
長年2匹の愛犬を飼っていた夫婦だが、どちらも高齢となり天国へと旅立っていった。ぽっかりと心に穴が開いた夫婦の元に、突如現れたのが、隣の家に住む犬だった。
この犬の名はベラ。ベラは庭の柵(フェンス)の穴から潜り込んできた。まるで夫婦の心に開いた悲しみの穴をふさぐかのように。
ベラは夫婦の気持ちを感じ取っていたのだろうか?亡くなった老犬たちから、何らかのサインをもらったのだろうか?
その日以来ほぼ毎日、夫婦の元にやってくるのが日課となり、彼らの心を癒し続けている。
柵の穴から突然現れた隣の家の犬
クリスタル・カーネスさんとその夫セスさんは、深い喪失感を抱えたまま日々を過ごしていた。2匹の愛犬を、1年半の間に立て続けに失ったのだ。
最初に旅立っていったのは15歳のブレイド(オス)。晩年の4年間は視力を失いながらも、家族と共に穏やかな時間を過ごしていた。
次はミニチュア・ロングヘアード・ダックスフントのドゥーニー(メス)。夫婦は17年の長きにわたり、愛情を注ぎ続けていたが、2025年5月、ブレイドを追って旅立っていった。
2匹の愛犬がいなくなり、夫婦の心の中にはぽっかりと穴が開いた状態だった。
そんなときに突如現れたのが、隣の家に住むメスのベラだ。すべての始まりは、庭の柵に空いた一つの小さな穴だった。
毎日のように訪れるようになり、天使のような存在に
穴からカーネスさん夫婦の庭に忍び込むと、楽しそうに駆け回った。その日を境に、毎日のように訪れるように。
夫婦は自然とベラが来るのを待ち望むようになった。ベラは夫のセスさんにとても好意を寄せていて、尻尾を振りながら近づいてくる。セスさんもベラにやさしいまなざしを向け、いとおしそうに撫でる。
今では彼女のいない生活は想像できないほどだという。
クリスタルさんは、「ベラは、最初からセスを選んだようでした。まるで彼女が運命に導かれて、私たちのもとにやって来たみたいなんです」と話している。
セスさんとベラの間には、言葉では表せないような特別な絆が生またようだ。
ベラはあくまでも隣人の飼い犬だが、カーネス夫婦にとっては、大切な存在となっている。
夫婦はまだ新しい犬を飼う心の準備はできていないという。心はまだ癒しの途中にあるようだ。
だが、フェンスの穴からやってきたベラは確実に夫婦の心の穴をやさしく埋めてくれているという。
「こんな形で心が癒されるなんて、思ってもいませんでした」とカーネスさんは語る。
動物、とくに犬は人の気持ちを察し、共感する能力に長けている。
もしかしたらベラは、彼らの心の痛みに気が付いてやってきたのかもしれない。
あるいは、虹の橋のたもとに旅立ったドゥーニーとブレイドから、「私たちの家族を助けてあげて」とメッセージを受け取ったのかもしれない。
ベラは夫婦にそっと寄り添い、常に慰めようとしてくれている。
また、ベラの飼い主もこうした関係を理解しており、ベラがカーネス夫妻の家に通うことを好意的に受け止めているという。
ときには数日間、ベラを預かってほしいと頼まれることもあるそうで、そのたびに「もちろん!喜んで!」と夫婦は快く引き受けている。
ベラ専用の小さなベッドもしっかり夫婦の寝室に用意されている。いつ何時でもベラを迎え入れる準備ができているのだ。
時にペットとは血縁や所有の有無を超えた絆が生まれる。そしてそれは、時に人の心を救ってくれることがある。