
アメリカ、ニューヨークで、飼い主にリュックで背負われながら地下鉄に乗ったり、街を移動する犬の姿が多くの人々を癒し続けている。
リュックからちょこんと顔をのぞかせるのは、コーギーのマキシーンだ。
リュックには「Adopt Me(里親募集中)」の文字が刺繍されている。普段なら外に出ることのできない犬たちは、街の空気に触れ、人と出会い、新たな出会いのチャンスを得ているのだ。
リュックに背負われたコーギー犬
ニューヨークの地下鉄では、「犬はバッグやキャリーに完全に入れ、他の乗客の迷惑にならないように持ち運ばなければならない」とルールで定められている。
ニューヨーク市ブルックリン在住のブライアン・レイズバーグさんはこのルールを守るため、愛犬のコーギー、マキシーンをリュックに入れて移動するようになった。
リュックから顔をちょこんとのぞかせるコーギーの姿は、地下鉄の中でも街中でも人々の目を引いた。
通勤途中の乗客や観光客たちは笑顔になり、写真を撮ったり、声をかけたりするようになった。
その様子を撮影し、SNSに投稿したところ、たちまち話題となり、数年にわたり多くの人々の心をつかみ続ける存在となっていった。
Instagram[https://www.instagram.com/madmax_fluffyroad]のフォロワーは146.6万人、TikTok[https://www.tiktok.com/@madmax_fluffyroad]では410万人、YouTube[https://www.youtube.com/@madmax_fluffyroad]にも35.6万人のフォロワーがいる。
保護犬たちを背負い、永遠の家を見つける手助け
レイズバーグさんはその行動を何かに役立てることはできないかと考えた。
そこで始めたのが、保護施設にいる犬たちをマキシーンの代わりにリュックに入れて街へ連れ出し、家族を見つける手助けだ。
動物保護施設「ベストフレンズ・ライフセービング・センター[https://bestfriends.org/new-york-city](Best Friends Lifesaving Center)」の協力を得て、家族を待つ犬たちをリュックに入れて街へ連れ出す活動を開始した。
リュックには「Adopt Me(里親募集中)」という文字が刺繍されている。
保護犬を背負って街を歩いて地下鉄に乗ると、多くの人たちの目に留まる。
更にその様子をSNSに投稿することで、より多くの人に保護犬たちの個性や特徴を知ってもらうことができるのだ。
保護犬たちにとっても、知らない街を歩き、人に声をかけられ、撫でてもらうことは、これまでに経験したことのない喜びに満ちた時間だ。
まるで「連れてきてくれてありがとね!」とお礼を言うように、リュックの中からレイズバーグさんの顔を頬をうれしそうに舐める保護犬の姿も。
多くの人との触れ合いを通じて、犬の表情はどんどん和らいでいくのがわかる。
リュック効果で里親が見つかる犬も
実際にこの活動は成果を上げている。保護犬を背負って街を散歩し、人々と触れ合う様子を収めた動画がSNSに投稿されると、施設に数多くの里親希望申請が寄せられるという。
アメリカの保護施設では、数えきれないほどの犬たちが新しい家族を待っているが、その多くは施設の奥で静かに暮らし、存在すら知られないまま日々を過ごしている。
だがリュックに背負われた犬は、少なくともただ待つだけの保護犬よりも、多くのチャンスを得ている。
レイズバーグさんは「たった一日でも、犬の人生を変える出会いにつながることがある」と語っている。
愛犬との暮らしから生まれた行動が、今では多くの命を未来へとつなぐ力になっている。