1億1200万年前のタイムカプセルを発見、琥珀に閉じ込められた失われた生命の記録
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 地球が残した1億1200万年前のタイムカプセルが、南米エクアドルで見つかった。

 アンデス山脈の採石場から掘り出された琥珀の中には、恐竜が生息していた時代の昆虫や植物の痕跡が封じ込められていたのだ。

 科学者たちはこの琥珀を通して、かつてゴンドワナ超大陸に広がっていた森の生命と、白亜紀の地球がどのように息づいていたのかを読み解こうとしている。

 この研究成果は『Communications Earth & Environment[https://www.nature.com/articles/s43247-025-02625-2#Sec11]』誌(2025年9月18日付)に掲載された。

ジュラシック・パーク世代が現実の太古世界を掘り起こす

 現在、古生物学の世界で活躍する研究者の多くは、映画『ジュラシック・パーク』に心を動かされて科学の道に進んだ“ジュラシック・パーク世代”だ。

 スティーヴン・スピルバーグ監督のこの名作は、恐竜研究への関心を世界的に高めたが、実際の恐竜たちは映画よりもはるかに多様で、姿も異なっていた。

 ティラノサウルス・レックスやヴェロキラプトルのような獣脚類には羽毛があり、映画で描かれた多くの種はジュラ紀ではなく白亜紀に生息していた。

 それでも、ひとつだけ映画が正しく描いていたことがある。

 琥珀が、恐竜が生息していた時代の生命を閉じ込めていた地球のタイムカプセルであるということだ。

 スペイン・バルセロナ大学とエクアドルの研究機関による合同チームは、今回の発掘調査でその証拠を示した。

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エクアドルの採石場で発見された琥珀

 バルセロナ大学の古生物学者ハビエル・デルクロス博士が率いる研究チームは、エクアドル東部アンデス山脈に広がるオリエンテ盆地にあるホリン層(Hollín Formation)で、節足動物を含む琥珀の堆積層を発見した。

 ホリン層は白亜紀前期に形成された地層で、主に河川の砂岩からなり、ところどころに浅い海の堆積物を含む。

 この地域では以前にも採掘試料から琥珀が見つかっていたが、古生物学的な分析に十分な量が採取されたのは今回が初めてである。

 調査は3か所の採石場で行われ、最も多くの琥珀が採れたのはヘノベバ採石場(Genoveva quarry)だった。

 年代測定の結果、この琥珀は約1億1200万年前の白亜紀アルビアン期に形成されたことが明らかになった。

 地球の時間でいえば、超大陸ゴンドワナがゆっくりと分裂を始め、現在の南半球の大陸が形を取り始めたころにあたる。

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琥珀の中で時を止めた小さな生命

 琥珀は、数千万年~数億年前に針葉樹や広葉樹から出た樹脂が、土砂に埋もれて地中で長い年月をかけて化石化したものだ。

 採取された琥珀を詳しく調べると、2種類の樹脂が確認された。

 ひとつは樹脂を出す植物の根元近くで形成されたもので、もうひとつは空気中で固まったタイプだ。

 空気中で形成された60個の試料のうち、21個には昆虫や植物の痕跡が閉じ込められていた。

 白亜紀に生息していたハエ、コガネムシ、ハチなどの節足動物、そして花粉や胞子といった植物化石も含まれている。

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 樹脂が流れ出した瞬間、小さな命たちはその中で動きを止めた。だが、その一瞬の出来事が1億年以上の時を超えて残った。

 透明な琥珀の奥には、当時の生態系がまるで生きたまま保存されているように見える。琥珀を包む岩石からも植物化石が見つかっており、当時の森が温暖で湿った気候に包まれていたことがわかっている。

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ゴンドワナの森が伝える地球の記憶

 この琥珀が作られた時代、地球はまだ現在のような姿をしていなかった。

 南半球には、ゴンドワナと呼ばれる超大陸が広がっていた。今の南アメリカ、アフリカ、南極、オーストラリア、インド、アラビア半島を含む巨大な陸地である。

 1億年以上前、ゴンドワナはゆっくりと割れ、離れ、やがて現在の大陸へと形を変えていった。

 その分裂のさなか、豊かな森が広がり、多様な生命が息づいていた。今回見つかった琥珀は、その森の命を封じ込めた“地球の記録”である。

 デルクロス博士らによると、ヘノベバの琥珀は南アメリカで最大規模の中生代琥珀堆積物であり、白亜紀樹脂期(約1億7500万~7200万年前)に豊富な琥珀を生み出した南半球の数少ない例のひとつだという。

 この発見は、当時の地球環境と生態系の変化を理解する上で極めて重要な手がかりとなる。

 研究チームは、エクアドルの琥珀を他のゴンドワナ地域(南極、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど)で見つかる琥珀と比較することで、古代の生物相のつながりを探ろうとしている。

 大陸が離れても、そこに生きた命の記録は地球の中でつながっていたのかもしれない。

 デルクロス博士は「今回の発見と琥珀を含む岩石に見られる植物化石は、白亜紀という大きな変化の時代に、ゴンドワナ西部の森に生きた節足動物と植物を理解する鍵となる」と語る。

References: Nature[https://www.nature.com/articles/s43247-025-02625-2#Sec11] / Labrujulaverde[https://www.labrujulaverde.com/en/2025/10/a-time-capsule-from-112-million-years-ago-found-in-ecuador-filled-with-insects-trapped-in-amber-and-a-fossilized-cretaceous-spider-web/]

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