きっと帰ってくる… 二度と戻らない飼い主の帰宅を窓際で待ち続ける犬の姿に涙
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 ゴールデンレトリバーのグレイシーは、大好きなお父さんが仕事から帰ってくる時間になると、窓辺に座り、彼の車の音を待ち続けるのが日課だった。

 そして車が到着すると、おもちゃをくわえて、ドアで出迎えてたくさん撫でてもらう。

その瞬間が最高にうれしかった。

 だがそれが二度と叶わなくなる日がやってきた。飼い主男性のショーンさんは、グレイシーより先に天国へと旅立っていったのだ。

 ショーンさんが亡くなった後も、グレイシーは窓際で、毎日彼の帰りを待ち続けている。車が通るたびに「今度こそお父さん?」と、振り向いて確認する。

 お父さんの車じゃないことがわかると、寂しそうな表情を浮かべながら、それでもじっと待ち続ける。

高齢の愛犬を亡くした後、迎え入れられた犬

 ゴールデンレトリバーのメス、グレイシーが、ベッキーさんとショーンさんの家族に迎え入れられたのは、新型コロナウイルスによるパンデミックの最中のこと。

 14年間ともに過ごした先代の犬を亡くしたベッキーさんが、「また犬と暮らしたい」と強く思ったのがきっかけだった。

 ショーンさんはそこまで乗り気ではなかったものの、「君がそんなに望むなら、迎えていいよ」と了承してくれたという。

 だが本当はショーンさんも犬と暮らしたかったのかもしれない。

 グレイシーを迎え入れるとすぐに、ショーンさんは彼女にたくさんの愛情を注いだ。。そうして、ショーンさんとグレイシーの間には切っても切れない深い絆で結ばれていったのだ。

 ショーンさんの仕事が終わり、帰宅する時間になると、グレイシーは窓辺で待機するのが日課となった。

 彼女はショーンさんの車の音が聞きわけることができ、彼の車を確認すると、おもちゃをくわえ、玄関まで走って迎えに行く。

 玄関先でショーンさんにたくさん撫でてもらい、再会の儀式をするのが、彼女にとって1日のメインイベントとなっていた。

 グレイシーは、この楽しい日常がずっと続くと思っていた。

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お父さんが帰らぬ人になった今でも待ち続ける犬

 その日は突然やってきた。人間は犬よりも寿命が長いため、別れの悲しみを経験するのは人間の方が多いのだが、それが逆転することもある。

 4か月前、ショーンさんが帰らぬ人となってしまったのだ。

 夫の死はベッキーさんにとって耐えがたいものだが、それ以上に胸を締めつけたられたのは、グレイシーの様子だった。彼女もまた深い悲しみに包まれていたのだ。

 彼女はショーンさんの死を受け入れることを拒み、彼が再び目の前に現れてくれることを信じたかったのかもしれない。

 今も尚、彼の帰宅の時間になると窓辺に座り外を見つめ、彼の車を探す日課は続いていたのだ。

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 2025年9月14日、ベッキーさんは自身のInstagramアカウントにこの様子を撮影した動画を投稿した。

 そこには、窓辺でじっと外を見つめるグレイシーが、通り過ぎる車の音を聞き逃すまいと耳を傾けている様子が映し出されている。

 彼女は車が通るたびに振り返り、お父さんの車じゃないことがわかると、寂しそうな表情を浮かべ、また次に来る車に期待を込めて待ち続けている。

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最後のお別れを済ませ、理解していたはずだった

 ショーンさんが亡くなったあと、ベッキーさんは葬儀会社と相談し、グレイシーが彼と“最後のお別れ”をできるよう手配した。

 ペットに亡くなった飼い主の姿を見せることは、「もう戻ってこない」という現実を理解する助けになる場合がある。

 すべてを理解できるわけではなくとも、そうした“区切り”が悲しみを和らげる効果があるという。

 ベッキーさんは、ショーンさんが永遠に眠る姿をグレイシーに見せた時、彼女はその意味を理解できたように見えたという。その表情がすべてを物語っていたのだ。

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心を閉ざし、何も食べなくなってしまったグレイシー

 しかし、最後の別れのあとグレイシーは心を閉ざしてしまった。

 食べることも水を飲むこともやめてしまった。丸3日間、何も口にしなかったため、ベッキーさんは動物病院へと急いだ。

 検査やレントゲンをしても、体に異常は見つからなかった。だがそのとき、獣医師から「これは悲しみによるものかもしれません」と伝えられたという。

 その言葉で、ベッキーさんは、グレイシーも自分と同様に強い喪失感を持っていることに気が付いたという。

 「彼女は、生きることをあきらめかけていたようでした。だから私は、何とかして食べさせるしかなかったんです」

 ベッキーさんは、無理にでも口に入れて栄養を摂らせ、少しずつ体調を回復させていった。

 今では以前より元気になってきたが、それでも時折、悲しそうに鳴いたり、外を見つめ続けることがあるという。

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窓で待ち続ける習慣を新しい習慣に

 ベッキーさんは現在、ショーンさんが帰宅していた時間になると、グレイシーを散歩に連れ出すようにしている。

 グレイシーが待ち続けていた時間を、他の違う何かに置き換えることで、「窓で待つ習慣」をやわらげたいという思いからだ。

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 「彼は、グレイシーにとって“特別な人”だったんです。犬は、本当に愛した人のことをずっと忘れないんですよ」とベッキーさんは話す。

 グレイシーが抱える悲しみはそう簡単には消えないかもしれないが、いつかはそれを受け入れられる日がくるかもしれない。

 ベッキーさんの家には、グレイシーの他にも犬のタッカーと猫のオレオがいる。彼らの存在がグレイシーを支えてくれる日がいつかきっと来るはずだ。

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