
2025年1月、カリフォルニア州ロサンゼルス山火事で避難を余儀なくされ、5日後にようやく愛犬と再会できたケイシー・コルビンさんの話を覚えているだろうか。
オレオとケイシーさんの感動の再会シーンは、世界中で大きな反響を呼んだ。
この法案は山火事のような災害が起こったとき、取り残されたペットたちを救出し、飼い主との再会を支援する体制の整備を義務付けるものである。
2025年10月13日、カリフォルニア州知事がこの法案に署名。2026年1月1日から施行されることとなった。
感動の再会劇が生んだ「災害時にペットを守るための法律」
この時の山火事では、多くの住民たちがペットを置いて避難せざるを得ず、家族同然の愛犬や愛猫たちと引き離された飼い主たちの悲痛な叫びが、多くのメディアやSNSで大きな話題を呼んだ。
ケイシーさんもその一人で、職場にいたときに避難命令が出たため、愛犬を連れて避難することができなかった。
渋滞する街を抜けて5時間かけて自宅にたどり着いたときには、既に彼の家は火に包まれていた。
消防士が2匹の愛犬のうち1匹を見つけてくれたものの、もう1匹の愛犬オレオと無事に再会できるまで、5日間も待たなければならなかったのだ。
カリフォルニア州議会議員のリック・ズバー(Rick Zbur)氏は、山火事の際に多くのペットと飼い主が離れ離れになった事態に心を痛め、自治体当局に対応を義務付けるための法案を起草。
2025年2月に州議会に提出し、審議が進められていた。ズバー議員によると、この法案はケイシーさんとオレオの再会劇から、直接ヒントを得たものだという。
この法案は、最近の山火事で南カリフォルニア全域に避難を余儀なくされた多くの人々が、ペットとの再会を試みている状況から生まれたものです。
ケイシーと彼のポメラニアン、オレオは数日間離ればなれになりました。幸いにも再会はできましたが、この事例はカリフォルニア州の緊急時対応に明らかな欠陥があることを浮き彫りにしています
災害時のペットの救出・保護と再会の体制整備を義務付け
この法案「AB478[https://legiscan.com/CA/text/AB478/id/3186862]」は、通称「FOUND法」と呼ばれている。これは「Friends of Oreo Uniting During Disasters Act(災害時に団結するオレオの仲間たち法)」の頭文字をとったものだ。
インターネットなどでは、「オレオ法」と親しみを込めて呼ぶ人も現れている。法案の内容を簡単にまとめると、次のようになる。
- この法案で言う「ペット」とは、犬、猫、ウサギ、げっ歯類、爬虫類、両生類、魚類、鳥類、その他の動物種を含み、家庭用ペットとして飼育される動物を意味する
- 市または郡は、緊急時対応計画を更新し、避難指示区域内に居住する者またはその指定代理人が避難時に生きていたペットを救出するための手順を定めなければならない
- 市または郡は、緊急時対応計画を更新し、避難区域内に居住する者またはその指定代理人が、強制避難の際にペットの避難について援助を必要とする場合に連絡できる個人または団体を指定しなければならない
- 自治体は、インターネットのウェブサイトにて、強制避難区域における居住者とその代理人が利用できる「ペット救助・再会支援に関する連絡先情報」および「救助されたペットのリスト(該当する場合)」を掲載しなければならない
- 強制避難区域から救出された、または当該区域に起因するペットは、少なくとも 90日間は地元動物管理機関の保管下からの譲渡・安楽死・外部移転をしてはならない
- 90日が過ぎた後も、地域のすべての救助団体や里親パートナーが通知を受け、引き取る機会を与えられた上でない限り、安楽死あるいは地域の管轄機関からの移送してはならない
つまり自治体は災害時にペットたちをどうやって救出・保護するかの手順を定め、その仕組みを作らなくてはならなくなる。
さらに保護されたペットの情報はオンラインで公開され、飼い主が探せるようにする。ペットは最低90日間は発見された自治体で保護され、飼い主や地元の保護団体に無断での譲渡や安楽死は禁じられる。
これにより、飼い主が自力で危険な区域に行ってペットを探さなくてもよくなるほか、少なくとも90日間は保護してもらえることになる。
ペットは単なる動物ではなく、家族です。この法案はペットを保護するだけでなく、飼い主が無許可の救助を試みて自らを危険に晒すことも防ぎます。
この画期的な法案は、災害発生時に地方政府が明確な救助計画を策定し、ペットと家族の再会を実現するとともに、ペットを探すためにあらゆる手段を講じる人々を保護することを保証します
飼い主がケガをしていたり、避難先にいてペットをすぐに引き取れなかったりした場合でも、90日の猶予があれば安心できるのではないだろうか。
知事による署名の報を受けて、ケイシーさんは自身のSNSで感謝と喜びを伝える投稿をするとともに、次のように語っている。
もう二度と、道路脇で泣きじゃくりながら、警察に「犬に会いに行かせてほしい!」と懇願するような人が出て欲しくないのです
「アメリカ全土で必要!」ネットでは喜びの声があふれる
このニュースを受けて、ネット上ではさまざまなコメントが寄せられていた。
- 最高のニュース! 動物たちは家族であり、地域社会の一員。やっとその価値が認められたんだ
- この男性がテレビに出ていたのを覚えてる。無力さと悲しみが伝わってきた。ペットは家族と同じ。優先的に救われるべきだよ
- 正しい方向への一歩だね。しかも、オレオのように「実際に助かった命」をきっかけに生まれた法案なのがステキ
- すばらしい。この法律は間違いなく多くのペットの命を救うし、災害後にシェルターで行き場を失う動物も減るはず。よくやった、カリフォルニア!
- 6年前に自分の部屋が火事で焼けたとき、持ち物は全部灰になったけど、犬が生きているのを見た瞬間、もう他のことなんてどうでもよかった
- やっとだよ!何百年もペットと共に暮らしてきたのに、災害時に助ける計画がゼロなんて、どれだけ愚かな社会を作ってきたんだ
- この法律、アメリカ全土で必要だよ!
- いや、自分のペットなんだから責任を持てばいい。政府に探させるな
- まず「共感」って言葉の意味を理解したほうがいい
- あの動画をちゃんと見た? 災害のとき人はみんな家にいるわけじゃない。学校や仕事中の人もいる。だからペットを見捨てたわけじゃないんだよ。この法律は“政府が探す”ためのものじゃなくて、飼い主やレスキュー団体が安全にペットを助けられるようにするための仕組みなんだ
- うちの猫2匹とはもう10年以上一緒にいる。
自分の人生の3分の1、彼らのほとんど全部だ。置き去りにするなんて絶対できない。心が壊れてしまう
- 私も同感! 猫も犬も家族の一員。置いていくなんて子供を置き去りにするのと同じ。絶対に無理。オレオが飼い主と再会できて本当にうれしい
- そうだね。でも災害って、家にいない時に突然起こることもある。パニックの中でペットを探せなかったり、避難命令で戻れなかったりする。だから、こういう法律があるのはとても大事なんだ
- こんな法律、何年も前にできているべきだったよ。
- 火災の後、たくさんの動物が助かったのに、飼い主が「戻る許可が出ない」せいで救い出せずに死んでしまったなんて、ひどすぎる
- これは理にかなってると思う。でも誰かがペットを助けに戻ってケガをしたり亡くなったらどうなる? 結局「自分の選択だから」って言う人もいるだろうけど、訴訟沙汰になるのは目に見えてる。この法律はそういう法的リスクに触れてるのかな?
- 全然理にかなってない。
消防隊が行けないなら、人は自分の愛する存在を助けに戻るべきだよ。動物でも人間でも関係ない- 実際のところ、緊急対応チームは市民が危険区域にいると救助活動を停止しなきゃいけない。もし市民が怪我したり行方不明になったら、また救助に向かわなきゃならないし、訴訟リスクも残る。だから一般人が危険地域をうろつくのは、現場全体を危険にするんだ
- だからこそ、訓練を受けた動物救助チームを配置してペットを安全に保護・収容する体制を整えるべきなんだよ。それなら市民が危険な場所に入る必要もない
- いい法律だと思うけど、人間の命が第一であってほしい
- 人間も動物も同じように生きたいという欲求を持ってる。しかもペットは人間に依存して生きてるんだから、同等に守るべきだ
- 優先順位は同じでいい。痛みを感じるなら、種で価値を分けるべきじゃない
- 子供を置いて避難するのが違法なら、ペットを置き去りにするのも違法にすべき。子供の方がまだ生き延びるチャンスあるくらいだよ。2025年にもなって、ようやくこんな法律ができたなんて遅すぎる
- 多くの人はペットを見捨てたんじゃなくて、避難命令が出たとき家にいなかっただけなんだよ
- 念のため言っておくけど、あの避難命令はすごく突然だったんだ。多くの人が仕事中や学校にいて、家に戻ることさえできなかった。この災害(そして他の多くの災害)でも、たくさんの人たちが文字通り「ペットを迎えに帰ることを禁じられて」いたんだよ
1月の時点でもそうだったのだが、「ペットを残して自分だけ避難した」と飼い主に対して誤解をしている人たちがまだいるようだ。
コメントにもある通り、ケイシーさんも職場で仕事中に避難命令が出たため、愛犬を連れてすぐに避難できなかったんだよ。
今回、州知事の署名を得たことで、この法案は2026年1月1日に施行される見込みである。
施行に伴い、カリフォルニア州と州内にある自治体は、強制避難区域で取り残されたペットの救助手順の整備と情報公開、および90日間の保護を義務づけられることになる。
なお、ケイシーさんの愛犬オレオとティカティカティカは、今日も元気いっぱいで幸せなわんこライフを送っている。
ケイシーさんのInstagram[https://www.instagram.com/bigbluemuppet/]に彼らの様子が投稿されているので、良かったらぜひ遊びに行ってみてほしい。
References: Viral Dog Video Sparks Law To Save Pets In Emergencies[https://www.sunnyskyz.com/good-news/5936/Viral-Dog-Video-Sparks-Law-To-Save-Pets-In-Emergencies]