況に陥っている。

 リスの襲撃は現在も続いており、地域の住民が利用する交流アプリでも、被害報告や目撃情報が次々と投稿されている。

 幸いなことに、今回の襲撃を受けた人々に狂犬病の感染が確認された例はない。

 アメリカではリスが狂犬病を媒介するケースは極めてまれで、医療機関や野生動物の専門家も今回のリスが狂犬病に感染していた可能性は低いと見ている。

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人間に餌付けされていた可能性を専門家が指摘

 アメリカではどこにでもリスはいるが、ただそこにいるだけの人間に突然襲い掛かるというケースはあまりない。いったい何が起きているのか?

 野生動物保護団体「ワイルドケア(WildCare)」で広報を務めるヴァネッサ・ポッター氏によれば、リスがここまで攻撃的になる原因は、人間による餌付けにある可能性が高いという。

 「リスは一般的に狂犬病の媒介動物ではありません。今回のように異常な行動を取るのは、過去に人間から餌をもらっていた可能性があるからです」とポッター氏は語る。

 餌をもらって育ったリスは、「餌は人間がくれるもの」と認識するようになる。しかし、それが手に入らないと、フラストレーションがたまり、攻撃的になることもあるという。

 また、かつて餌をもらっていた場所を“縄張り”として認識し、人間の接近を敵意と受け取るケースもあるという。

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リスはいまだ捕まらず

 今回のリスの種類に関しては海外報道機関で言及がされていなかったのでわからないが、金~赤茶色の毛色を持つ個体という情報から、北米原産の樹上リスの中で最大種、キツネリス(fox squirrel学名:Sciurus niger)である可能性が高い。

 本来はアメリカ中東部の森林に生息していたが、近年ではカリフォルニア州内でも定着が進み、住宅街の庭や公園でも普通に見られるようになっている。

 事件発生から数日が経過した現在、加害個体のリスは目撃されておらず、その行方はわかっていない。

 しかし、地域には今も緊張感が漂い、外出時には怯えながら周囲を気にする人も多いという。

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