洗濯物をたたんで食器洗い、人間と軽い会話もする家事ロボットの最新版
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 人型の家事ロボットが洗濯したり片付けしたり。そんな未来の光景がいよいよリアルに近づいた。

 こちらのFigure 03は、人間に近い大きさ。柔らかい質感の外装をまとい、繊細な作業ができる指をもつ。

 アメリカのロボティクス企業 Figure(フィギュア) の最新ロボ、「Figure 03」は、研究室や工場の枠を超え、より複雑な家庭のタスクに進出する。

 ヒューマノイドの多くが試験的な存在で終わるなか、ご家庭でのなじみやすさや安全性、量産を念頭にしたさまざまな改良がなされてるのだ。

メインは家事の補佐。倉庫でも役立つ器用なロボットFigure 03

 近ごろ話題のFigure 03[https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03]は、これまでのロボットよりも家庭向け。

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 その特長は家事のサポートを中心にしつつ、倉庫や物流現場でも役に立つ、という器用さ。

 たとえば柔らかい洗濯物をたたむ以外にも…

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 壊れやすい食器などもていねいに扱うことができ、キッチンの水道を使ってざっと汚れを落とし、食洗機に入れるなど、落ち着いた動作や適切な力で家事に必要な作業ができる。

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 一方で、モノをすばやく持ち上げたり降ろしたりなどの機械的なくり返し作業にも対応できるのだ。

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 その中核となるのが、独自開発の「Helix(ヘリックス)」というAIだ。このAIがヒューマノイドロボットの視覚・言語・運動をまとめて処理し、人の動きも学びながらタスクを実行する。

 下の2025年10月9日公開の公式動画では、Figure 03の動作が紹介されている。

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Figure 03のスペック

 カリフォルニア州を拠点とするロボティクス企業 Figureが開発したFigure 03の主なスペックはこんな感じ。

身長・体重: 約1.67 m、約60kg。人間と並んでも違和感が少ないサイズ感。
稼働時間: フル充電で約5 時間。足裏のコイルで自立式のワイヤレス充電に対応。
把持(はじ)と触覚: 手のひらカメラと指先センサーで、わずか3 gの圧力も検知。繊細な作業に対応。
動作性: 前世代のFigure 02より9%軽量化され、アクチュエータの速度とトルクが向上。
音声入出力: マイク・スピーカー強化で自然会話と指示操作が容易に
外装:家庭内での安全性を重視し、洗えるメッシュ生地とフォームパッドといった柔らかい素材に覆われている。
製造・量産:ダイキャストや射出成形を採用し、専用工場で年1万2,000台からの量産化を計画。4年間で10万台規模を目指す。

Figure 02との違い

 ちなみに以前紹介したFigure 02は、工場や物流向けで、重い荷物を持ち上げるなど単調な作業が得意だった。

 第三世代のFigure 03はそこから一歩進み、ベースは同じでも軽量・小型化されるなど、ご家庭になじむ改良がなされた。

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スピーカーとマイクを改善、会話能力も向上

 カメラのフレーム処理数が2倍になり、遅延時間が25%も削減されたほか、視野も60%拡大し空間移動能力も向上。

 スピーカーとマイクも改善され、自然会話もしやすくなり、指示系の使いやすさも上がった。

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 ただ会話といっても、基本的には人から受けた指示を理解したり対応するもので、人間と自然に日常の会話ができるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。

カメラ性能もアップ、手を使って死角をカバー

 また新たに搭載された手のひらカメラが、近距離の視界をカバー。狭い隙間にある物や従来のカメラの死角にある物体も手を使えばわかるようになった。

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 目が行き届くだけではない。これで空間内のさまざまなモノの配置を把握して、わずか3 gの圧力も検知する指先を使い、適切な握力で物をつかむことが可能になった。

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 さらに見ての通り、Figure 03は接触時の怪我のリスク軽減のため、むき出しの金属部分が柔らかい外装に覆われている。

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 ほかにも音声入出力の改善など、人と同じ空間で自然に動けるよう進化している。

できる家事を動画で披露。実際の性能も期待

 公開されたデモ映像では、植物に水やりしたり、食器の片付けや食洗機の利用、テーブル上の片付けもこなし、おまけに器用なことに洗濯機まで使っている。

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 手のひらカメラで死角を補い、指先センサーで把持力(物をつかむ力)を調整しながら動く器用な姿は、家事サポートの実現性を感じさせる。

 とはいえ映像はあくまで制御された環境下のもの。実際の家庭の雑然さや長時間運用での耐久性、誤認や故障時のリスクについては続報に期待しよう。

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普及を目指す技術と生産戦略

 このほどFigure社は設計だけでなく製造方法まで刷新した。量産に適した成形技術を導入、コストとリードタイム(設計から出荷までの時間)を短縮する戦略を取っている。

 専用工場の生産能力が拡大すれば、これまでの研究用ロボットとは違う価格帯での普及が見込まれる。

 一方、家庭で長期にわたり安全に使用可能かどうかは、メンテナンス体制やソフトウェアの更新、ユーザーサポートの整備などが大きなカギになりそうだ。

将来的には量産され手ごろな価格に

 気になる値段は未公表。まだまだテストも控えてそうだし、現実の一般家庭で役立つにまでにはもっと時間がかかりそうだが、量産まで見込んでるなら、手が届きやすい価格になりそう。

 にしても倉庫作業からご家庭の家事に進出、ってまさにロボットの過渡期に生まれた初期の移行モデルって感じだな。

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 ここまでくるとさすがに現実味があるし、未来のロボット史の中で「こちらが現存するFigure 03です。このロボットの登場後、人型の実用的な家事ロボットが次々生まれました」とか紹介されそう。

 家事をこなす人型ロボットのことはけっこう前から気にかけていて、一刻も早いデビューを心待ちにしてるんだけど、希望としてはあと5年、遅くとも10年後までに家電量販店に並んだり、ルンバとか食洗機並みの実用家電に進化してるとうれしいな。

References: Figure[https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03]

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