
アメリカでは毎年、ハロウィンの時期になると家の飾りつけに気合をいれる人々が多く存在する。合法的にホラーが演出できるとあって、巨大骸骨や動くゾンビ、ひしめく蜘蛛など、あっと驚く仕掛けがあちこちで見られる。
サウスカロライナ州に住むカップルも、全力で人々を驚かせることに情熱を燃やした結果、家が燃えているような演出を施した。
だがあまりのリアルさゆえに、本当の火事と勘違いした通行人から消防署への通報が相次いでいるという。
炎がゆらめき、煙が上がる「燃える家」
サウスカロライナ州にあるファウンテン・インという人口1万1000人ほどの小さな町に住む、アマンダ・ピーデンさんと婚約者のサム・リーさんは、ハロウィン用に自宅全体を使って、驚きの演出を行った。
窓からは炎のような光がちらつき、屋根のあたりからは煙が立ちのぼる。暗い夜道にから見ると、本物の火事にしか見えない。しかも今まさに燃え上がっている。
だが安心して欲しい。実際には、特殊な照明とスモークマシンを使った視覚効果で作られた演出だ。
ピーデンさんは10月4日、自身のFacebook[https://www.facebook.com/reel/1229434568950811]やTikTok[https://www.tiktok.com/@themillerstok/video/7557548804115827998]にこの様子を映した動画を投稿た。
そこで「うちの家は燃えてます(本当の火事じゃありません)。10月31日まで毎晩20時から22時にライトアップしています。どうか通報しないでください!」と呼びかけた。
この燃える家、見た目とは裏腹に中ではふたりがのんびりと過ごしている。
「私たちはテレビを見て、普通に部屋の明かりをつけてますよ」とピーデンさん。とはいえ、窓の部分に使っている装置のせいで「ちょっとうるさいけどね」と笑う。
ピーデンさんとリーさんは、ここ5年ほど、ハロウィンの時期になると手の込んだ演出を続けており、今回の「燃える家」も2年前に一度披露したことがあるという。
リーさんはその仕掛けについてはネットで調べればすぐに出てくると述べており、どうやらアメリカのハロウィンDIY好きにはおなじみの技術のようだ。
この「燃える家」の演出は話題となり、アメリカのメディアに次々と取り上げられた。
地元の消防署に通報が相次ぐ
だが、あまりのリアルさが災いし、地元のファウンテン・イン消防署には通報が。
消防署長のラッセル・アレクサンダー氏によると、「2年前に最初の『燃える家』の演出がされた時には、本当にひっきりなしに電話がかかってきました。今回はそこまでではありませんが、最近引っ越してきた方々から、10月6日時点で4件の通報がありました」と語っている。今後も通報は増えるかもしれない。
消防署はすでにこの家の演出について把握しており、事前にピーデンさんたちとも連絡を取り合っているという。
それでも、通報があれば必ず出動するという。
「通報があったのに消防車を出さないのは悪い前例になるし、ライトがショートしたり、スモークマシンが過熱したりする可能性は常にわずかながらあります」とアレクサンダー署長は語る。
ピーデンさんが投稿した動画はすぐに多くの注目を集めた。
「本当に燃えてるようにしか見えない!」、「これは子供たちに見せたい」などの声が上がる一方で、「確かすごいけど、これはやりすぎ」、「消防署が本当の火事に対応する時間を奪っている」、「違法にすべきだ」と批判的な声もあった。
また、「庭の周りに大きな看板を立てないと、知らない人はこれが本物ではないと気づかないだろうよ!」と注意を促すコメントも見られた。
これに対しリーさんは、「ほとんどの人は楽しんでくれています。ただ、何をしても必ず文句を言う人は少なからずいますからね」と受け流す姿勢を見せた。
ハロウィン演出と安全、その境界線はどこに?
アメリカではハロウィンの演出にコミュニティ全体が力を入れている地域もある。ピーデンさんとリーさんの住む小さな町、ファウンテン・インはまさにそんな地域だ。
ファウンテン・インでは10月31日、メインストリートで公式のトリック・オア・トリートイベントも予定されており、住民や子どもたちにとっては楽しみな季節となっている。
ただし、あまりやりすぎると緊張を招くし、安全面での問題もはらんでいる。
緊急出動が誤報によって発生すれば、他の本当の火災現場への対応が遅れるリスクもある。
ハロウィンを楽しむ自由と、公共の安全を守る責任。そのバランスが問われるケースとなっている。
これくらいの巨大骸骨を庭に飾るくらいなら大丈夫かな?
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