1950年代に現れた謎の「一時的な光」、核実験施設周辺に集中していた
スプートニク1号 public domain/wikimedia

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 人類史上初となる人工衛星、スプートニク1号が1957年に打ち上げられる以前、まだ宇宙に人工物が存在しなかった時代の夜空に、突如として現れ、すぐに消える謎の光がいくつも観測されていた。

 しかもそれらは、なぜか核実験の周辺で多く見られていたという。

いったいその正体は何だったのか?

 アメリカ・ヴァンダービルト大学とスウェーデン・ノルディック理論物理学研究所の天文学者たちが行った新たな解析により、核実験と未確認飛行物体(未確認航空現象:UAP)との間に興味深い相関関係が浮かび上がってきたという。

この研究成果は『Scientific Reports[https://www.nature.com/articles/s41598-025-21620-3]』誌(2025年10月25日付)に掲載された。

人工衛星打ち上げ以前に空に現れた謎の光

 2017年に開始された「VASCO(Vanishing and Appearing Sources during a Century of Observations)」プロジェクトでは、20世紀から21世紀にかけて突然消えた星や、異常な減光を見せた天体の痕跡を調べている。

 これまでに原因不明のまま姿を消した約100個の星が特定されており、その正体は今なお謎のままだ。

 今回の研究では、ソビエト連邦が1957年10月4日に世界初の人工衛星「スプートニク1号(Sputnik 1)」を打ち上げる以前に撮影された天文写真の中から、突如として現れ、すぐに消えた光点現象「トランジェント(transient)」に注目した。

 使用された観測データは、アメリカ・カリフォルニア州のパロマー天文台がシュミット式望遠鏡を用いて行ったスカイサーベイ「POSS-I」によるもので、1949年11月19日から1957年4月28日にかけて撮影されたものだ。

 これらのトランジェントは、露光時間50分未満という短時間で出現しており、その直前や直後に撮影された他の画像にはまったく写っていない。

 中には、1枚の画像に複数のトランジェントが写り込んでいる例もあり、重力レンズやガンマ線バースト、小惑星の分裂など、既知の天体現象では説明できない特徴を備えていた。

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核実験場に多く見られる光点現象

 この研究を主導した、ヴァンダービルト大学医療センターのスティーヴン・ブルール氏と、スウェーデンのノルディック理論物理学研究所に所属する天文学者のベアトリス・ビジャロエル氏は、これらの光点現象(トランジェント)が核兵器の実験と何らかの形で関係しているのではないかという仮説を立てた。

 1951年から1957年の間に、アメリカ、ソビエト連邦、イギリスが行った地上核実験の回数は少なくとも124回に及ぶ。

 核実験では、放射線によって「チェレンコフ放射[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%95%E6%94%BE%E5%B0%84]」と呼ばれる青白い光が発生することが知られており、実験直後に空に火の玉のような光が観測されたという報告も残っている。

 チェレンコフ放射とは、荷電粒子が空気や水などの媒質中を運動する時、荷電粒子の速度がその媒質中を進む光速度よりも速い場合に光が放射される現象だ。

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 研究チームは、トランジェントが観測された日付と核実験の実施日を照合し、さらに未確認飛行物体、アメリカで言うところの未確認航空現象(UAP)の報告とも突き合わせて分析した。

 その結果、トランジェントは核実験の実施日付近に現れる確率が、通常よりも45%高いという興味深い傾向が明らかになった。

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最後のトランジェントと突如として途絶える記録

 しかし、さらに謎めいた事実がある。

 最後に観測されたトランジェントは、1956年3月17日の核実験と一致していたが、それ以降は核実験が続いていたにもかかわらず、トランジェントは一切記録されなくなったのである。

 また、UAPの目撃報告とトランジェントの関係も調べられ、複数のトランジェントが同時に出現したケースほど、UAPとの関連性が高くなる傾向が見られた。

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トランジェントは自然現象か、それとも…

 トランジェントの正体については今のところ明確な結論は出ていない。だがいくつか考えられる説はある。

 1つめは、核爆発が大気中で未知の自然現象を引き起こしており、それが一時的な光として観測されたとする「大気現象説」。

 もうひとつは、UAP(未確認航空現象)とされる物体が核兵器の存在に反応して地球周辺に現れた、という説だ。

 ただし、現在のところ地球外生命体の存在を示す証拠は存在しないため、科学的には大気現象説のほうが現実的とされている。

 とはいえ、大気中で起きた現象であれば、露光時間中に移動して「軌跡」として写るはずだが、POSS-Iの画像に記録されたトランジェントはどれも動きのない「点」だった。

 つまり、これらの現象は何らかの方法で極めて短時間に出現し、移動もせずに消えていった可能性もある。

 研究チームは、「これらのトランジェントは現実に観測されたものであり、単なる写真プレートの欠陥ではない」と結論づけている。

 今後の研究で、その正体が明らかにされることが期待されている。

追記(2025/10/24) タイトルの1950年代の表記を誤って950年代としてしまいました。

訂正して再送します。

References: Nature[https://www.nature.com/articles/s41598-025-21620-3] / Puzzling "Transient" Lights In The 1950s Skies Focused Around Nuclear Testing Facilities, Intriguing Study Finds[https://www.iflscience.com/puzzling-transient-lights-in-the-1950s-skies-focused-around-nuclear-testing-facilities-intriguing-study-finds-81275]

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