地球の近くに準衛星「2025 PN7」を発見、数十年見過ごされていた
地球の準衛星 2025 PN7 / Image credit:JPL-Caltech/NASA

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 これまで知られていなかった「準衛星」が新たに発見された。「2025 PN7」と名付けられたこの小惑星は、太陽を地球とほぼ同じ軌道で回りながら、約60年ものあいだ地球に寄り添っていたとみられている。

 数十年もなぜ発見されなかったのか?それはこの天体が非常に小さく光も弱いため、これまでの観測ではとらえることができなかったのだ。

 軌道解析によると、「2025 PN7」は準衛星として2083年ごろまで地球と寄り添い続け、その後は軌道が変化して地球から離れていくと考えられている。

 あと58年間は、地球の小さなパートナーとして留まり続けることとなる。

準衛星とは何か?

 「2025 PN7」は、地球の「準衛星」に分類される。準衛星とは、地球とほぼ同じ周期で太陽のまわりを公転している小さな天体だ。

 力学的には太陽の引力に従って動いており、地球の重力に捕らえられているわけではない。

 それでも地球のすぐ近くを移動し続けるため、ある角度から見ると、まるで地球のまわりを回っているかのように見える。

 実際には、地球と並走しながら、前に出たり、後ろに下がったりする動きを繰り返している。これは、地球と似た軌道を保ちながらも、わずかに速さや距離が異なるために生じる現象だ。

 見かけは「月」のようだが、重力的にはまったく異なる存在である。

 地球の準衛星としては、今回の「2025 PN7」のほかに「カモオアレワ」などがあり、現在7つが知られている。

 一方、「ミニムーン」と呼ばれる天体もあるが、こちらは地球の重力に一時的に捕らえられ、実際に地球のまわりを回るものだ。

 滞在は数週間から数か月程度で、再び宇宙へと去っていく。

準衛星とミニムーンは、名前こそ似ているが、動き方も存在のしかたもまったく異なる。

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60年前からそばにいた、地球の小さなパートナー

 2025年8月29日、ハワイ・マウイ島のハレアカラ火山にあるパンスターズ観測所(Pan-STARRS)で、小惑星「2025 PN7」が発見された。

 幅はおよそ20mと推定されており、地球の準衛星として新たに確認された天体である。

 この小さな小惑星は、すでに約60年前から地球と同じような軌道で太陽を公転していたとみられている。

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2025 PN7の軌道はわずかに楕円を描いており、太陽に近づいたときは地球よりも速く、遠ざかったときは遅く動く。

 しかしこの関係も永遠ではない。

 2080年代の終わりごろには軌道が変化し、2025 PN7は「ホースシュー軌道」と呼ばれる形に移行すると予測されている。

 この軌道では、地球の前方と後方を大きく迂回するように移動しおり、2083年には、地球から離れていくと推測されている。

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小さくて暗い小惑星、人工物の可能性は?

 2025 PN7は非常に暗く、NASAのデータによれば明るさは26等級しかない。

 これは通常の望遠鏡ではとらえることができないほどであり、接近時に高性能の観測機器を用いてようやく見つけられるレベル。発見が遅れた理由もそのためだ。

 実は2025 PN7は、人工物である可能性も指摘されていた。

 たが、スペイン・コンプルテンセ大学のカルロス・デ・ラ・フエンテ・マルコス博士は、「自然由来の岩石質の小天体であり、人工衛星やロケットの破片ではない」と結論づけている。

 2025 PN7の起源としては、地球と似た軌道を持つ地球近傍小惑星グループ「アルジュナ群[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%8A%E7%BE%A4]」と関連性があると考えられている。

 このグループは、地球近傍に存在する小さな天体の集まりで、月から飛び散った破片が含まれている可能性もある。

 実際、2024年に発見されたミニムーン「2024 PT5」も、同じくアルジュナ群の一部で、数百万年前に起きた激しい衝突で月から弾け飛んだ欠片であるとする説もある。

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宇宙探査の新たなターゲットに?

 準衛星は、地球からの距離が比較的近く、無人探査機での接近がしやすいため、今後の宇宙探査のターゲットとして注目されている。

 たとえば、中国の宇宙探査ミッション「天問2号」は、準衛星「カモオアレワ」に向けてすでに打ち上げられており、2027年にサンプルを地球へ持ち帰る計画だ。

 2025 PN7のような小天体は、小さいながらも太陽系の構造や地球近傍の環境を理解する手がかりになる。

 探査コストも比較的抑えられるため、今後の惑星探査や資源調査にとって重要なステップとなる可能性を秘めているという。

 肉眼では決して見ることができない、更に一般的な天体望遠鏡でも発見することが困難な準惑星だが、あと58年、地球の近くに寄り添っていると思うとなんか愛着がわいたりするよね。

この研究成果は『Research Notes of the American Astronomical Society[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2515-5172/ae028f]』誌(2025年9月)に発表された。

References: Iopscience.iop.org[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2515-5172/ae028f] / Earthsky[https://earthsky.org/space/earth-quasi-moon-2025-pn7/] / Jpl.nasa.gov[https://ssd.jpl.nasa.gov/tools/sbdb_lookup.html#/?sstr=2025%20PN7&view=VOP]

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