アメリカ、カリフォルニア州サンタクルーズの海では、2023年6月、サーファーたちのサーフボードを強奪するラッコが出没した。
以降、度々出没してはサーファーを襲うようになり、翌2024年には、我が子を連れてボード狩りにやってきた。
そして2025年10月14日、またしてもサーファーが、いきなりラッコに足を噛まれ、サーフボードが20分間も“板質”にとられる事件が起きた。
ただし今のところ、この容疑者が、指名手配犯の「841」であるかどうかは確認が取れていないという。現在犯人(犯ラッコ)は逃走を続けている。
サーファーの足を噛みボードを奪ったラッコ
カリフォルニア州サンタクルーズの人気サーフスポット、スティーマー・レーンで、サーファーがラッコにサーフボードを奪われる事件が発生した。
2025年10月14日夕方、沖に出ていたサーファーのイザベラ・オルドゥナさんが、突然足に何かが噛みついく感覚を覚えた。すぐにボードから降り振り返ると、そこにはボードを占拠したラッコの姿が。
意表をついて出没したラッコは、驚く彼女をよそに、そのままおよそ20分もの間、ボードを“人質”ならぬ“板質”に取ったまま堂々と乗り続けた。返す気配など1ミリもなかったという。
ボードを奪われ、なすすべもなく助けを呼んだオルドゥナさんのもとに、救助要請を受けたライフガードがまもなく駆けつけた。
まずオルドゥナさんを水から引き上げ、その後ボードを回収した。
幸い大きな怪我はなかったものの、突如ボードを奪われた彼女はこうコメント。
足に軽く噛まれる感覚があって、振り返ったときにはもう、ラッコがボードの上に乗っていたんです。一瞬どうしていいか分かりませんでした。
それから少なくとも20分はボードを独り占めされちゃいました。私は無事です。あのラッコは怠け者で、ボードの上で楽に波乗りしたかっただけかもしれません。
とにかく堂々としててサーファーを恐れる様子はまったくありませんでした
現地で逃走中のボード窃盗犯「ラッコ841」の仕業か?
近年この海岸では、サーフボードを強奪する”窃盗ラッコ”がたびたび出没している。その正体は、水族館生まれでその後野生に放たれたメスのラッコ、「841」だ。
841の母親は野生のラッコで、孤児となってしまったところを保護され、海洋野生動物獣医ケア研究センターで飼育されていた。
母親は841が離乳するまで世話をしていしたが、その後、841はモントレーベイ水族館に移送され、母親は長期ケアのため別の施設に移送されたそうだ。
水族館では、841が人間に慣れたり、人間に好奇心を持たないよう、841に接触する時には、ポンチョを付け、マスクをして顔を隠して細心の注意を払いながら、野生に返すための訓練を行っていたという。
だがその試みは成功しなかったようだ。2023年6月、当時5歳だった841は、サーファーを翻弄するようになり、サーフボード強奪犯となった。
以来ときおり姿を見せ、地元では“窃盗ラッコ”として名が知れる一方、当局からは”攻撃的なラッコ”として指名手配され、今も捕獲対象となっている。
同時にSNSで拡散された841の動画[https://x.com/i/status/1678519671534809097]はすぐ話題となり、Tシャツやグッズ化されるなど、怖さと笑いを同時に振りまく異色の存在となった。
さらに2024年の出没時には、我が子を連れてボード狩りにやってきたことが判明し、ふたたび話題となった。
841なのか?それとも実子か?模倣犯か?
今回の一件で、地元では「また841が戻ってきた?」との声も上がっているが、実際のところ、今回の“容疑ラッコ”が、賢く逃げのびている841かどうかはまだわかっていない。
当局による捕獲を承認した 米国魚類野生生物局(USFWS)の関係者は「行動は似ているが、以前の追跡用タグは外れているため、現時点では同一個体と断定できない」とコメントした。
野生動物専門家も「別のラッコが841の行動を学習して模倣している可能性もある」と指摘する。
もし模倣犯だとすれば、841は“伝説”を残しただけでなく、逃走しながら他のラッコにまで影響を与えたことになる。
まるで犯罪史に名を残す大物のようだが、その正体が赤の他ラッコではなく、実の子の可能性もありそうだ。
実際に2024年、我が子を連れてボード狩りを行ったのは、そのやり方を教えるためだったりするのかもしれない。
人間に危害を加えるラッコは安楽死に
ただ、この事件に関しては楽しんでばかりもいられない。
見た目は愛らしいラッコも貝やカニを主食にするほど強力な顎と鋭い歯を持つ。つまり”人を恐れないラッコ”は危険な存在になりうるからだ。
実際、2023年時点でUSFWSは「もし841(または他のラッコ)が人間がを噛むなどの危害を加えた場合は、安楽死させなければならない」と述べている。
絶滅危惧種のラッコに接近禁止の警告も
一方で841を含むミナミラッコ(カリフォルニアラッコ)はアメリカで絶滅危惧種に指定されている。
その背景にあるのは、1700年代から1800年代に行われた毛皮貿易のための乱獲で、絶滅寸前まで個体数が激減、その後保護で回復した過去があるのだ。
今回オルドゥナさんは無事だったようで何よりだが、こうした被害が続けば、絶滅危惧種の841も問答無用でお縄どころか、安楽死させられてしまう。
そうした事態を避けるためにも、専門家は野生のラッコに近づいたり、餌をやらないよう警告しており、地元警察もサーファーらに対し、「ラッコが一方的に近付いてきた場合も関わらないように」と注意喚起を促している。
サンタクルーズの海に現れた”窃盗ラッコ”は、伝説の841か、それとも別の新参ラッコか、はたまた841のふるまいを真似た子どもなのか。
真相は依然として謎だが、どうかお互いに悲しい結果になることなく事態が収束しますように。
References: Abc7news[https://abc7news.com/post/aggressive-sea-otter-bites-norcal-surfer-off-santa-cruz-coast-hijacks-surfboard-uninjured/18020006/] / Boingboing[https://boingboing.net/2025/10/17/surfing-sea-otter-defends-its-spot-in-the-line-up.html]











