
アメリカのバージニア州で、8年にわたりホームセンター「ロウズ」の看板猫としてお客さんたちに親しまれて来た三毛猫「フランシーン」が、が行方不明となった。
店内での最終目撃情報は2025年9月17日。
店側はフランシーンがマイクロチップを埋め込み済み、避妊済みであることを明らかにしており、保護団体も報奨金を提示して目撃情報の提供を呼びかけている。
8年間地域に愛された店の看板猫が行方不明に
フランシーンが暮らしていたのは、バージニア州リッチモンドにあるホームセンターチェーン、「ロウズ(Lowe’s)」のウエスト・ブロード・ストリート店だ。
彼女は2017年に、店舗の中のガーデニングコーナーにふらりと入り込んできて、そのまま居ついたと言われている。
そのうちに従業員たちが餌をやるなど、彼女の世話を始めたことで、「看板猫」として地域の人気者になったのだそうだ。
彼女の姿が店内で確認されたのは2025年9月17日。翌18日、店の監視カメラには、ノースカロライナ行きのトラックに彼女と思われる猫が乗る姿が写っていたという。
9月27日になると、この店の常連で彼女を心配するユーザーが、海外掲示板redditに「フランシーンがいない![https://www.reddit.com/r/rva/comments/1ns7a75/comment/ngkbww1/]」というスレを建てた。
すると「フランシーンの同僚」を名乗る人物がコメントを残し、彼女が行方不明であることを明かしたという。
皆さん、フランシーンの同僚として、黙ってはいられません。監視カメラ映像を確認し、彼女に何が起こったのかはわかっています。
マネージャーからは黙っているように言われていますが、私はとても心配なのです。
9月18日、彼女は荷受エリアで貨物トラックに乗り込み、ノースカロライナ州ガリーズバーグの配送センターへと移送されてしまいました。
現時点で彼女の安否は不明です。配送センターに連絡しましたが、何の手がかりも得られませんでした。
スタッフの1人が現地まで車で向かいましたが、門前払いを食らいました。マネージャーや上層部は、事態を深刻に受け止めていないようです。
もしお店に来られたら、私たちフロアスタッフに優しく接してください。私たちは悲しみに打ちひしがれていて、ただ彼女が無事に戻ってくることを願っています。
ネットユーザーが結束し、州をまたいだ捜索作戦
このスレッドには数百件ものコメントがつき、9月29日には多くのメディアでフランシーンの行方不明事件が報道されるようになった。
防犯カメラの映像には、確かに1匹の猫が店舗裏の積み下ろし場所で、ノースカロライナ行きの配送トラックに乗り込む姿が写っていたという。
だが、この猫がフランシーンであるという確証は得られていない。
また、到着した先のガリーズバーグの配送センターでは、「猫を見た」という証言は得られたものの、それがフランシーンかどうかはわかっていないという。
そしてついにネットユーザーたちの本領が発揮された。
Redditの投稿を機に、有志がフランシーンを探す活動を始め、Instagramに@wheresfrancine[https://www.instagram.com/wheresfrancine/](フランシーンはどこ?)というアカウントを立ち上げたのだ。
また29日には、直接ノースカロライナまで探しに行こうというボランティアチームが結成され、彼らのミッションは「タスクフォース・フランシーン(Task Force Francine)」と名付けられた。
彼らはユーザーらは民間の保護団体リッチモンド動物虐待防止協会(SPCA)[https://richmondspca.org/]とも協力し、フランシーンの捜索を本格的、そして大々的に開始したのだ。
リッチモンドSPCAのCEO、タムセン・キングリー氏は、この作戦について次のように語っている。
フランシーンが最後に目撃されたノースカロライナ州ガリーズバーグにあるロウズ地域配送センター(RDC)のような広大な地域では、猫の保護・救出の技術と経験のあるプロが、人道的な罠を設置し、監視するのが最善策です。
猫は茂みの下に隠れる傾向があります。車の下に潜んでいることもよくあります。現場は配送センターですので、車の数が非常に多いのです。
罠は放置してはいけません。ロウズがセンターに、より多くの保護活動家の立ち入りを許可し、フランシーンを見つけられることを願っています
フランシーンにマイクロチップが入っている情報が提示される
29日午前に行われた@wheresfrancineの投稿では、RDCの現場の管理側は協力的だったものの、ロウズ本社が安全上の理由から、保護活動家の施設内への立ち入りを許可しなかったことが共有された。
代替として、郡の動物管理局(ACO)が捜索の主導に立ち、フランシーンが慣れ親しんだ餌を置いた罠を3~4か所に設置し、24時間ごとに点検することにした。
監視カメラ映像の確認についても、ACO経由で手続きが進められている。また、Task Force側はフランシーンの毛布をACOへ渡し、罠の下に敷いニオイで誘う方法をとることにした。
ロウズ本社は次のような声明を出し、フランシーン発見への協力を呼び掛けた。
私たちは動物が好きですし、フランシーンは私たちにとって特別な存在です。
彼女は地域の有名猫で、お客様から従業員まで皆に深く愛されています。
多くの方が寄せてくださる温かいご支援に感謝します。私たちは地元の動物保護団体の専門家を招き、彼女を無事に連れ戻すため手を尽くしています。このような事態が発生した場合に備え、フランシーンにはマイクロチップを埋め込んでいます。彼女を見かけた方は、店舗までご連絡ください
また、タスクフォース・フランシーンもロウズ従業員への非難や施設への過度な電話を控えるように呼びかけ、協調的な捜索体制を保つよう求めている。
有力な情報提供者に2000ドルの報奨金
さらに地域の保護団体SOS Cats RVA[https://soscatsrva.com/]は、フランシーンの安全な保護につながる有力な情報に対して、2,000ドル(約29万5,000円)の報奨金金を支払うと発表。
この報奨金は一般人による情報に支払われるもので、動物管理局によって保護された場合には、郡の施設に寄付するという取り決めも行われたそうだ。
さらにタスクフォース・フランシーンのボランティアチームは、配送センターに隣接する土地の持ち主の許可を得て、敷地内で犬とドローンによる捜索を実施することとなった。
こういった救出作戦の広がりに対し、インターネット上ではさまざまな声が寄せられている。
- 長引いているのがつらい。でも注目が集まっているから、希望は捨てないようにしている
- 店の中の小屋やクローゼット、キャビネットを全部開けて、入り込んで出られなくなっていないか確認した?
- 気持ちはわかるけど、これは遅かれ早かれ起きる運命だったと思う。どれだけ店に愛着があっても、広い店を自由に歩き回る猫は、いつか他へ探検に行きたくなるものだ。
- まさにそれ。だから私は店猫とか好きじゃないんだ。見つかったとしてもまた店に戻されて、同じことが起こるか、もっと悪いことになるのを想像したくないから
- 彼女は「ふらっと出て行った」わけじゃないよ。トラックの荷台に乗って、そのまま走り出しちゃった。運転手は彼女がいるのに気づかなかった。店猫に問題があるわけじゃない、路上で暮らすよりずっと安全だよ。しかもメス猫だから自ら冒険しようとはあまり思わないはず
- 彼女にマイクロチップは入ってる? エアタグみたいなものは付けてる?
- マイクロチップはロウズの情報で登録済みって確認されたよ。だから見つかったら、正しい対応をしてくれるはず
- 数年前そこで働いてたけど、仕事してるよりフランシーンを撫でてるところを見つかるほうが多かった。無事に見つかりますように
- 保護できたらTractiveのGPS猫トラッカーをおすすめする。うちの旅する猫たちにすごく役立ったよ
- GPSトラッカーなら寄付できるかも。どのブランドなのかは、抽選で当たったやつだからわからないけど
- 「行方不明の猫にみんなで大騒ぎできるコミュニティ」に関わることができてうれしい
- 配送センターは盗難や安全面の理由で、厳重に守られていることが多いんだよね
- 率直な疑問だけど、居場所がわかっていて、たくさんの人がもう動いているなら、どうして報奨金が必要なの? そのお金をTNRや保護活動に回したほうが、フランシーンの名誉のためにもなるんじゃない?
- 倉庫は巨大で隠れ場所は無数、従業員も何百人もいる。報奨金は見つけてくれた人の努力に報いるため。
それに、彼女が倉庫内に確実にいると保証されているわけでもない- 彼らは自分たちの大切な猫を愛してる。報奨金を出す権利はある。お金は注目を集めるんだよ
- プロでさえ敷地に入らせない本当の理由は、別件の違反で摘発される可能性が高いからじゃないかな。もしそうなら、早く妥協点を見つけないと、株価が下がって株主がパニックになったときに跳ね返ってくるよ
- フランシーンは街のみんなのペットなんだ。地域のコミュニティは彼女を恋しく思っている。どうか力を貸してほしい
2025年10月4日現在、まだフランシーンが見つかったとの報は入って来ていない。彼女が無事に発見され、みんなに報告できる日が早く来るよう祈っている。
いち早く彼女がどうなタカを知りたい人はInstagramのアカウント@wheresfrancine[https://www.instagram.com/wheresfrancine/]に張り付いておこう。