アメリカ・ネバダ州の砂漠から、大量の人間の遺灰の山が発見された。その量は約315人分にのぼるという。
経営不振に陥った葬儀会社が、預かっていた遺灰を不法に投棄したものとみられている。
一体なぜ、これほど多くの遺灰が、人知れず砂漠に置き去りにされたのか。地域住民に衝撃が広がっている。
砂漠の真ん中に点々と放置された遺灰の山
遺灰が発見されたのは、ラスベガスから約80kmほど南にある、サーチライトという街から数km離れた砂漠の真ん中である。
アメリカでは、火葬後に残った骨を専用の機械などで1~2mm程度に細かく砕く「粉骨(ふんこつ)」という工程を行い、これを遺灰として扱う。
2025年7月28日、この地域を訪れた男性が、辺り一帯に小さな灰の山が点々と放置されているのを発見した。
男性がこの発見を地元メディアに知らせたところ、8月25日になって、テレビ局が「BLM(森林管理局)の土地で最大70個の灰の山が見つかった」と報じた。
このニュースを受け、BLMと地元当局げ現場の調査を開始。8月27日になって発見された灰が火葬された人骨であること、現在BLMとラスベガス警察と協力して調査中であることを発表した。
回収が行われ、遺灰は共同の安置所へ
その後も当局による調査が続いていたが、2025年10月29日になって、放置されていた遺灰の回収が行われることに。
当日はラスベガスの葬祭事業者「パーム葬儀社・霊園(Palm Mortuaries and Cemeteries)」が回収作業を担当。
発見された遺灰は約315名分に上り、一体分ずつ丁寧にスコップで骨壺に納められたあと、市内の共同納骨堂に安置された。
パーム葬儀社の社長、セレナ・ディルロさんは、次のように語っている。
多くの人が、「なんて気の毒な話なのか」と感じたと思います。
ここに(放置されて)いることが本人の望みだったとは到底思えません。
私たちはせめて彼らにふさわしい場所をきちんと用意したいと思っています
下は上空から写した「灰の山」の様子。この小さな丸い山の一つひとつが、誰かの大切な人だったのだ。
葬儀会社が意図的に投棄した疑い
ネバダ州では、遺族が故人の遺灰を山や海などにまく行為自体は、場所や条件を守ればおおむね認められている。
問題は今回、連邦政府の管理地(BLMの土地)で、葬儀会社が遺族から「有料で預かった」遺灰を、まとめて処理した疑いがある点だ。
こうした「営利目的の散骨や放置」は、BLMの許可や連邦の規則に違反する可能性があり、通常の散骨とは異なる扱いとなる。
現場からは遺灰のほか、骨壺の破片や遺灰を入れた袋を閉じるのに使われた結束バンドも発見されている。
つまり誰かが意図的に骨壺から遺灰を出し、砂漠に撒いたことは明白である。既に業者は特定され、当局による捜査が開始されているそうだ。
誰の遺灰かを特定できる情報は残されていない
州法では葬儀会社に対し、彼らが預かるすべての遺体の尊厳を守ることを義務付けている。たとえ引き取り手のない遺体でもだ。
発見された遺灰は高熱で処理された上に粉骨されており、残念ながらそれぞれの身元を特定できる情報は何も見つからなかったという。
セレナさんは最後にこう付け加えている。
こうした人々が忘れ去られたり、置き去りにされたりしないようにすることは、私たちにとってとても大切なことです。
こうした人々をどれほど大切に思っているかを示すことが、私たちこの業界に身を置く者にとっても重要だと、私は思っているのです
References: 300 piles of human remains discovered in desert outside Las Vegas, investigation ongoing[https://krcrtv.com/news/nation-world/300-piles-of-human-remains-discovered-in-desert-outside-las-vegas-cincinnati-bureau-of-land-management-dump-site-cremains-cremated-funeral-home-claim-mortuaries-cemeeries-official-nevada-commercial-urn-federal-law-violation-blm-policy-operators-critical]











