ユキヒョウだって遊びたい!雪の斜面を滑って遊ぶ姿がとらえられる
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  幻のネコとも呼ばれるユキヒョウが、雪の斜面を滑って遊ぶという、これまで誰も見たことのない行動がカメラに収められた。

 インド・ヒマラヤの山中で行われた遠征の中、野生動物写真家レミ・ヴァシェール氏は、厳しい自然の中で生きるユキヒョウの、子どものように無邪気な一面を記録した。

 ふだんはその姿を見ることすら難しい絶滅危惧種のユキヒョウが、楽しそうに雪を滑って遊ぶ姿は、彼らもイエネコのように、自分の置かれた環境の中で楽しみを見出していることを感じさせる。

ヒマラヤで出会った幻のネコ科、ユキヒョウ

 フランスの野生動物写真家、レミ・ヴァシェール[https://www.instagram.com/remivcr/]氏は、長年の夢を叶えるため、インド北部のヒマラヤ山脈へと足を運んだ。

 その目的は、世界で最も人前に姿を現さないネコ科とも言われる幻の「ユキヒョウを写真に収めることだ。

 厳しい自然環境の中で何日もかけて追跡した末、ついにその姿をとらえることに成功した。

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 だが、彼が記録したのは、美しいユキヒョウがたたずむ姿だけではなかった。

雪の斜面を滑ったりジャンプしながら遊ぶユキヒョウ

 ヴァシェール氏は雪山の斜面で、追跡していた1頭のユキヒョウが歩いている姿を確認した。

 「雪景色の中を優雅に歩くユキヒョウの姿は、それだけでも息を呑む美しさでした。普段は岩場で見ることが多いので、とても印象的でした」と彼は振り返る。

 そして次の瞬間、信じられない光景を目の当たりにする。

 ユキヒョウが雪の斜面を体をソリ代わりに滑り降りたり、突然ジャンプをしたりと、遊び心満載の動きを見せたのだ。

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 「ユキヒョウが雪の上ではしゃいでいる姿を見たときは本当に驚きました。一緒にいたユキヒョウの専門家たちでさえ、あんな行動は見たことがないと言っていました」

 孤高の捕食者として知られるユキヒョウが見せたその無邪気な一面は、多くの人の心に残るであろう貴重な記録となった。

 その様子は2025年9月19日に、ヴァシェール氏のTikTokに投稿された。

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ユキヒョウの知られざる生態と生存の危機

 ユキヒョウ(学名:Panthera uncia)は、中央アジアの標高3,000~5,000mにおよぶ高山地帯に生息する大型ネコ科動物である。

主な分布地域は、インド北部、ネパール、ブータン、パキスタン、中国、モンゴルなど広範囲に及ぶ。

 体長は100~130cm、尾は90cm近くあり、体重は30~55kgほど。灰白色の被毛に黒いロゼット(斑点模様)が散らばっており、厚い毛皮は寒冷な環境に適応している。

主に夜行性または薄明薄暮性で、ヒマラヤ高地に生息するヤギの一種、バーラルや、アイベックスなどの中~大型の草食動物を狩る。

 単独行動を好み、縄張り意識も強い。

 野生下での寿命は10~12年程度だが、飼育下では20年ほど生きる個体もいる。

 現在、ユキヒョウはIUCNのレッドリストで「危急種」に分類されている。

 絶滅の主な要因は、生息地の破壊、気候変動、密猟、放牧との競合など。骨や毛皮のために違法に捕獲されるケースも後を絶たない。

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写真で伝えるユキヒョウの存在

 「ユキヒョウは絶滅の危機にある動物で、もっと多くの人が関心を持つことが重要です」とヴァシェール氏は語る。

ユキヒョウがどんな動物なのかを知らない人はまだ多く、簡単に出会える機会もほとんどありません。

だからこそ、自分の写真を通じてその存在に光を当て、関心を持ってもらうことが私の役目だと思っています。

ユキヒョウが楽しそうにはしゃいでいる姿は私たちに、「人生は短く、一瞬一瞬を楽しむことが大切だ」ということを教えてくれているような気がします

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