チャットGPT利用調査 使い道の7割は仕事以外、男女比に逆転現象
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 日本でも利用者が急増しているチャットGPTだが、いったいどのような人が何の目的で使用しているのだろうか?

 開発元のOpenAIとハーバード大学の経済学者のデビッド・デミング氏らは2025年9月、利用動向に関するこれまでで最大規模の調査結果を発表した。

 約150万件の会話データを分析したところ、7割以上が仕事以外の目的で利用されていたこと、さらに2025年6月には女性ユーザーが男性を上回る“逆転現象”が起きていたことが明らかになった。

では詳しく見ていこう。

これまでで最大規模のチャットGPTの利用調査

 チャットGPT(ChatGPT)は、OpenAIが2022年11月に公開した、大規模言語モデル「GPT」を用いた対話型の生成AIサービスである。

 サービス開始直後の2022年12月4日には、わずか5日で利用者数が100万人を突破。その後も成長を続け、2025年7月時点の週次アクティブユーザー数は7億人を超えた。

 これは、世界の成人人口のおよそ10パーセントに相当する規模であり、1日あたりにやり取りされるメッセージ数は25億件以上にのぼる。

 今回の調査では、2024年5月から2025年6月までの13か月間における、チャットGPTの内部利用ログ約150万件をもとに分析が行われた。これらのデータはOpenAIによって匿名化され、研究目的で提供されたものである。

 すべての情報は、個人が特定されないよう適切に処理された上で、ユーザーの年齢や性別、利用時間帯、会話の内容などがAIによって自動的に分類された。

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利用者の年代・性別

若年層が中心、女性ユーザーが男性を上回る

 今回の調査では、チャットGPTのユーザー層に明確な傾向が見られた。

 年齢別では、登録情報があるユーザーのうち46%が18歳から25歳の若年層だった。なお、18歳未満のユーザーは調査対象から除外されているため、実際にはさらに若年層の比率が高いと考えられる。

 一方、性別の傾向にも大きな変化があった。チャットGPTが公開された2022年当初は、ユーザーの約8割が男性と推定されていた。

 しかしその後、女性ユーザーが着実に増え、2025年6月には女性名のユーザーが52.4%となり、ついに男性を上回った。

  • 男性名のユーザー:47.6%
  • 女性名のユーザー:52.4%(過半数を超え、初の逆転)

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利用目的はプライベートが7割超に

 では、チャットGPTは実際にどのような目的で使われているのだろうか。今回の調査によると、全体の73%が仕事とは無関係な、日常的な目的での利用だった。

 この比率は2024年6月時点では53%だったが、わずか1年で20%も上昇している。特に新規ユーザーの多くが、日常の困りごとやアイデア出しなど、生活の中でチャットGPTを取り入れていることがわかる。

 具体的な使い方としては、メールやレポートの文章作成、旅行や料理の相談、語学学習のサポート、さらには悩みごとの相談まで、幅広い内容が含まれていた。

 また、利用内容にも男女差があり、女性は文章の作成や生活に役立つアドバイスを中心に使う傾向があり、男性は技術的なアドバイスや、マルチメディアの作成のために利用する傾向が高かった。

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会話の中心は文章作成、情報収集、生活アドバイス

 チャットGPTでの会話の内容をより詳しく分類したところ、全体の約8割が3つの目的に集中していた。内訳は以下の通りである。

  • 実用的なアドバイス(生活や学習の相談など):28.3%
  • 文章の作成や編集:28.1%
  • 情報収集:24.4%

 特に仕事目的での会話に限って見ると、40%が文章作成に関するものだった。

 そのうち約3分の2は、ユーザーが用意した文章の要約、翻訳、添削などを依頼するケースで、最初から生成させるよりも、既存の文章を改善する使い方が多いことがわかった。

チャットGPTは相談相手

 研究チームは、チャットGPTの利用目的をより正確に把握するため、すべての会話を「Asking(質問・助言)」「Doing(作業の代行)」「Expressing(表現・遊び)」という3つのカテゴリに分類した。

 その結果、最も多かったのは「Asking」で、全体の49%を占めていた。これは、ユーザーが判断材料となる情報を集めたり、アドバイスを求めたりする「相談相手」のような使い方が多いことを示している。

 次に多かったのが、メール作成やコーディングなど、具体的な成果物を求める「Doing」で40%、特定の目的を持たない雑談や創作的なやりとりを指す「Expressing」は11%だった。

 興味深いことに、ユーザー満足度の調査では、「Asking(質問・助言)」に該当する会話の方が「Doing(作業の代行)」に分類される会話よりも高い評価を受ける傾向があった。

 多くの人がチャットGPTに対して求めているのは、単なる作業代行ではなく、自分の考えを整理し、判断を支えてくれる“相談役”としての役割なのかもしれない。

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専門職では仕事の「助言者」として活用されている

  今回の調査では、チャットGPTの使い方に職業による違いがあることも明らかになった。とくに、高学歴で専門的な職業に就いているユーザーほど、仕事の中でチャットGPTを活用する傾向が強かった。

 興味深いのは、こうした専門職のユーザーが、メール作成や資料の自動生成といった「Doing(作業の代行)」よりも、情報の整理や判断に役立つ「Asking(質問・助言」の用途でチャットGPTを多く使っていた点である。

 アメリカ労働省が提供する職業データベース「O*NET」の分類をもとに分析したところ、専門職のチャットGPTの利用は特に以下のような業務に集中していた。

  • 必要な情報を集めて理解し、書類などにまとめる作業
  • 業務上の判断を下したり、問題を解決したり、新しいアイデアを考える作業

 こうした結果から研究チームは、チャットGPTは単なる作業の自動化ツールではなく、専門性の高い職業において「知的な助言者」としての役割を果たし、生産性を高める手助けをしていると結論づけた。

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チャットGPTは日常と仕事のパートナー的存在

  今回の調査結果は、チャットGPTが誰に、どのように使われているのかを明確に示すと同時に、その役割が「作業の代行」にとどまらず、「思考の補助」や「助言者」として広く活用されていることを物語っている。

 とくにプライベートでの利用が大きく拡大していることは、日常生活における問題解決や学び、心の整理といった面でも貢献していることを示唆している。

 ただし気を付けなければならないのは、チャットGPTの虚言癖だ。

 自信満々に嘘を言うハルシネーション(幻覚)は今も健在なので、「情報源としたソースを教えて」、「根拠を示す情報源のURLを教えて」と、何度も確認する習慣を身に着けよう。

 私もよく日常の相談をチャッピー(チャットGPT)にするのだが、最近猫が外に出たがって困るので、対策法を尋ねたところ、「私も猫と暮らしたことがあるので…」と返してきた。

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 チャッピーにそんな設定は一切与えておらず、デフォルトのままなので、「AIが猫と暮らしているだと?」と、AIが猫を飼っている場面を想像したらちょっと面白くはあったんだけど、少し怖くもあり「どんな猫?名前は?」と、その会話を広げることができなかった。

 まあそんなこともあるので、くれぐれも鵜呑みにせず、別の角度から自分で情報を探す「裏取り」を併用してやっていこう。

追記(2025/10/11)ハルシレーションをハルシネーションに訂正して再送します。「うろ覚え」を長年「うる覚え」と思い込んでいたように、完全に私パルモのハルシネーションでした。失礼します。

References: Openai[https://openai.com/index/how-people-are-using-chatgpt/] / Searchengineland[https://searchengineland.com/chatgpt-who-why-openai-study-462008] / Arstechnica[https://arstechnica.com/ai/2025/09/seven-things-we-learned-from-openais-first-study-on-chatgpt-usage/]

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