小売店の看板猫が自動運転タクシーにひかれ、この世を去る
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 アメリカ、サンフランシスコで、自動運転タクシー「ウェイモ」が地域の人気猫をひいたとして、住民の間に悲しみと怒りが広がっている。

 事故の犠牲となったのは、個人経営の酒販売店で飼われているボデガ・キャット、9歳の猫「キットカット(KitKat)」だ。

 日本でもおなじみのチョコレートと同じ名前だが、この猫は“cat(猫)”の語感を重ね「キットキャット」と呼ばれ、店の看板猫として愛されていた。

自動運転タクシーが猫をひく

 10月28日(月)の夜11時40分ごろ、サンフランシスコの16番街を走行していたジェフ・クライン氏は、前を走る自動運転タクシーが突然進路を外れるのを目撃した。

 その車はウェイモ(Waymo)のロボタクシーだった。

 ウェイモはグーグルの親会社アルファベット社が展開する自動運転事業で、運転席に人がいない完全自動運転の車両を、アプリで呼び出すことができるタクシーサービスだ。

 カリフォルニア州サンフランシスコやロサンゼルス、アリゾナ州フェニックスなどで実際に市民を乗せて走っており、街の交通の中にすでに溶け込みつつある。

 安全性が高いとされているその自動運転タクシーが、この日、地域住民に愛されていた猫をひいたのだ。

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ひかれたのは街で人気のボデガ・キャット

 事故に遭った猫は、個人経営の酒小売店「ランダズ・マーケット(Randa’s Market)」で飼われていた9歳のオス猫、「キットキャット(KitKat)」だ。

 この店はいわゆる“ボデガ(Bodega)”と呼ばれる小さな商店で、パンや飲み物、日用品などが並び、地域の暮らしを支えている。

 アメリカの都市部では、こうした店にネズミ除けのために猫を飼う習慣があり、店内でのんびり過ごす姿が“ボデガ・キャット”として親しまれてきた。

 キットキャットもその一匹で、カウンターやビールケースのそばがお気に入りの場所だった。

 客たちは彼に声をかけたり、おやつを持ってきたりと、店で人気の看板猫だった。

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動物病院に運ばれるも命を落とす

  事故を目撃したのは、近くのバー「デリリウム」で働くショウワ・マウ氏だった。

 「外に出たら、キットキャットが歩道に倒れていました。脚が折れて血を吐いていましたが、まだ息がありました。ウェイモの車はもう見えませんでした」と当時を語る。

 マウ氏は急いで車を呼び、18番街とアーカンソー通りにある24時間営業の動物病院へキットキャットを運んだ。

 懸命の処置が行われたが、ほどなくしてキットキャットは息を引き取った。

 知らせを聞いて店主のマイク・ゼイダン氏が駆けつけたのは、その5分後だったという。

 ゼイダン氏はまだショックが大きく、「今は話すのがつらい」とだけ言葉を残した。

 事故から約1時間後、市民通報サービス「311」には「自動運転車が酒販売店の猫をひいたが、止まらずに走り去った」との報告が複数寄せられた。

 通報には「車は一度も停止しなかった」との記録も残されている。

 ウェイモ社には報道機関からの問い合わせが相次いでいるが、同社は現時点で公式なコメントを発表していない。

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猫の死を悼む人々が献花台を設置、街は悲しみに溢れる

 事故の翌日、店の前には手作りの献花台が設けられた。

 花やキャンドル、チョコレートの「キットカット」、テキーラ「カソドレス」、陶器の猫の置物、そして隣の映画館「ロクシー・シアター」からのポップコーン。

 地域の人々が思い思いの品を持ち寄り、献花台は夜が更けるにつれて少しずつ大きくなっていった。

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 通りかかった人々は立ち止まり、花を供え、静かに手を合わせた。

 「彼はみんなの仲間であり、家族のような存在だった」と、バー「デリリウム」のバーテンダー、ジェシカ・シャプドレーン氏は語る。

 「お客さんの後をついて店内を歩いたり、夜の見回りをしたり。

小さな用心棒のような存在でした。誰もが彼に会うのを楽しみにしていたのに……」

 隣の飲食店で働く男性も、「彼はこの通りのボスのような存在だった。どの店にも顔を出して、みんなの様子を見ていた」と話した。

 花とキャンドルに囲まれた献花台の一角には、手書きのプラカードがあり、 「ウェイモを止めろ! 猫を守れ!」、 「キラー・カーを止めろ!殺猫ロボットはいらない!」などと書かれていた。

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 献花台で足を止める人も多く、中には我が子の肩を抱きしめながら、悲しみに暮れる親子もいた。

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自動運転車に求められる課題

 ウェイモは自動運転技術の先駆けとして、未来の移動を変える存在だと称賛されてきた。

 だが、今回の事故は、その“未来の技術”がまだ不完全であることが浮き彫りになってしまった。

  もちろん、技術の進歩そのものが悪いわけではない。想定外の出来事は起こりうるわけで、そういった経験を積みながら、さらに進化を続けていくものだ。

 だが、街の人々にとって大切な小さな命がその踏み台となってしまった事実はいなめない。

 とはいえ、人間が運転する車も動物との衝突事故をたびたび起こしているのも事実だ。

 だからこそ、自動運転車の改良によって、動物にも優しい乗り物が実現できれば、真に便利な乗り物となるだろう。

 キットキャットの生前の姿は、ランダズ・マーケットのInstagram[https://www.instagram.com/randasmarket/]で見ることができる。

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References: Sfgate[https://www.sfgate.com/local/article/sf-neighborhood-mourns-cat-waymo-21127713.php] / Missionlocal[https://missionlocal.org/2025/10/kitkat-mission-liquor-store-mascot-and-16th-st-ambassador-killed-on-monday/]

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