ノースカロライナ州カリー近郊の国道210号線でピックアップトラックを運転していたドライバーから、911に緊急通報が寄せられた。
ドライバーは運転中、道路脇に立つ血まみれの男を目撃したという。
だがその数秒後、ドライバーは突然取り乱して叫び始めた。「こいつは人間じゃない!」……闇に包まれた田舎道で、彼はいったい何を見たというのだろうか。
闇の中、血まみれで立っている男を目撃したドライバー
この事件が発生したのは2021年7月31日午後11時頃のこと。
だが、2025年9月頃からインターネットで大きな話題になり始めたので、どこかで見たという人もいるかもしれない。
通報時の音声とされるものが出回っているので、まずはこちらを聞いてもらおう。自動翻訳の字幕をオンにすると、意味がわかって臨場感がアップすると思う。
通報時の会話をざっくり訳すと以下の通りである。
オペレーター:ペンダー郡911です。緊急通報の場所を教えてください
通報者:えっと……210号線を走っていて、さっきブラックリバーを渡ったところです。道端に血を流して立っている男を見た気がするんです
オペレーター:わかりました。今どのあたりですか?
通報者:210号線です。ブラックリバーを渡ったばかりで、53号線東へ向かっています。ちょうどパトリオッツ・ウォッチを通過しました
オペレーター:では、ムーアズ・クリークの近くですね
通報者:はい
オペレーター:それで、道路脇に男が立っているのを見たということですね?
現場を通り過ぎたとき、通報者はヘッドライトをハイビームにしていて、男の頭から身体にかけて、血が筋になって滴っているように見えたのだそうだ。
「人間じゃない、人間じゃない!」
ここまで話したとき、突然ガンッという音をマイクが拾い、通報者は思わず「何だ?」と声を上げる。
オペレーター:どうしました?
通報者:こいつ、人間じゃない、人間じゃない!
オペレーター:大丈夫ですか?
通報者:何かがトラックの後ろにいる!
オペレーター:道路上に何かあるんですか?
通報者:違う、道路じゃなくてトラックだよ、荷台だ!
オペレーター:荷台に何かがいるということですか?
通報者:はい。今、荷台のライトを点けたんだけど、何かが乗ってるんだ!
オペレーター:「何か」というのは、どういう意味ですか?
通報者:今、荷台からそれを振り落としました。屋根の上を越えていきました!
オペレーター:それは何だったんですか?
オペレーターの女性は、それが七面鳥や鹿だったのではないかと尋ねたが、通報者は「時速約80kmで走っていたので、それはあり得ない」「羽根はなく、青白い色をしていた」として、野生動物の可能性否定している。
通報者の男性(匿名を希望しており、イニシャルで「T」とされている)は、当時職業訓練学校に通っている学生であり、フロリダから実家のあるノースカロライナへと、ピックアップトラップを走らせていたのだそうだ。
Tさんはこの時、ペンダー郡西部を通るハイウェイ210号線を時速90~100km程度のスピードで走っていたという。
周囲には街灯もほとんどなく、月も星も見えず、周囲は真っ暗闇だった。ヘッドライトでかろうじて道が見える程度だったそうだ。
エアコンの効きが悪かったので、その時僕は窓を開けていたんです。ブラック川の手前には大きなカーブがあって、その先には古戦場跡があります。
そのカーブを曲がってから、僕はふと右側の溝に目をやりました。何かが見えた気がしたんです
ほんの一瞬だったが、Tさんの目には闇の中に30代くらいの男が立っているのが見えたという。
その男は古い軍服のようなものを着ていて、全身が血まみれで頭から血を流していた。血は筋となって身体を滴り落ち、全身が真っ赤に見えたそうだ。
男の服はところどころ裂けていて、その異様な姿に思わず息を呑みました。真夜中にそんなものを見るなんて思ってもいなかったので、かなり動揺しました。
それで911に通報したんです。だって、本当にケガをしている普通の人で、救助が必要かもしれないと思ったから
その時の会話が、冒頭のやり取りである。当初、男を交通事故の被害者だと思ったTさんは、 通報しながら安全に停車できそうな場所を探していた。
警察や救急隊が到着した時、男のいたところへ案内できるよう、そこで待とうと思ったのだ。
目撃地点のGooglemap
突然荷台に飛び乗ってきた白い顔のモンスター?
ところが通話中に事態が一変した。突然、トラックの後ろから大きな衝撃音が響いてきた。Tさんは荷台のライトをつけ、バックミラーで後ろを確認した。
その瞬間、Tさんは自分の目を疑った。なんと真っ白い不気味な顔がリアガラスにピッタリと貼りついて、車内を覗き込んでいたというのだ!
バックミラーを見ると、真っ白な顔…雪のように真っ白な顔がリアウィンドウに貼りついていて、トラックの中を覗き込もうとしてるみたいでした。
眼は浅く窪んでいて、鼻はなかった。なんていうか、人間の頭蓋骨に皮膚を薄く延ばして貼ったような感じで、耳も見えなくて、とになく不気味でした。
もう、すぐに叫び出すしかありませんでした。後で(録音を聞いて)初めて自分が「あれは人間じゃない!」って叫んでいたことに気づきました。恐怖のあまり、反射的にそう叫んでしまったんでしょう。
僕は銃も何も持っていなくて、武器になりそうなのは薪割り用の斧だけでした。それしかなかったんです
恐怖でパニックに陥りながらも、Tさんはアクセルを思いきり踏み込み、直後に今度は全力でブレーキを踏んだ。
Tさんの記憶では、おそらく時速130kmくらいまで一気に上げてから急ブレーキをかけ、ほんの数秒で時速50kmほどにまでスピードを落としたそうだ。
その反動で荷台に乗っていた「何か」は弾き飛ばされ、トラックの上を飛び越えてから、路上を丸くなって転がっていった。
カーブでハンドルを切った瞬間、Tさんにはその「何か」が立ち上がるのが見えた。その背丈は、Tさんのトラックの車高を軽く超えていた。
僕の身長は約178cmで、トラックは僕よりも5cmくらい高いんです。
でもこいつは間違いなく210cm以上はありました
その姿はとてつもなく痩せていて、普通の人間の手足を引き延ばしたような、異常に長い腕と脚をした「何か」だったという。
荷台には何者かが残した引っかき傷が!
Tさんはアクセルを全開にして、唯一見えた灯かりを目指した。そこはガソリンスタンドで、警察が到着するまでのあいだ、Tさんはあの「何か」が戻ってこないか、道路をじっと見つめながら待っていたという。
やがて保安官や州警察が到着し、Tさんが状況を説明すると、警官たちはトラックを調べ始めた。
荷台を覗き、屋根の上を確認したところ、そこには何者かがトラックに侵入しようとしたような引っかき傷が、はっきりと残っていた。
もしかすると、そいつがトラックの後部にぶつかって荷台に乗り上げた時に、ボンネットにしがみついたまま体勢を立て直そうとした時についた傷かもしれません。
リスや木の枝による細かい擦り傷もありましたが、まるでこう、着地してから後ろ向きに引っかいたように見えて、本当にくっきりとした痕跡でしたよ
その後、警官らの要請で、Tさんは最初に血まみれの男を目撃した場所まで彼らを案内した。
正直なところ「戻って現場を案内してくれ」と言われたときは、絶対に戻りたくありませんでした。
僕は今でも、あの場所を夜に通ることはできません。あれが何だったのか、いまだにわからないし、もう二度と見たくないです
目撃地点は心霊スポットとして知られた古戦場跡
Tさんが異様なモノを目撃したムーアズ・クリークは、独立戦争当時に激しい戦闘が行われた戦場跡である。
1776年2月に行われた戦闘では、30~50名の戦死者が出たと言われており、現在は「ムーアズクリーク国定戦場」として、国によって管理されている。
彼が最初に目撃した「血まみれで昔の軍服を着た男」の姿は、もしかするとこの戦闘で命を落とした兵士の彷徨える亡霊だったのだろうか?
実際にこの地域は心霊スポットしても知られており、夜中に兵士たちの声や足音、ドラムの音を聞いたという報告が後を絶たないのだそうだ。
ペンダー郡保安官事務所のアラン・W・カトラー保安官は、この地域で起きる不思議な現象について次のように説明する。
何年ものあいだ、ムーアズクリーク国定戦場近くに住む住人たちは、説明のつかないものを見たり、音を聞いたりしたと報告してきました。
これまでにも私たちの副保安官が現地に出動したことが何度かあり、敷地内で得体の知れない物音や、説明のつかない現象を目撃したという通報を受けたことがありました
だが、その後でトラックの荷台に飛び乗ってきたというクリーチャーの正体は、それでは説明がつかない気もする。
ノースカロライナ州には、「イエロー・スキン・モンスター」「ツル・カル」「レイクノーマン・モンスター」「レイク」などと呼ばれるUMAが生息しているという噂もある。
身長が高く、手足が異様に長く、白っぽい顔というと、最近になってネットを中心に広がっている「スレンダーマン」を彷彿とさせないでもない。
カトラー保安官はさらに続けてこう語っている。
距離と所要時間から見て、通報内容と移動のタイムラインは一致しています。現場で副保安官と州のハイウェイパトロールが通報者と接触し、彼の話を聞きました。
その時点で、これは交通関連の事案と判断され、調査の主導は州ハイウェイパトロールに引き継がれました。
その夜、彼が何を見たのか、何を体験したのか、私には確かなことは言えません。ただひとつ言えるのは、911通報時の声から、彼が動揺していたのは明らかだったということです。
残念ながら、おそらくこの世の中で、私たちが決して答えを知ることのできないもののうちの一つなのでしょう
Tさんが見たものは何だったのか、そもそもTさんは本当のことを語っているのか、その答えは永久にわからないかもしれない。
ネットではノースカロライナ州が企画した、心霊スポットに観光客を呼び込むための手の込んだフェイクなのでは?という噂もささやかれているらしい。
だが、夜中にこんなところを野次馬がうろつくのは、保安官事務所としては決して歓迎できるものではないとのこと。
さて、Tさんが目撃した2体の謎の存在はフェイクなのかいたずらか、それとも本物の幽霊やUMAなのか。みんなはどう思うだろうか。
References: ‘He Feels Something Jump On The Back Of His Pick Up Truck’: North Carolina Man Drives At Night On The Highway. Then He Runs Into An ‘Unidentified’ Creature[https://brobible.com/culture/article/north-carolina-monster-truck-attack/]











