高度約1万mを飛行中の旅客機が謎の物体と衝突しフロントガラスが割れ緊急着陸
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 2025年10月16日、アメリカ上空を飛行していたユナイテッド航空の旅客機が、高度約1万1000mで正体不明の物体と衝突した。操縦席のフロントガラスが割れ、パイロットが負傷し、機体は緊急着陸を余儀なくされた。

 いったい何と衝突したのか?宇宙ごみや隕石、鳥など、さまざまな推測が飛び交ったが、調査が進むにつれその正体が明らかになりつつある。

飛行中の旅客機に謎の物体が衝突

 2025年10月16日、ユナイテッド航空の1093便[https://www.flightaware.com/live/flight/UAL1093/history/20251016/1210Z/KDEN/KLAX](ボーイング737 MAX型)が、コロラド州上空の高度約1万1000mを飛行中、操縦席の前方にある右側のフロントガラスに正体不明の物体が衝突した。

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 デンバーからロサンゼルスへ向かう定期便で、フロントガラスが割れ、破片が操縦席に飛び散った。

 パイロットの1人は腕に細かい切り傷を負っており、ガラスや衝突物の破片が機内に入り込んだとみられる。操縦室内の計器パネルにも多数のガラス片が散らばっていた。

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 気圧は維持され、乗客に被害はなかったが、安全のために高度を約8000mまで下げ、ユタ州のソルトレイクシティ国際空港へ緊急着陸した。

 乗客約130人は無事で、別の機体に乗り換えて目的地へ向かった。

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いったい何とぶつかったのか?様々な説が浮上

 いったい何が衝突したのか?当初は原因が特定できず、さまざまな仮説が飛び交った。

宇宙ゴミ?隕石?

 機長は報告の中で「スペースデブリ(宇宙ごみ)のようなものが当たった」と述べており、宇宙からの落下物が有力視された。

 宇宙ごみとは、軌道上の人工衛星やロケットの破片などで、稀に地球に落下してくることがある。

 また、地球には年間17000個以上の隕石が落下していることから、隕石衝突説も浮上した。

 だが、今回の機体損傷は比較的軽度であり、もし宇宙からの高速物体であれば、もっと深刻な被害が出ていたと考えられる。

 実際には、窓枠のリベット(鋲)が削がれるように外れていたことから、「何かが機体に滑るようにぶつかったのではないか」との見方もあった。

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鳥?それとも自然現象?

 鳥との衝突も航空機事故では珍しくないが、今回はその可能性は低いと見られている。

 通常、大型の鳥がぶつかればガラスに鳥の血や羽毛の痕跡が残るが、そのようなものは見当たらなかった。

 そもそも、高度1万1000mは多くの鳥にとって到達不可能な高さだ。

 世界で最も高く飛ぶとされるリュッペルハゲワシの最高飛行高度は約1万1300mだが、この種はアフリカに生息しており、アメリカ上空での遭遇は現実的ではない。

 また、自然現象としては雹(ひょう)も候補に挙がった。高高度での雹は機体を損傷させることがあるが、当時の気象レーダーでは雹の発生は確認されていなかった。

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気象観測気球の装置の一部である可能性が浮上

 事故発生から数日後、アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)は、調査の中で新たな可能性に注目し始めた。

 航空機にぶつかったのは、気象観測用の気球に取り付けられたデータ収集装置(ペイロード)だったのではないか、という見方が浮上したのだ。

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 この装置は、気圧・温度・風速などを計測するために成層圏まで打ち上げられる観測気球に搭載されるもので、役目を終えた後はパラシュートで地上にゆっくりと降りてくる仕組みになっている。

 ただし、装置の一部に不具合があった場合、パラシュートが開かずに高速で落下する可能性もある。

 今回の事故に関連している可能性があるとされるのは、アメリカの気象スタートアップ企業「WindBorne Systems」が運用していた気象観測気球の装置だ。

 同社は10月19日夜(アメリカ西海岸時間)に事故との関連性を察知し、翌朝にはNTSBと連邦航空局(FAA)に予備調査の結果を提出した。

 WindBorneの装置には通信アンテナやソーラーパネルのほか、砂(バラスト)が積まれており、これが衝突時に機体の表面や窓枠の塗装を「サンドブラスト」のように削った可能性がある。

 実際、損傷した窓の周囲には塗装がはがれたような跡が見られ、衝突した物体の形状とも一致しているという。

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 高度1万1000mという巡航高度で、飛行中の旅客機と落下物が衝突するというのは、きわめてまれな出来事だ。

 気象観測気球は、世界中で毎日多数が打ち上げられており、天気予報や気候研究にとって欠かせない存在だが、その一部が制御を失い、飛行機と衝突するような事態が増えれば、運用体制や安全対策の見直しが求められることになるだろう。

 今後、NTSBによる詳細な解析が進めば、衝突物の材質や落下経路など、さらに正確な情報が明らかになると見られている。

References: Avbrief[https://avbrief.com/united-max-hit-by-falling-object-at-36000-feet/] / Flightaware[https://www.flightaware.com/live/flight/UAL1093/history/20251016/1210Z/KDEN/KLAX]

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