中国が恐竜AIロボットに本気を出した。羽毛恐竜シノサウロプテリクスが現代に蘇る
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 自分で考え、呼吸し、動く恐竜。従来のアニマトロニクスを超えたAI搭載の恐竜ロボットが誕生した。

 白亜紀に中国に生息していた小型の羽毛恐竜「シノサウロプテリクス」が、現代の技術によってよみがえったのである。

 いま中国のロボット産業が、産業用機械の枠を越え、恐竜ロボットの開発に本格的に乗り出している。

 これらのAI恐竜は、エンターテインメントだけでなく、博物館や教育現場などでの活用も視野に入れられている。

ついに恐竜がAIロボットとなって動き出す

 中国では国を挙げてAIロボットの開発に力を入れているが、大昔に絶滅してしまった恐竜にまで、最先端技術で命を吹き込もうとしている。

 羽毛恐竜「シノサウロプテリクス」のAIロボットを開発したのは、深圳市を拠点とするロボットメーカー、「Dobot」[https://www.dobot-robots.com/]社だ

同社はAIとモーションコントロール技術を組み合わせ、羽毛恐竜シノサウロプテリクスの実物大ロボットを開発した。

 シノサウロプテリクス[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8E%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%B9]は約1億3,000万年前の白亜紀初期に生息していた小型の肉食恐竜で、体長は約1mほど。

 1996年に中国・遼寧省で発見され、世界で初めて羽毛の痕跡が確認された恐竜として知られる。

 鳥類の祖先に近い存在であり、進化の謎を解く鍵とも言われている。

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 ドーボットのAIロボットは二足歩行が可能で、光学センサーと環境認識機能を備えている。

 AIによる動作制御によって自律的に歩き、呼吸や低い鳴き声のような音も発することができる。

 動画共有アプリ「抖音(Douyin)[https://www.douyin.com/video/7565855722722823464]」で公開された映像では、羽毛を模した外見とその動きが、まるで生きているようだと話題になった。

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 この恐竜ロボットは教育や観光施設向けに設計されており、博物館やテーマパークなどで来場者と対話的に交流する展示物として活用される予定だ。

 今回はシノサウロプテリクスの姿を再現しているが、表面のカバーを交換したり造形を調整することで、別の恐竜や神話上のキャラクターにも変更できるという。

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二足歩行ロボットを恐竜に改造

 さらに、同じく深圳市を拠点とするロボット企業LimX Dynamics[https://www.limxdynamics.com/en]」社も恐竜ロボットの開発に取り組んでいる。

 同社はハロウィンに合わせ、自社の二足歩行ロボット「TRON1[https://www.limxdynamics.com/en/tron1]」をティラノサウルス・レックス風に改造し、SNSで映像を公開した。

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 TRON1は恐竜専用モデルではないが、人に押されたり揺らされたりしても転倒せず、バランスを取りながら自律的に歩く。

公開された映像では街中を歩く姿が映し出され、その安定性と反応速度の高さが注目を集めた。

 この実験的な取り組みは、LimX Dynamics社の高度な歩行制御技術を披露すると同時に、産業用ロボットを娯楽や教育分野へ応用する可能性を示した。

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アニマトロニクスとの違い

 かつて、映画『ジュラシック・パーク』などで使われていた恐竜模型は「アニマトロニクス」と呼ばれる。

 これはあらかじめ決められた動きを再現する装置で、人が遠隔操作したり、プログラムされた通りに動くだけだ。

 しかし今回のAI恐竜は、センサーと人工知能を搭載し、環境を読み取って自律的に動く。人の動きや音に反応し、状況に応じて行動を変えることができる。

 つまり、アニマトロニクスが「見せるための模型」だとすれば、AI恐竜は「自分で考えて動く存在」なのだ。

 特にDobotのシノサウロプテリクスは、リアルな動きだけでなく、学習を通じて行動を変化させることも可能だという。

 教育現場で子どもたちの科学への興味を育む教材としても注目されている。

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産業ロボット大国・中国が次に狙う市場

 長年、中国のロボット産業は工場の自動化を中心に発展してきた。しかし近年はAI技術の進歩により、教育、観光、エンターテインメントといった一般向けの分野へと応用されている。

 今回のAI恐竜ロボット開発は、その動きを象徴したものだ。

 北京ではロボットが運営する無人店舗が話題を集めており、日常生活の中でもロボットが当たり前の存在になりつつある。

 AI恐竜のように「見て楽しめる」「触れて学べる」ロボットは、次の市場拡大の鍵になる可能性が高い。

 このまま技術が進化すれば、本物の「ジュラシック・パーク」さながらのテーマパークが誕生する日も、そう遠くはないのかもしれない。

References: SCMP[https://www.scmp.com/tech/article/3330580/jurassic-spark-dobot-revives-feathered-dinosaur-take-robotics-beyond-factory-floor] / Futurism[https://futurism.com/future-society/china-ai-robot-dinosaurs]

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