かわよ、かわよ。モルモット70匹を一斉に納屋に戻す方法
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 オランダにあるモーリッツ・ボスフート農場では、毎晩決まった時間になると、70匹以上のモルモットたちの愛らしい“帰宅ラッシュ”が始まる。

 まるで町内のスピーカから流れる時報チャイムのごとく、飼い主家族がスプーンで缶や容器を叩きながら歩くと、それが合図となり、あちこちにいたモルモットたちが一斉に納屋へ駆け込んでいくのだ。

 日中は農場で自由気ままに暮らす彼らだが、帰宅の合図は聞き逃さない。列をなして急いで納屋へと走る姿は、見ているだけでほっこりするよ。

スプーンの音が合図。モルモットたちが一斉に帰宅

 オランダ東部にある「モーリッツ・ボスフート農場(Maurits Bosgoed farm)[https://www.youtube.com/@mauritsbosgoed/videos]」では、馬、羊、豚、牛、ニワトリ、ウサギやモルモットなどの動物たちが暮らしている。

 70匹以上いるモルモットたちは、広い庭の中を自由に走り回り、草に隠れたり、トンネルを掘ったりと、まるで自然の中にいるかのような環境でのびのびと生活している。

 寝るときは雨風をしのげる納屋に移動させるのだが、その方法がユニークだ。

 スプーンで、缶やプラスチック容器を叩きながら飼い主家族が歩くと、あちこちにいたモルモットたちが一斉に駆け出し、納屋の方へ向かっていく。

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 彼らはこの音が帰宅の合図であることをきちんと理解しており、わずか1分ほどで全員が集まってくる。

 納屋には、モルモットたち専用の壁の下部に設けられたチューブ状の出入口があって、彼らは吸い込まれるようにそこから入っていく。

 モルモットにつられてついてきたニワトリは、穴が小さすぎて入ることができなかったようだ。

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 日中は草の中で遊んだりトンネルを掘ったりと自由気ままに過ごす彼らだが、夜になるとこの通路を通じてきちんと納屋へ戻ってくる。

 きちんと音の意味を理解し、全員がちゃんとそのルールを守って夜にはお家に帰り、朝になるとまた外に出る。

 小さいのに賢くて偉いし、そしてなによりかわいいね。

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これがそのチューブ状のモルモット専用出入り口だ。

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モルモットはどんな動物?

 モルモット(学名:Cavia porcellus)は、南アメリカのアンデス山麓地帯が原産とされる、非常に古くから人間とともに暮らしてきた動物だ。

 紀元前から家畜化されていたとされ、全身にやわらかな被毛をまとい、見た目の愛らしさもあって、現在ではペットとして親しまれる一方、医学生物学の実験動物としても利用されてきた。

 現在私たちが目にするモルモットは、もともとの野生種とは異なり、自然界には存在しない完全な飼育種である。

 分類学的にはげっ歯類に含まれ、体長は20~25cm、体重は700~1,200gが標準で、大型の品種では3kgに達することもある。

 背景により毛の種類・長さはさまざまで、長毛種・短毛種・無毛種(スキニーギニアピッグなど)も存在する。

 寿命は4~5年ほどだが、飼育環境が整っていれば8年、まれに10年以上生きる例もある。

 草食動物であるモルモットは、牧草や野菜を主食とし、特にセルロースや繊維質が豊富な餌を必要とする。

 歯は一生伸び続けるため、硬いものをかじって歯を削る行動が欠かせない。

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高い社会性と知能

 モルモットは非常に社会性の高い動物としても知られており、集団で暮らすことを好む。仲間がいることで安心し、鳴き声や行動を通じてコミュニケーションをとる。

 逆に、単独飼育ではストレスを受けやすく、環境の変化や騒音に対しても敏感に反応する繊細な一面を持つ。

 そのためスイスでは2008年、モルモットを1匹だけで飼うことを禁じる法律を施行している。

 環境の変化や騒音に対しても敏感に反応する繊細な一面を持つため、飼育にあたっては2匹以上、広いケージ、隠れ家、遊び道具などが欠かせない。

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 また、モルモットは非常に賢い動物で、音を記憶したり、場所やルートを覚える力を持っている。

 実際、モルモットがある行動を習慣として学習し、それを記憶して実行できることは、ドイツの研究[https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2859863/?utm_source=chatgpt.com]でも裏付けられている。

 家畜化されたモルモットと野生のモルモットを比較した空間学習の実験では、どちらも迷路内で正しいルートを選択する力を持っていることが明らかとなった。

 今回のように、缶や容器を叩く音が“帰宅のサイン”であることを理解し、しかも70匹以上全員がそれを共有しているというのは、その知性と社会性の現れともいえるね。

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