数々の困難を乗り越えて 「英国 今年の木」 2025年はトネリコの木が選出される
<a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Argyle-street-ash-tree-glasgow-tree-of-the-year.jpg" target="_blank">Talesfromthecanopy</a>, <a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0" target="_blank">CC BY-SA 4.0</a>, via Wikimedia Commons

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 イギリス・スコットランドの街グラスゴーの中心部、アーガイル・ストリートには、大きなトネリコの木が一本、集合住宅を覆うように生えている。

 1850年代に植えられたというこの木は、第二次世界大戦中の空襲や、トネリコ立枯病の流行といった危機を何度も乗り越えて170年以上、凛と立ち続けている。

 このトネリコは、2025年の「英国 今年の木」コンテストで優勝し、来年開催される「ヨーロッパ・今年の木」にノミネートされることになった。

「英国 今年の木」、2025年の大賞が決定

 2014年に始まった「UK Tree of the Year(英国 今年の木)」コンテストは、イギリスの環境保護慈善団体ウッドランド・トラストが主催し、毎年秋に開催されている。

 候補となる樹木は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4地域から、専門家の委員会によってまず9本が選ばれ、さらに市民から推薦された木を加えて10本がリストアップされる。

 その後、各地域で選ばれた木の中から「英国の今年の木」が選出され、翌年の「European Tree of the Year(ヨーロッパ 今年の木」コンテストにノミネートされる。

 2025年、「英国・今年の木」に選ばれたのは、スコットランドの都市グラスゴーにある「アーガイル・ストリートのトネリコ(Argyle Street Ash)」だ。

 これにより、2024年に続いて2年連続でスコットランドの木が「英国の今年の木」に選ばれることになった。 

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偶然芽吹いたトネリコが、1850年代から街のシンボルに

 現地の言い伝えによると、この木は1850年代、この場所のアパートの住人が、サクラソウ科の多年草「プリムローズ」を庭に植えた際、誤ってトネリコの種子が混ざり込んでいて、偶然芽吹いてしまったのだという。

 たまたま生えてきた木がこんなに立派になり、「今年の木」に選ばれるとは、当時の住人は夢にも思っていなかったに違いない。

 この地に根を生やしてから約170年、トネリコは1941年のドイツ軍による空襲も生き延びて、地元の人々に愛され続けてきたという。

 1951年には作家のジェームズ・コーワンが、著書『From Glasgow’s Treasure Chest(グラスゴーの宝箱から)』の中で、この木を「船のマストのようにまっすぐ」で「これまで見た中で最も優美なトネリコの木」と表現している。

 トリネコはモクセイ科に分類される大きな落葉樹だ。

 どうやらその時代から既にこの木は約23mの高さに達し、アパートの屋根の高さを超えていて、アーガイル・ストリートのシンボル的存在になっていたようだ。

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 2020年代初頭、イギリスで多くのトネリコの木を枯らしたトネリコ立枯病(Hymenoscyphus fraxineus)が猛威を振るった際も、この木は生き延びた。

 通りの真ん中にぽつんと立っていて、一番近い同種から100m以上離れていたことが、感染を防いだ大きな要因だと言われている。

 このコンテストを主催するウッドランド・トラストのアダム・コーマック氏は、その趣旨について、次のように語っている。

木は私たちに物語を紡ぎ、芸術を生み出すインスピレーションを与えてくれる存在です。同時に、文化的な遺産や土地とのつながりを感じさせてもくれます。

私たちは人々に、身近な木々に目を向け、その恵みを楽しみながら学んでほしいと願っています。人間の心身に良い影響を与え、生物多様性を保ち、気候変動を和らげる。木々がもたらす恩恵は実に大きいのです

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これまでに「今年の木」を受賞した木々たち

 ちなみに2024年、「英国 今年の木」に選ばれたのは、スコットランドのロッホアーバーにある、樹齢400年以上とされる「Skipinnish Oak」というオークの木だった。

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 2022年はイングランド・ファーナムのウェイヴァーリー修道院にある、樹齢約500年のイチイの木が受賞している。

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 2019年はイングランドの「Allerton Oak」。樹齢約1,000年で、ノルマン人の侵攻以前からこの地に立っていたと考えられている。

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 下は2016年に「イングランドの今年の木」を勝ち取った「Sycamore Gap tree」。

 1991年に映画『ロビン フッド: 泥棒の王子[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%83%E3%83%89_(1991%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E6%98%A0%E7%94%BB)]』に登場して有名になった。ノーサンバーランド州クラッグ・ラフ近くのハドリアヌスの長城の隣にあったが、2023年に何者かによって違法に伐採されてしまった

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次は「ヨーロッパの今年の木」に挑戦

 今回「英国 今年の木」に選ばれたこのトネリコの木は、2026年2月に行われる「ヨーロッパの今年の木」にノミネートされることになる。

 ヨーロッパ版のコンテストは、毎年参加15か国からノミネートされた木々の中から、一般投票で選ばれるんだそうだ。

 これまでイギリス代表の木が優勝したことはないので、アーガイル・ストリートのこのトネリコが、初の受賞を果たすかどうか注目されるところだ。

 ちなみに「ヨーロッパ 今年の木[https://www.treeoftheyear.org/]」は、4年連続でポーランドの木が受賞。下は2024年の一位に輝いた、ヴロツワフ大学植物園にある樹齢約200年のブナの木だ。

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 日本では似たようなコンテストはやっていないのかな?と思って調べてみたけど、毎年の一位を決めるようなコンテスト形式のものはないみたいだ。

 その代わり日本では、自治体や団体ごとの「名木100選」や、「日本五大桜[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%94%E5%A4%A7%E6%A1%9C]」「さくら名所百選[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E5%90%8D%E6%89%80100%E9%81%B8]」「紅葉の名所百選[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B4%85%E8%91%89%E3%81%AE%E5%90%8D%E6%89%80100%E9%81%B8]」の選定などが盛んみたいだ。

 これから紅葉の時期を迎えるにあたり、各地にある名所をチェックしておくといいかもしれないね。

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References: The 2025 ‘Tree of the Year’ Is an Ash Growing in the Middle of Glasgow[https://www.goodnewsnetwork.org/the-2025-tree-of-the-year-is-an-ash-growing-in-the-middle-of-glasgow/]

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